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大学構内への設置は日本初!
橋などの実物大模型が並ぶインフラミュージアムを開設。

インフラミュージアム

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昔の工法と現在の工法を比較して学べる模型を設置。

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 岐阜大学では平成29年8月,「インフラミュージアム」を開設しました。
 正門脇駐車場の一角に,鉄筋がむき出しになったコンクリート橋や鋼橋,内部の構造が分かる輪切り状のトンネル模型を設置。実物大で再現した模型を通じて,仕組みや構造,過去の工法について学習できます。実社会で起こるインフラに関する様々な課題に対応できる能力を養ってもらうのが狙いです。平成30年夏には,道路などに使われる盛土の再現模型も完成しました。

 高度成長期に各地で道路や橋などが整備されてから,すでに半世紀余りが経過しています。人口減少が加速する中,老朽化した社会基盤(インフラ)をいかに維持管理していくのかが喫緊の課題となっていますが,高度成長期に活躍したインフラ整備の担い手たちは,すでに引退時期を迎えています。
 これから維持管理を行う人材は,新設工事に携わった経験がなくても,橋やトンネル,道路をメンテナンスする必要に迫られているのです。中には,現在とは全く異なる工法で作られたものもあり,当時のトンネルや橋りょうなどの内部構造を理解している確かな技術力を持ったメンテナンスの専門家の育成が急務となっています。
 そこで,インフラミュージアムの実物大模型には,1950年代頃から現在までの数多くの工法を盛り込みました。例えば,トンネルモデルでは,掘削側面を鋼製支保工と覆工コンクリートで支える昔の工法と,吹付けコンクリートとロックボルトで固定する最近の工法を使い,2つの内部構造の違いを確認できる造りになっています。

 平成29年8月のインフラミュージアム設置記念式典には,学内外から220人を超える技術者・研究者が集まりました。以降も多くの方が見学に訪れ,見学者数はすでに1,200人を超えています。
 学内でも模型を使った実験などに活用しており,安全管理が行き届いた環境下で,学生たちが構造物の計測などを行える貴重な実体験の場となっています。最近の学生は,座学は得意ですが,野山を駆け回って遊ぶといった実体験に乏しい傾向があります。そのため,構造物のスケール感を掴めない学生が少なくありません。そんな中,学生時代に実物大の模型に触れる機会を頻繁に持ってもらうことは,社会基盤を維持管理する人材を育成する上で,意義が大きいと考えています。

実物大のコンクリート橋モデル
実物大のコンクリート橋モデル(写真左)。
トンネルモデル(写真右)は、1980年代前半まで使われてきた「矢板工法」と、現在主流となっている「NATM法」の2つの工法を使って作られており、両者の構造の違いを比較しながら学習できる。

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ME養成講座を通じて優秀な土木技術者たちを育成。

02.jpg  インフラミュージアムは,私がセンター長を務める岐阜大学工学部附属インフラマネジメント技術研究センターが実施している社会基盤メンテナンスエキスパート(ME)養成講座でも活用しています。
 ME養成講座は,インフラの点検や診断だけでなく,評価ができる技術者を育成するための社会人専用の教育プログラムです。行政機関の職員と建設業界の技術者が同じ内容を学び,発注者と受注者が相互に理解を深めることで,より高品質なインフラ整備に繋げていくのが目的です。今年度で11 年目を迎えましたが,今までに444名がME資格を取得しています。

 公共事業に使える予算が限られる中,現状のインフラを維持するのはとても大変です。また最近では,限界集落などが注目されているように,今後住民がいなくなる可能性が高い地域も存在します。
 ME養成講座では,人口減少が進む中,闇雲にすべてを整備するのではなく,本当に維持すべきインフラを選び,どう有効活用するのかといった視点も学んでもらうようにしています。

 すでに岐阜県の土木・建設業界ではある程度認知されているMEですが,今後はインフラに何か問題が発生したら,真っ先に「MEを呼ぼう」と言ってもらえるような地位を確立したいです。また,5年ほど前から愛媛県,山口県,新潟県などでもMEを養成する取り組みが始まっており,将来的にはMEのネットワークを全国へと広げていきたいと思っています。

ME/社会基盤メンテナンスエキスパートとは?

05.jpg  道路などのインフラの維持管理に関する総合的な技術を有する技術者のこと。関連する行政機関や業界と連携し,岐阜県内で独自に認定を行っているもので,岐阜大学で開催されるME養成講座を受講後,認定試験に合格することで授与される。ME養成講座は4週間の集中プログラムで行われ,全80コマの講義を通じて「橋梁の設計・トンネル」「橋梁の維持管理」「地盤と斜面」などをテーマに,座学,演習,現場実習を通じて幅広い知識を習得していく。行政の技術職員と建設業界の技術者が同じ内容を学ぶことが特徴。
 平成22年度には,ME資格取得のメリットとして,試験的にME資格保有が岐阜県の公共工事の入札時に加点項目として加えられることに。その後2年間の試行を経て,平成24年度以降は正式に採用されることになった。

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