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地域の明日を、ぼくらで創る。

まちの最前線に飛び込んで 先駆者たちと切磋琢磨しながら
地域を面白くしていきたい。

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05.png 柳ケ瀬商店街
岐阜県岐阜市の中心部にある商店街。高度成長期には、映画館や百貨店のほかさまざまな小売店が集まり、全国でも有数の繁華街として発展した。バブル崩壊以降、郊外に大型商業施設が増えた影響などによって商業施設の閉店が相次ぎ、徐々に衰退。
近年は、人気イベント「サンデービルヂングマーケット」が平成26年から毎月開催され、遊休不動産を活用した店舗がオープンするなど、時代に合わせたまちづくりが進んでいる。個性やこだわりのある人の顔が見える商店街の良さを、月1回のマーケットの場で高めて良質な客層をつくったことなどが評価され、柳ヶ瀬商店街周辺のエリアリノベーションは、2022年度GOODDESIGN賞を受賞。

興味を持つきっかけは高校での出前授業

 三重県四日市市出身の僕が社会システム経営学環に進学したきっかけは、高校1年生時の出前授業でした。ゲスト講師として登壇された出村嘉史先生のまちづくりに関する話を聞いて、まちの成り立ちや地域活性化の取り組みに興味を持ち始めたのです。最初からまちづくりに興味があった訳でなく、実は他の出前授業を受けたいと思っていました。しかし、抽選で漏れてしまい、出村先生の授業を受けたのは偶然なんです(笑)。思い返すと運命的なものを感じますが、何がきっかけで自分の気持ちや進路が変わるか分からないものですね。
 そして、高校2年生の時は、1年間を通して自由に課題を決めて、その成果を発表する「総合的な学習の時間」がありました。出前授業で学んだことを自分でもやってみたいと思っていたので、四日市諏訪商店街の活性化についてレポートをまとめることにしました。市役所や商工会議所に行ってまちの歴史や統計に関する資料を集めたり、商店街の方にインタビューしたりするのは大変でしたが、自分が興味を持った領域を探求することはとても楽しく、有意義な時間でした。
 それから高校3年生の秋を迎え、進路について悩んでいた頃、出村先生が出前講義で、令和3年度にビジネス、まちづくり、観光を学べる学部相当の組織が新設し、そこで教鞭をとられる予定と話されていたことを思い出し、社会システム経営学環への進学を考え始めました。そこで、受験勉強へのモチベーションを高めようと、下見を兼ねて岐阜市に向かい、岐阜大学のキャンパスや中心市街地を散策。柳ケ瀬商店街を回っていた時に、「リノベーションスクール@岐阜」のチラシを見つけ、興味をそそられました。リノベーションスクールに携わっている岐阜市にぎわいまち公社の方から、有志の方が、まちを良くしたい、面白くしたいという思いで参加していると聞き、リノベーションスクールにも応募しました。そこで、まちづくりに関わる受講者の強い当事者意識に刺激を受け、僕もまちづくりに携わりたいと思ったのです。

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リノベーションスクールに参加し リアルなまちづくりを実践

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 そもそもリノベーションスクールとは、リノベーションを通じた都市再生手法を学ぶ短期集中型の学校。まちなかの遊休不動産を活用するビジネスプランをまとめ、行政職員や不動産オーナーの前でプレゼンテーションをします。岐阜市も人口減少時代におけるまちづくりの手法として「リノベーションまちづくり」を推進しており、その一環として令和元年から毎年開催されています。受講生は、社会人がほとんどで、僕らのチームでは学生は僕を含めて2名。知識も経験も無いため、社会人の皆さんについていけない部分もあり、なかなかハードな環境でしたが、振り返ると思い切って受講してみて本当に良かったと思います。
 僕が受講した「第3回リノベーションスクール@岐阜」の対象エリアは柳ケ瀬商店街。事前のオンライン講義で、エリアの特徴や基礎データを分析。当日は7人ほどの4つのグループに分かれ、対象となる遊休不動産を実際に見学し、オーナーからヒアリングを行いました。僕たちのグループに与えられた課題は、レンブラントビルという古いビルに新しい価値を与えること。物件や周辺の様子を見学した際に、1階のピロティが通りに向けて開かれていて、いい意味で区切りが曖昧になっているところを生かそうと考えました。
 グループのメンバーと話し合った末、まとまったのが「PINPONG DONUTS」というプラン。卓球ができて、ドーナツを買える場所をピロティに設けて、ここからまちを盛り上げられないかと考えました。突拍子がないアイデアに聞こえるかもしれませんが、近くに若者に人気のコーヒーショップがあり、コーヒーと相性が良く、片手で手軽に食べられるドーナツ。誰でも気軽に遊べ、近年は健康法としても評価されている卓球。幅広い世代が楽しめるものを追究した結果、この2つを組み合わせるとより効果的だという結論に至りました。
 プレゼンテーションでは、メインのスピーカーを務めました。中間発表でいろいろと指摘を受けていたので不安がありましたが、幸いなことに審査員の皆さんから高く評価していただけました。卓球台をテーブルとしても使えるよう考えていたことや過度な初期投資をしなくても始めやすい企画だったことが評価につながったようです。「ぜひこのアイデアを実行して、老若男女が楽しめる場を柳ケ瀬でつくってほしい」と激励されましたので、リノベーションスクール修了以降は、柳ケ瀬商店街で毎月開催されているイベント「サンデービルヂングマーケット」に合わせて、他の受講生とともに「柳ケ瀬卓球部」と題したイベントを企画。レンブラントビルに卓球台を設置し、蒸しパンやドリンクなどの販売を行ったところ多くの方の交流が生まれ、一定の手応えを感じることができました。今のところは単発の企画ですが、まちでの反応を確かめながら、より面白い形で展開していければと思っています。

