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第72回岐阜大学学位記授与式・令和5年度(2023年度)岐阜大学大学院学位記授与式 学長告辞

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 本日、ここに第72回岐阜大学学位記授与式 及び令和5年度岐阜大学大学院学位記授与式を迎える運びとなりました。学位を取得された皆さん、誠におめでとうございます。また、本日は連合農学研究科の構成大学である静岡大学長の 日詰一幸(ひずめ かずゆき)先生がご列席下さっています。ありがとうございます。

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 昨年までは、コロナ禍のため講義、実験、実習も課外活動もままならない大学生活であり大学運営でした。皆さんはまさにそのコロナ禍による日常生活などの制限の中、学生の皆さんはよく勉学に励まれました。先生方もウィズコロナ、ポストコロナの新しい教育と研究指導を開発するという意気込みで対応して下さったものと思います。様々な観点から、学生さん、保護者の皆さん、先生方に最大の敬意を表する次第です。
 また本年、年始めには、能登半島地震により、多くの方が犠牲となり、被災されました。改めてお悔やみとお見舞いを申し上げます。多くの医療従事者が力を合わせ、医療を通じた社会貢献をいたしました。本学も迅速に災害派遣医療チーム(DMAT)を派遣し、ステークホルダーの皆様方にも支援をお願いし、微力ながら貢献できたこと、大変うれしくまた誇りに思うところでございます。

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 さて岐阜大学の起源は、1873年の岐阜師範学校に始まり、実に150年余りの歴史を有しております。そして、2020年4月、岐阜大学は名古屋大学との法人統合を果たし、新たに東海国立大学機構を設立し、本日は4度目の学位記授与式となりました。
 東海国立大学機構が掲げる「Make New Standards for the Public」というミッションを共有し、その上で「学び、究め、貢献する」という本学の理念のもと、ビジョンを「地域共創、特色ある研究、イノベーション、教育を戦略的に推進し、地域と人類の課題解決に貢献する『地域活性化の中核拠点』となる」と定め、ビジョンを実現するための戦略を策定しました。
 我が国や今後のアジア諸国では、少子高齢化が益々進みます。新型コロナウイルス感染症の影響によって経済活動の停滞や社会構造の変化、更にはウクライナ情勢や世界規模での物価高騰などの影響により、依然として厳しい状況が続いております。このような世界経済の減速リスクがある中で、社会課題を経済成長のエンジンへと押し上げていくためには、科学技術・イノベーションの力で行うことが不可欠です。時代の変化に首をうなだれることなく、逆境をものともせず、不死鳥のごとく新たな飛躍を遂げていこうとする強靱な精神性が、変革期には大切であります。歴史と伝統を受け継ぐとはこのように、時代のニーズに適合し、常に変化することであると考えます。

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 皆さんは岐阜大学での学びの中で、それぞれの課題を解決すべく、恩師や同僚と議論し、物事の考え方など人生のみならず、地球における社会課題の解決やSociety5.0の実現に向けて努力してこられました。
 さらに、コロナ禍という苦境を乗り越え、レジリエンスを身につけた経験を生かし、これまで皆さんが蓄えたエネルギーを大いに活用し、前途洋々たる未来に向かって邁進されることと確信しています。

 本日は、皆さんに学位記授与式という人生の節目において、私の大切にしている言葉をお話しさせて頂きます。
 私の敬愛する経営者の一人で、京セラやKDDIの創始者の稲盛和夫さんがよくおっしゃっていた言葉に、「守・破・離(しゅはり)」と言う言葉があります。皆さんもお聞きになったことがあると思いますが、守る、破る、離れると書いて、守破離と読みます。茶道の千利休の歌が発祥との説もあります。
 日本の茶道や武道などの芸道・芸術における師弟関係のあり方の一つであり、それらの修業における過程を示したもので、現代では仕事で物事を実行するために最も大切な基本姿勢で、昔から受け継がれている言葉です。
 まずは、師匠に言われたこと、師の流儀・型を習い『守る』ること。
 次に、師の流儀を極めた後に、他流も研究すること。その型を自分と照らし合わせ、自分に合ったより良いと思われる型をつくることにより、既存の型を『破る』こと。
 そして、自己の研究を集大成し、独自の境地を拓いて一流を編み出すこと。師匠の型、そして自分自身が造り出した個人は、自分自身と技についてよく理解しているため、型から『離れる』こと。
 上達への近道は「守破離」に沿って修行し、「素直な心」をもって人の意見をよく聞き、常に反省し自分自身を見つめることの出来る人です。これからの人生、きっと多くの挫折もある事かと思います。しかしながら、そういう努力をするからからこそ、思いもよらぬ幸運や予想外の発見や出会いがあることでしょう。
 これからの人生、皆様は社会における様々な場でご活躍のことであろうかと思います。どの様な道であれ、社会貢献として本当に役立つ人生を送ることが、この瞬間から始まるという自覚を新たにし、新鮮な気持ちを生涯持ち続けて、如何なる変化にも対応出来る、高度専門職業人としての能力を磨き続けてください。技術や専門知識のみならず、「豊かな心と総合知」を持った社会人として生涯「守破離」を忘れずに努力してください。多様な「知」が集い、新たな価値を創出する「知の活力」を生むことです。

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 最後になりますが、皆さんが元気に活躍される姿を拝見出来ることが私共にとっての喜びであります。そして本学で学んだ叡智とともに志を高く上げ、母校を誇りに思っていただく事、岐阜大学で築いてこられた人間関係、連携をつなぎグローバルに活躍できる人材になられることを願っています。さらに機会があれば皆さんと一緒に仕事ができることを心より楽しみにしておりますと申し上げ、学位記授与式の告辞とさせて頂きます。
 本日は誠におめでとうございました。

2024年3月25日

国立大学法人 東海国立大学機構
岐阜大学長 吉田和弘


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