大学案内

令和6年度岐阜大学入学式 学長告辞

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新入生の皆さん。入学おめでとうございます。

20240407_4.png  春爛漫の今日の良き日に、岐阜大学に入学された学部生1326名、大学院668名の皆様に心からお祝い申し上げます。新しく岐阜大学の仲間になった新入生の皆さんに、全学を代表して心から歓迎の意を表します。
 皆さんは、3年におよぶコロナ禍に加えて、地球温暖化やウクライナやパレスチナなどの国際紛争勃発などの世界的、歴史的な逆境の中で、見事に志を貫かれ岐阜大学に入学されました。新たな人生の大きな船出に、意気揚々と未来に向かって夢を描いておられることと思います。これまで皆さんを支えてくださった、ご家族、先生そして関係者の皆様にも心からお祝いと敬意を表したいと思います。本日は東海国立大学機構の松尾清一(まつお せいいち)機構長もお祝いに駆けつけてくださいました。ありがとうございます。
 昨年まではコロナ禍の影響で、入学式典は3部に分けて行っておりましたが、本年度からは大学院と学部の2部構成で、さらに学部入学生を対象に、ウエルカムセレモニーを行うことといたしました。

20240407_1.png  本日から皆さんの学び舎となる岐阜大学とはどんな大学なのかを、まず知っていただきたいと思います。
 岐阜大学は教育学部、応用生物科学部、地域科学部、工学部、医学部、そして社会システム経営学環から成る中規模総合大学です。岐阜大学としての創立は1949年ですが、前身として最も古い岐阜師範学校まで遡るとスタートは1873年、150年余りの歴史を有しています。我が国で4番目に古い大学として位置づけられています。さらに応用生物科学部も1923年(大正12年)創設と大変古い歴史を持っており、昨年は開校100周年の祝賀会を開催いたしました。工学部,医学部はいずれも昭和10年代ですが、岐阜大学医学部附属病院の起源は岐阜県が1875年(明治8年)に公立病院及び附属医学校を司町に設置したことに遡ります。

 さて、皆さんを取り巻くこれからの社会は、情報を基盤としてビッグデータやAI、ロボット、IoTが社会の重要な役割を担う超スマート社会が大きく進展していきます。知識集約型社会へ移行し、我々人間自身までをも含む社会のあらゆるものが情報の集合体として捉えられ、それが活用されて新しい価値を産み出していくこととなります。さらにグローバル化が進展し、「知」の創出と展開が社会の活力となり、発展の基盤となるでしょう。
 これらの状況を背景に、岐阜大学と名古屋大学は2020年(令和2年)4月から法人を統合し、国立大学法人東海国立大学機構として両大学が連携して新たな時代の先駆けとして、教育研究等活動に取りくんでいます。「Make New Standards for The Public ― 知とイノベーションのコモンズとして、常に国立大学の新たな形を追求し、地域と人類社会の進歩に貢献し続けることを、存在意義とする」との東海機構のミッションを踏まえつつ、岐阜大学は地域に軸足を置き、日本トップクラスの地域の中核大学を目指して「学び、究め、貢献する」人材を輩出するとともに、自治体や企業と連携し、地域の課題解決に具体的に貢献するイノベーションを起こしていくことを使命としています。
 そこで本学の強みである、「産業・まちづくり」、「ものづくり」、「食づくり」、「医療づくり」、「人づくり」の分野でステークホルダーとの共創のもと、地域社会への教育・研究・社会貢献などから生まれる成果が地域を変えていくこの好循環を、「ぎふのミ・ラ・イ・エ構想」(Migration, Laboratory, Innovation, Education)と名づけ、岐阜大学の価値創造のモデルとして位置づけました。「地域と世界に開かれ、愛される岐阜大学、持続可能な研究大学」への発展を目指しています。