リノベーションスクール@岐阜

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複数人の受講生が1つのユニットとなり、実在する遊休不動産を対象に、全国的に実績のある講師のアドバイスを受けながらエリア再生を前提とした物件活用案を作成し、不動産オーナーへ提案する実践型セミナー。
リノベーションスクールは、全国の各地方自治体で展開されており、岐阜市では「リノベーションまちづくり」を推進する一環として、令和元年から3回に渡って開催された。
「リノベーションまちづくり」とは、遊休不動産と人や文化、産業などの潜在的な地域資源を組み合わせ、民間主体の取り組みにより、まちの活性化や課題解決につなげていくもの。既存資源を活用することで、解体・新築型の事業と比べ、まちの風景を残すとともに初期コストを抑え、早いスピードで事業を始められることが特徴。

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社会システム経営学環で より学びを深めていく

 1年生ということもあり、社会システム経営学環での専門的な学習はまだまだこれからですが、まちづくりについてより深く追究していけそうなので、とても楽しみです。今後の講義では、2年後期から企業や自治体が抱える問題の解決に1年以上かけて取り組む「デザイン実習」を頑張りたいと思っているので、それまでに基礎的な知識や考え方を身につけたいと思っています。
 実は、入学当初は四日市市の実家から気合で通っていました。ただ、さすがに往復4時間以上の通学がしんどくなり、岐阜市内の古民家でシェアハウスを始めました。社会人2人と同居していて、仕事の話を聞いたり、まちの活性化について議論したりすることもあるので刺激になります。一人暮らしも良い経験になると思いますが、大人と話すことを楽しめる人はシェアハウスもおすすめです。アルバイトも、リノベーションスクールで知り合った方に紹介していただいたので、面白いことをしている大人がいる場所に積極的に飛び込んでいくと、出会いや発見があって面白いと感じています。
 また、起業部に所属し、顧問の上原先生や先輩方からさまざまなことを学んでいます。正直なところ現時点起業を考えている訳ではありませんが面白そうだったので飛び込んでみました(笑)。ここでも意識の高いメンバーや学外の方と触れ合う中で刺激を受けているので、どんどん人と会ってコミュニケーションをとり、自分とは違うアイデアを吸収していきたいです。


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新しい交流が生まれる場をつくり まちの活性化につなげたい

 現在取り組んでいるのは、社会システム経営学環が柳ケ瀬商店街で借りているビルの一室を、大学生と高校生が交流できるコミュニティスペースに改装するプロジェクト。社会システム経営学環の先輩と一緒に動いていて、今年度中には設置できる見込です。僕自身、高校生だった時に大学生と気軽に話せる場所があったらいいなと思っていましたし、大学生にとって高校生とコミュニケーションをとることで得られるものも大きいと感じています。アクセスの良さを生かしてサテライトキャンパスのように利用していければと思っているので、完成したら自習やワークショップの会場にするなど、実践しながら良いあり方を模索していきたいです。
 リノベーションスクールへの参加や社会システム経営学環に入学したことで、岐阜のまちに大きな可能性を感じるようになりました。柳ケ瀬商店街についても、すれ違う歩行者同士の肩がぶつかるほどにぎわっていた時代を知っている世代の方からすると現在の状況は寂しく感じるかもしれませんが、リノベーションまちづくりが現在進行形で成功しているモデルケースだと思います。遊休不動産を活用して新しくお店を始める若い人が増えていますし、市民発信で始まったサンデービルヂングマーケットなどのイベントも盛り上がっていて、まちづくりの会社も機能しているので、県外出身の僕からするとすごくうらやましい(笑)。数年前までこんなに岐阜のまちや人と関わりを持つとは思っていませんでしたが、折角の機会なので、より深く関わっていきたいです。そして、これからやっていきたいのが、同世代を巻き込んでいくこと。まちに遊びに行くだけでなく、自分たちがまちづくりの当事者になることでもっと面白いことができるはず。幅広い世代と交流を図るとともに、若者同士がつながってまちを盛り上げていきたいです。
 卒業後の進路はまだおぼろげですが、まずは知識を深めるとともに視野と選択肢を広げたいと思っています。また、高校生の頃はコロナもあって行きたくても行けないことが多かったので、全国のまちづくりの事例を実際に見て回りたいです。そして、いつかは地元の活性化にも貢献できればと思っています。

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社会システム経営学環の学生自らリノベーションしたコミュニティスペース。社会システム経営学環の学生だけでなく、高
校生などにも開放される予定。

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