生成AIの教学上の方針
岐阜大学における生成AI(generative AI)の教学上の利用に関する基本方針
令和5年7月3日
岐阜大学
【基本方針】
岐阜大学は、社会を牽引し、未来を創造するため、豊かな教養と「自ら学ぶ」姿勢を涵養し、高い倫理観とともに課題を探求し解決しうる能力をもった高度な専門職業人を養成することとしています。
このため、教育の質保証システムの充実、対面・遠隔授業のベストミックスや学修成果の可視化など教育学修環境の整備を推進しています。
ChatGPTなどの生成AI は、現在まだまだ問題点がありますが、今後必ず進化して行き、将来的には生成AI を上手に使いつつ、生成AI には生み出せない新たな価値を創出できる人材が必要とされることが予想されます。
以上のことから、本学では、生成AI を使えないと切り捨てたり、過度に恐れて利用を避けたりするのではなく、教育学修環境における新たなツール、あるいは環境そのものと捉え、以下のような特性や問題点が存在することを十分理解した上で活用していくこととします。
(留意事項)
1.情報の信頼性と正当性の不十分さ
ChatGPT などの生成AI は、ネットワーク上に流布している情報を利用して結果を出力するため、誤っている情報、著作権で保護されている情報、差別的言葉が含まれている可能性があります。生成AI に限らず、インターネットから得られる情報を上手に利用するためには、正しい知識と適切な判断力が必要です。
2.情報流出の危険性
ChatGPT などの生成AI に限らず、Google 翻訳などのほぼすべてのクラウドサービスは、入力した情報を収集し、それをサービスの向上に利用します。その際、サービスの運営者が悪意を持って、あるいは誤って情報を流出させる可能性も否定できません。そのため、個人情報や機密情報など秘匿すべき情報は入力しないよう留意する必要があります。
3.思考力・表現力の劣化
学生がChatGPT などの生成AI によって出力された情報をそのまま利用するなど、生成AI に頼りきりになると、思考力・表現力が劣化する恐れがあります。今後の人生を生き抜く上で、必要な思考力と表現力を涵養することが重要であり、学生が正しく活用できるように適切な措置を講じる必要があります。
【授業等における対応】
1.生成AI の授業における利用について
授業におけるChatGPT などの生成AI の利用については、教員等の判断により、あらかじめ上記留意事項と併せて、授業において使用できる範囲や使い方などについて受講生に説明するとともに、教育内容や成績評価の方法等について考慮する必要があります。
2.試験及びレポート課題等における工夫
隔離された試験会場で行うテストを除き、自宅で行うレポート課題においては、たとえ利用を禁止したとしても受講者によるChatGPT などの生成AI の不正な利用を発見することは困難です。しかしながら、教員がその特性を理解していれば、生成AI では答えられないような課題を出題することも可能です。そのため、教員自らが生成AI の挙動や長所、短所、特性を知った上で工夫や対策を講じる必要があります。
上記の内容については、現時点の状況に基づくものであるため、今後の社会動向や関係機関等における議論を踏まえ、必要に応じ適宜見直しを行います。
岐阜大学における生成AIの教学上の利用に関する基本方針についてR5.7.pdf