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令和6年度岐阜大学大学院入学式 学長告辞

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岐阜大学大学院へのご入学おめでとうございます。

20240407_9.png  春爛漫の今日の良き日に、岐阜大学に入学された学部生1326名、大学院668名の皆様に心からお祝い申し上げます。
 皆さんは、まさにコロナ禍の中で大学生活がはじまり、講義、実験、実習も課外活動もままならない大学生活でした。また、地球温暖化や国際紛争勃発などの世界的、歴史的な逆境の中で、皆さんはよく勉学に励まれ、苦境を乗り越え、レジリエンスを身につけた経験を生かし、そしてさらに大学院進学という高い志を貫かれましたこと、心から敬服する次第です。そして、皆さんに、全学を代表して心から歓迎の意を表します。

20240407_8.png  私ども岐阜大学には4つの大学院前期課程、2つの大学院後期課程に加え、岐阜大学を基幹校とする2つの連合大学院、1つの共同大学院があります。大学院教育の機能強化のため、大学院前期課程である自然科学技術研究科が創設され、工学、応用生物科学、を融合し、とくにデザイン思考教育を付加価値とする課程であり、岐阜大学の教育で中核を形成する一つです。教職大学院、共同獣医学研究科、さらに連合教職大学院博士課程も合わせ、大学院教育の特徴ある強化が急速に進んでいます。
 連合大学院のうち本日は岐阜薬科大学と構成される連合創薬医療情報研究科入学の皆さんが、教職大学院入学の社会人の皆さんとともに出席されています。また本日は、東海国立大学機構の松尾清一(まつお せいいち)機構長もお祝いに駆けつけてくださいました。ありがとうございます。
 昨年まではコロナ禍の影響で、入学式典は3部に分けて行っておりましたが、本年度からは大学院と学部の2部構成で、さらに学部入学生を対象に、ウエルカムセレモニーを行うことといたしました。

 さて、我が国では現在、研究力を更に強化し、世界トップレベルの大学と地域変革を駆動する大学の育成をめざしています。すなわち、国際卓越研究大学と地域中核大学の形成です。従って、博士前期課程修了後、コースによっては博士後期課程への進学も大変魅力的な進路です。大学院生は我が国の宝です。皆さんの努力が岐阜大学の研究力を強化することとなり、イノベーションを創出し、社会や地域の課題・ニーズを解決し、地域の発展や我が国を再び世界のリーダーへ導くものと確信しています。私共も、多様性と公正さ、帰属意識を持って働きやすく、学びやすい環境づくりと、優秀な研究者や学生を惹きつけることができる、地域と世界に開かれ、かつ魅力的な大学づくりを行う覚悟です。
 岐阜大学と名古屋大学は、2020年(令和2年)4月から法人を統合し、国立大学法人東海国立大学機構として両大学が連携して新たな時代の先駆けとして、教育研究等活動に取りくんでいます。「Make New Standards for The Public ― 知とイノベーションのコモンズとして、常に国立大学の新たな形を追求し、地域と人類社会の進歩に貢献し続けることを、存在意義とする」との東海機構のミッションを踏まえつつ、岐阜大学は地域に軸足を置き、日本トップクラスの地域の中核大学を目指して「学び、究め、貢献する」人材を輩出するとともに、自治体や企業と連携し、地域の課題解決に具体的に貢献するイノベーションを起こしていくことを使命としました。
 本学の強みである、「産業・まちづくり」、「ものづくり」、「食づくり」、「医療づくり」、「人づくり」の分野でステークホルダーとの共創のもと、地域社会への教育・研究・社会貢献などから生まれる成果が地域を変えていくこの好循環を、「ぎふのミ・ラ・イ・エ構想」(Migration, Laboratory, Innovation, Education)と名づけ、岐阜大学の価値創造のモデルとして「地域と世界に開かれ、愛される岐阜大学、持続可能な研究大学」への発展を目指しています。

20240407_11.png  東海国立大学機構となって、教育面と研究面での改革が行われました。教育・人材育成 学部学生の共通教育においては、数理・データサイエンス・AI教育、英語教育などを名古屋大学と連携して単位互換性がある共通科目として開講することができました。さらに博士課程の学生を対象に学費免除や生活費研究費の支援が始まりました。
 研究では、社会課題・人類課題の解決に貢献し得る有望な研究テーマとして、「ライフサイエンス」、「ものづくり」、「環境・エネルギー」の3つの分野に力を注いでいます。糖鎖生命コア研究拠点(iG-CORE)、One Medicineトランスレーショナルリサーチセンター、航空宇宙生産技術開発センター、健康医療ライフデザイン統合研究教育拠点、低温プラズマ総合科学研究拠点、量子フロンティア産業創出拠点など6つの拠点が、岐阜大学と名古屋大学の強みを集結した東海国立大学機構連携拠点支援事業として、発展を目指しています。
 また、イノベーションを起こし、地域創生をリードするスタートアップの創出、育成・支援にも東海機構、自治体、産業界とともに推進しています。岐阜県とともに「ぎふスタートアップ支援コンソーシアム」を立ち上げ、岐阜大学起業部からも大学発ベンチャーが何社も生まれているので、アントレプレナーシップ教育を推進や起業支援などを通じて、今後も力強く応援していきたいと思います。

 慶應義塾大学を創設した福沢諭吉先生がよく使われた言葉に、「異端と先導」ということばがございます。その時代には誰もが考えつかないような発想や手段、すなわち、一見「異端」と思えることこそが、次の時代を「先導」するという教えです。

20240407_10.png  私自身の専門領域の消化器外科領域では、今ではおなかに小さな穴を開けて、そこから腹腔鏡というカメラを挿入し、小さな穴から手術を行う、腹腔鏡手術やロボット支援手術を行うのが、標準治療となっています。しかしながら、福沢先生は、大きくおなかを開けて行う開腹手術の方法さえ確立できていなかった100年以上前に、「近い将来、消化管の内視鏡や腹腔鏡の手術で病気を治すことができる時代が訪れる」ことを予見し書物に残しておられます。まさに、その当時としては誰も考えられなかった発想や方法で、当時は「異端児」と思われたことでしょう。それが新たなイノベーションを創出し、今では標準治療として時代を「先導」してきたことになります。
 大学院へ進学される皆さんは、是非とも「高い人徳と総合知」を身につけた上で、今の時代の「異端児」となって、次の時代の「先導者」となってください。これからの学生生活の中で、皆さんが今後世の中で活躍できるように、私どももしっかりとサポートさせていただきます。
 「大学で何を学ぶか、何のために学ぶか、学んだものをどう社会で活かすのか」、この問いを常に考えながら研究に励んでください。

 それでは本日から 皆さん一人一人において実り多いキャンパス生活が送れますよう心からお祈りして、学長の告辞とさせていただきます。

令和6年(2024年)4月7日
岐阜大学長 吉田和弘

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