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令和4年度(2022年度)第71回岐阜大学学位記授与式 学長告辞

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 本日、ここに第71回岐阜大学学位記授与式を迎える運びとなりました。学部卒業生の皆さん、誠におめでとうございます。

 昨年はコロナ禍に加え、ロシアのウクライナ侵攻により、世界は歴史的なダメージを受けました。社会生活の制約や物資・電気代の高騰など大学運営も極めて厳しい状況に直面いたしました。
 特にこの3年間はコロナ禍のため講義、実験、実習も課外活動もままならない大学生活であり大学運営でした。そのような状況においても、学生の皆さんはよく勉学に励み、先生方もウィズコロナ、ポストコロナの新しい教育と研究指導を開発するという意気込みで対応して下さったものと思います。今日の卒業式も本来なら大勢の保護者と在校生に見守られ、合唱をもって送り出して頂くところですが、このような形となっています。改めまして様々な観点から、学生さん方、保護者の皆さん、先生方に最大の敬意を表する次第です。

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 さて岐阜大学の起源は、1873年の岐阜師範学校に始まり、実に150年の歴史を有しております。そして、2020年4月、岐阜大学は名古屋大学との法人統合を果たし、新たに東海国立大学機構を設立し、本日は3度目の学位授与式となりました。
 東海国立大学機構が掲げる「Make New Standards for the Public」というミッションを共有し、その上で「学び、究め、貢献する」という本学の理念のもと、ビジョンを「地域共創、特色ある研究、イノベーション、教育を戦略的に推進し、地域と人類の課題解決に貢献する『地域活性化の中核拠点』となる」と定め、ビジョンを実現するための戦略を策定し、ステークホルダーの皆さんと一緒に新たな時代を切り開くこととなりました。
 このような歴史の中で、これまでに多くの秀でた先輩を輩出して参りました。先輩の皆さんは日本国内のみでなく、諸外国の教育機関、企業、行政機関など様々な分野で活躍をしておられます。最近ではグローバル企業や最先端企業のトップ、市長や外国の大学長に就任される方もいらっしゃるようになりました。私ども岐阜大学の学部、大学院が日本国内でも国際的にも良い評価を受けているのは、このような諸先輩の活躍があってのことであります。次の時代での岐阜大学の評価はまさに皆さん自身のこれからの活躍にかかっています。
 皆さんは岐阜大学での学びの中で、「万物の理(ことわり)」の探求を行うべく、学び、恩師や同僚と議論し、物事の考え方など人生のみならず、地球における社会課題の解決やSociety5.0の実現に向けて努力してこられました。
 さらに、コロナ禍という苦境を乗り越え、レジリエンスを身につけた経験を生かし、これまで皆さんが蓄えたエネルギーを大いに活用し、前途洋々たる未来に向かって邁進されることと確信しています。

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 本日は、皆さんに岐阜大学卒業式という人生の節目において、2つほどお話しさせて頂きます。
 まず第一に、これからの人生において、「夢」を描くことを忘れないでください。それぞれの時代において、10年後の自分のあるべき姿を考えてください。その10年ごとの繰り返しと、どれだけ真剣に自分の将来を考えたかが、ご自分の人生を決めることとなるでしょう。夢の実現に向かって、綿密に計画をたて、実践する事が肝要です。きっと多くの挫折もある事かと思います。しかしながら、そういう努力をするからからこそ、思いもよらぬ幸運や予想外の発見、すなわち「セレンディビティ」との出会いがあることでしょう。セレンディティとの出会いが、より豊かな人生を切り開くことでしょう。「成功する人は夢をかたり、不運な人は愚痴を言います。」それぞれの時代において、自分を見つめる時の参考にしていただけると幸いです。
 二つ目です。
 5月からはポストコロナとしての新たな時代が始まります。皆様は社会における様々な場でご活躍のことであろうかと思います。どの様な道であれ、社会貢献として本当に役立つ人生を送ることが、この瞬間から始まるという自覚を新たにし、新鮮な気持ちを生涯持ち続けて、如何なる変化にも対応出来る、高度専門職業人としての能力を磨き続けてください。

 岐阜県の誇る、関市は700年の歴史を持つ日本刀を含めた刃物の聖地です。
 優れた日本刀を作るには、鉄を火に入れ、たたき、伸ばして、風に当て、水に入れ、また火に入れ、たたき、研磨して、そうしてはじめて、しなやかで、輝きを放ち、折れにくく、美しい、日本刀が完成します。まさに、鍛錬(たんれん)の後にこそ、優れた日本刀ができます。皆さんも優れた、技術や専門知識のみならず、「総合知」を持った社会人として生涯「鍛錬」を忘れずに努力してください。多様な「知」が集い、新たな価値を創出する「知の活力」を生むことです。
 先日のワールドベースボールクラシック(WBC)では、激戦の末、我が国は優勝することができ、国民に勇気と希望を与えてくれました。全ての選手が、一打席一打席、一球一球のために、鍛錬し、考え、悩み、そして少ないチャンスで活躍できるように精一杯練習を重ねる。それをチームとしてお互いを信じ合うという素晴らしい試合の数々でした。そしてインタビューで出てくる言葉は、みな「感謝」という言葉でした。これからの長い人生、皆さんがどの領域であろうと、少ないチャンスで思う存分活躍できるように、平時から鍛錬を重ね、感謝の言葉が語れることが、成功につながる優待券となることでしょう。

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 最後になりますが、皆さんが元気に活躍される姿を拝見出来ることが私共にとっての喜びであります。そして本学で学んだ叡智とともに志を高く上げ、母校を誇りに思っていただく事、岐阜大学で築いてこられた人間関係、連携をつなぎグローバルに活躍できる人材になること、さらに機会があれば皆さんと一緒に仕事ができることを心より楽しみにしておりますと申し上げ、告辞とさせて頂きます。
 本日は誠におめでとうございました。

2023年3月25日

国立大学法人 東海国立大学機構
岐阜大学長 吉田和弘


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