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東海地区の大学生が起業プランを競うビジネスコンテストで3位を獲得! 今後も自分の想像を超える挑戦をし続ける。

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これまで頭になかった起業が授業を通じて将来の選択肢に

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 私は大学3年生になるまで,起業に興味を持ったことがありませんでした。そんな私が変わるきっかけになったのが,3年生の前期に興味本位で受講した「イノベーション型インターンシップⅠ」という授業です。

 授業では,マーケティングや会社における課題解決方法,資金調達の仕方など,事業計画の立案や起業に必要な基礎知識を学びました。ある時,先生から学外の起業家向けイベント「Startup Weekend 名古屋」に参加することを勧めていただき,授業を通じて少しずつ起業に興味を持ち始めていた私は,せっかくならと参加を決めました。

 いざイベント会場に足を運んでみると,参加者のほとんどが社会人。数人のメンバーでチームを組み,新規事業を立ち上げ,起業を疑似体験するという,かなり本気度の高いイベントでした。私が参加したチームは,アプリを開発する企業の立ち上げを目指すことになったのですが,まだ大学生の私は,知識も経験も,他のメンバーの足元にも及びません。それでも,自分にできることは何でもやろうと必死に考え,アプリ開発に役立つ情報を得るために,実際に外に出てインタビューに駆け回りました。このイベントを通して事業を立ち上げることの面白さや大変さを体感することができました。そして,東海地区の大学生などが起業プランを競い合う「Tongaliビジネスプランコンテスト2019」に参加することを心に決めたのです。

Tongaliプロジェクトとは?

東海地区の大学の学部生,大学院生,博士研究員,教職員,卒業生を対象に,次世代の起業家を育成・支援するためのプログラムを提供する東海地区国立5大学によるプロジェクト。ものづくりの集積地である東海地区は,以前から産学連携が活発に行われてきた一方で,大学発のベンチャーの設立は少なく,起業家を目指す学生も少数だった。そこで,東海地区を拠点に新規事業を生み出すことができる人材を育成・支援すべく,東海5大学を対象としたファンドが創設された。それを契機に平成28年から本プロジェクトが始動。活動拠点の提供,活動資金の援助,起業に関する情報やノウハウを発信するイベントなど内容は多岐にわたり,起業家教育のみならず,起業の準備から事業展開にいたるまでサポートを行っている。 [Tongali
 ビジネスプランコンテストとは]


東海地区の大学および大阪大学のすべての学部生,大学院生,博士研究員を対象に,学生が持つ技術やアイデアをもとに起業するプランを競い合うコンテスト。本コンテストで選ばれた優秀なビジネスプランには,さまざまな賞に加えて活動支援金が授与される。

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コンテストに参加することで自分の未熟さと可能性を実感

 起業プランを立てるには,新しい製品やサービスを生み出すだけではなく,利益を生み出す仕組みや成長戦略を考え,本当にビジネスとして成立するかを示さなければいけません。コンテストに向けて,まずはそれらを専門的に学ぶために「Tongaliプロジェクト」の起業家育成スクールに通いました。実際に起業した方から,起業に必要なプロセスや情報を教わりましたが,特に印象深かったのが20代前半の若い起業家の方のお話でした。私と年齢がほとんど変わらないにも関わらず,起業して活躍している。そのことに大きな刺激を受けました。

 また,大学では武野明義先生の研究室に入りました。先生が開発された,世界唯一の特殊繊維「ナノ多孔ファイバー」の技術について理解を深めることができれば,起業につながるような新しい製品のアイデアが生まれそうだと考えたからです。

 そして私は,繊維に機能性分子を挿入できる「クレージング法」という特許技術に注目し,蚊よけの機能を持たせた衣服を商品化するアイデアを思い付きました。これを使えば,発展途上国でマラリアなどの感染症の予防に役立つ上に,国内・海外に関わらず野外で作業する農家の方にも需要があるのではないか。そしてこの商品をアパレルメーカーなどに提案し,特許技術のライセンス料で収益を得られれば,ビジネスとして成立できると確信したのです。

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複数人のチームでの参加が多い中,プラン立案から資料作成,当日のプレゼンにいたるまで,全て一人
で担当した長曽我部さん。3位ながら参加チーム最多の協賛各賞を獲得した。また,コンテストでは,
2020年3月にアメリカテキサス州で開催される世界最大級の複合イベント「サウス・バイ・サウスウエ
スト」の挑戦権を獲得。最終選定審査会に参加し,見事代表に選ばれた。

 この起業プランでコンテストの選考会に臨み,全18チーム中1位を獲得し本戦に出場。本戦では100人以上の観客の前で発表をするという今までにない経験をしました。残念ながら優勝は逃しましたが,審査員や協賛企業からの評価は上々で,実際に事業化に向けた計画が動きはじめています。

 私は実際に起業プランを考える中で,ビジネスとして事業を成立させることの難しさ,そして自分の未熟さを痛感しました。でも"今しかできないことをやりきろう"と思って全力で挑戦したことで一回り成長できたかなと思います。また,将来について深く考える機会が増え,起業も一つの選択肢だと思うようになりました。

 1年前は今の自分を想像できませんでした。ただ,自分で想像できるような未来では面白くありません。世の中には無駄な失敗はなく,すべては今後の自分につながる貴重な経験だと私は信じています。これからも視野を広げるため積極的に行動を起こし,自分の想像を超える挑戦をし続けていきたいです。


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私のこれまでの教員経験の中でも,4年生の段階でここまで社会のことを深く理解し,起業を視野にビジネスを考えられる学生はいませんでした。いきなりは難しいかもしれませんが,ぜひ将来的には起業家の道を歩んでほしい。海外企業によく見られるように,技術者でありながら経営者としても活躍してくれることを期待しています。

岐阜大学工学部化学・生命工学科
物質科学コース
武野 明義 教授

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