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 さて、これから大学生活を送る皆さんの直接の学びについてお話しします。岐阜大学はバラエティに富む学問領域と豊富な教授陣を有しています。学生諸君は、自分の選んだ学部、学科のみでなく、一層広い学問体験を得ることができます。特に全学共通教育では学際的な選択もおすすめしますし、東海機構全体としての拡充も大いに活用して下さい。さらに卒業後の進路は就職、大学院進学などに分かれますが、どの方向を選ぶにせよ堅実な支援を提供します。

 東海国立大学機構となって、教育・人材育成 学部学生の共通教育において、数理・データサイエンス・AI教育、英語教育などを名古屋大学と連携して単位互換性がある共通科目として開講することができました。さらに博士課程の学生を対象に学費免除や生活費研究費の支援が始まったことは大きな成果です。また学生自らがスマホなどを使って目標とする学修レベルに対する達成で状況を自己評価できる学生ステータスシステムの運用を開始しました。教育成果、学修成果を可視化するシステムを構築した大学は国内初です。
 また、岐阜大学では、多くの外国人留学生や研究者がキャンパス生活を送っています。岐阜大学が学術交流協定を締結した大学は欧米からアジア、オセアニアまで49大学ありますし、学部によっては海外での研修を支援する制度もあります。また、協定校のインド工科大学グワハティ校(IITG)及びマレーシア国民大学(UKM)とジョイント・ディグリープログラムとして4つの国際連携専攻を開設しています。
 これからの日本は一層のグローバル化が求められていますが、そのためには双方向の交流が必須です。岐阜大学を足場に、ぜひグローバルな経験を積んでいただきたいと思います。

 研究面では、社会課題・人類課題の解決に貢献し得る有望なテーマとして、「ライフサイエンス」、「ものづくり」、「環境・エネルギー」の3つの分野に特に力を注いでいます。糖鎖生命コア研究拠点(iG-CORE)、One Medicineトランスレーショナルリサーチセンター、航空宇宙生産技術開発センター、健康医療ライフデザイン統合研究教育拠点、低温プラズマ総合科学研究拠点、量子フロンティア産業創出拠点など6つの拠点が、岐阜大学と名古屋大学の強みを集結した東海国立大学機構連携拠点支援事業として、発展を目指しています。

20240407_2.png  さて皆さんは本日から、大学生です。選挙権を持った成人であり社会人です。大学における勉学は自分の責任において社会人としてなす行動でもあると言うことを自覚してください。すなわち、これまでの受け身的な学習ではなく、自分自身で考え行動し、一生懸命努力することを身につけてください。
 慶應義塾大学を創設した福沢諭吉先生がよく使われた言葉に「異端と先導」という言葉があります。その時代には誰も考えつかないような発想や手段、即ち一見「異端」と思えることこそが、次の時代を「先導」することができるという教えです。
 私自身の専門領域の消化器外科領域では、今ではおなかに小さな穴を開けて、そこから腹腔鏡というカメラを挿入し、小さな穴から手術を行う、腹腔鏡手術やロボット支援手術を行うのが、標準治療となっています。しかしながら、福沢先生は、大きくおなかを開けて行う開腹手術の方法さえ確立できていなかった100年以上前に、「近い将来、消化管の内視鏡や腹腔鏡の手術で病気を治すことができる時代が訪れる」ことを予見し書物に残しておられます。まさに、その当時としては誰も考えられなかった発想や方法で、当時は「異端児」と思われたことでしょう。それが新たなイノベーションを創出し、今では標準治療として時代を「先導」してきたことになります。

20240407_3.png  新入生の皆さん、清流と緑に囲まれたこの美しい岐阜大学のキャンパスで、のびのびと勉学に励み、体を鍛え、たくさんの友人を作り、人生を語り、「高い人徳と総合知」を身につけた上で、今の時代の「異端児」となって、次の時代の「先導者」として育ってください。私どもも精一杯その支援をさせて頂きます。
 それでは本日から皆さん一人一人にとりまして実り多いキャンパス生活が送れますよう心からお祈りして、学長の告辞とさせていただきます。

令和6年(2024年)4月7日
岐阜大学長 吉田和弘

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