大学案内

学長メッセージ

 みなさんこんにちは。岐阜大学のホームページにお立ち寄りいただきありがとうございます。小生、岐阜大学長を拝命し、3年が経過しました。岐阜大学の現状と今後について紹介します。

 岐阜大学は、我が国の将来の国立大学法人の新たなモデルとして、2020年4月に名古屋大学との経営統合を行い、改革と発展が加速されました。東海国立大学機構が掲げる「Make New Standards for the Public」というミッションを共有し、その上で「学び、究め、貢献する」という本学の理念のもと、ビジョンを「地域共創、特色ある研究、イノベーション、教育を戦略的に推進し、地域と人類の課題解決に貢献する『地域活性化の中核拠点』となる」と定め、ビジョンを実現するための戦略を策定しました。
 東海国立大学機構は、プラットフォームとしてガバナンス、危機管理、人事、財務システム、スタートアップ支援などの効率化などを達成し、両大学の強みを活かした6つの連携拠点(糖鎖生命コア研究拠点(iGCORE)、航空宇宙研究教育拠点、健康医療ライフデザイン統合研究教育拠点、One Medicine創薬シーズ開発・育成研究教育拠点、低温プラズマ総合科学研究拠点、量子フロンティア産業創出拠点)の活動を支援しており、両大学の研究力を生かしたシナジー効果により発展を目指します。共通基盤事業であるアカデミックセントラル(教育の司令塔)、デジタルユニバーシティー構想、DEIB宣言などの事業もさらに改革、発展させていくことは当然です。
 東海国立大学機構の掲げるT-PRACTISSという価値創造モデルに沿って、岐阜大学はすべての学部・大学院・部局の総力を結集して、「産業・まちづくり」、「ものづくり・食づくり」、「医療づくり」、「人づくり」を推進する『ぎふのミ・ラ・イ・エ構想』(Migration, Laboratory, Innovation, Education)を打ち立て、全力で走って参りました。
 これまでに内閣府による「地域中核・特色ある研究大学総合振興パッケージ」に関連する支援策等を8つ獲得できたことが強い追い風となり、この3年間で、しっかりと基礎づくりができたかと思います。
 岐阜大学の強みが活きる分野として、総合知を基盤として、「ライフサイエンス」、「ものづくり」、「環境・エネルギー」という3つの領域を定め、「教育・人材育成」「研究・価値創造」「社会連携・産学連携」「国際展開」の4つの戦略を軸として取り組みを進めています。

 「教育・人材育成」においては、豊かな教養と高い倫理観を持ち、課題解決能力を備えた専門職業人の養成を目指し、博士課程教育の強化や留学生の受け入れ増加など、国際通用性のある質の高い教育を展開することで、地域の発展に貢献しています。本年度から情報系人材の育成として、学士・修士の学生数の増員が実現しました。大学院博士課程の学生には次世代研究者挑戦的研究プログラム(SPRING)を獲得し、学費・生活費・研究費の支援が始まりました。
 さらに、社会システム経営学環では、2025年度から大学院の設置を行い、応用生物科学部も大きく学科などを組織改編し、大学改革をすすめました。
 「ぎふ地域創発人材育成プログラム」(SPARC)事業では、2024年3月に、大学等連携推進法人として認定を受け、中部学院大学、岐阜市立女子短期大学とともに連携開設科目を開講できるようになり、大学間連携による教育改革を推進しています。今後さらに参加校が増えることが期待されます。また、高大連携として「宇宙工学講座」やぎふ理系女子はばたき応援プロジェクトも大成功でした。
 「研究・価値創造」において、「ライフサイエンス」での、糖鎖生命コア研究所(iGCORE)における糖鎖研究と、医・薬・獣・工の連携から生まれたOne Medicineトランスレーショナルリサーチセンター(COMIT)における革新的な創薬シーズの研究開発が大きく発展しています。
 糖鎖研究では、1970年代に一人の研究者の努力から生まれた種が年月を経て岐阜大学で育まれ、名古屋大学の研究力とのシナジーを活かすことで大きな国家プロジェクトとなり、世界をリードできる研究分野として、糖鎖測定の世界標準化や認知症の新たな知見など進捗が期待されています。
 COMITでは、国立大学経営改革促進事業に採択され、大きく発展しているところです。東海機構コモンズ債による「医獣薬一体型非臨床研究施設」が2025年4月に竣工し、研究の加速が期待されます。また、創発的研究支援事業ではライフサイエンス領域からこれまでに2023年度2名を含む計7名が採択され、地域の大学の中では上位に位置しています。
 「ものづくり」では、自治体や地域産業界と連携してオープンした国内初の航空宇宙生産技術開発センターにおいて、ボーイング社、川崎重工株式会社、株式会社SUBARU、三菱重工業株式会社と共に、2024年度、NEDO先導研究プログラムに採択されました。CSAP (Consortium for Sustainable Aircraft Production)が設立され、研究の強化が期待されます。さらに地域の製造業の飛躍に貢献するスマート金型や新たな炭素繊維の研究成果を社会実装につなげる取り組みを展開しています。関の刃物サステナブル技術革新拠点の整備や、2025年4月より社会システム経営学環に開設される、「もの作り経営学講座」も大きな実績の1つです。
 「環境・エネルギー」では、気候変動、カーボンニュートラルへの貢献を目指す環境社会共生体研究センターを2024年4月に立ち上げました。国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)や国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援を受けて、水素、アンモニアなどのスマートエネルギーマネジメントやプラズマを活用した研究を名古屋大学と連携して推進しています。
 「社会連携・産学連携」として自治体との連携を拡大してきましたが、2024年10月までに岐阜県および県下の42の全市町村との教育研究あるいは産学連携の包括提携を締結し、オール岐阜体制で次の発展に向います。産学連携では、2024年2月に開所した地域の産学連携オープンイノベーション拠点「Tokai Open Innovation Complex 岐阜サイト(施設愛称:OKB岐阜大学プラザ)」において新たなイノベーション創出に取り組んでいます。アントレプレナーシップ教育では、岐阜大学公認の起業部の学生がビジネスコンテストなどで文部科学大臣賞をはじめいくつもの賞を受賞するなど実績を重ねています。
 「国際展開」は、知の循環を国際的に進めるために、大変大きな力を入れています。インド工科大学グワハティ校、マレーシア国民大学とのジョイント・ディグリープログラムの実績をベースに、アメリカの南フロリダ大学、フランスのリール大学、リトアニアのヴィータウタス・マグヌス大学やカウナス工科大学などと提携するなど、新たな交流の展開を図っています。さらにウズベキスタンのサマルカンド医科大学とも交流が始まり、モロッコのラバト国際大学とはエネルギー、気候変動における連携を進めています。

 我が国が国際社会でさらに活躍し世界をリードし、誰もが安心して豊かに暮らせる社会を実現するためには、科学技術・イノベーションの力で行うことが不可欠です。それには、社会からの要請を意識した研究や社会実装を目指し、大学などアカデミアと自治体や産業界との連携をさらに強化する必要があります。岐阜大学は「世界屈指の共創型社会実装大学」として、さらに発展する覚悟です。イノベーションを創出し、地域の発展に寄与するのみならず、新たな基礎研究の探索と人材育成を推進します。岐阜大学の教員・職員・学生、ステークホルダーの皆様とともにさらなる発展を目指して進みたいと思います。 (2025年4月1日)

岐阜大学長 吉田 和弘

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