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【令和4年4月1日発足】岐阜大学高等研究院 先制食未来研究センター(Preemptive Food Research Center)

「人類の食未来ビジョン」として
『ガストロノミーマニフェスト(食革新)』を提案。

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岐阜大学高等研究院
先制食未来研究センター

矢部 富雄 センター長

 今年4月に設立された先制食未来研究センターは、令和3年の高齢化率が29.1%と世界で最も高い「超超高齢社会」に突入した日本において、喫緊の課題である健康寿命の延伸を実現するために立ち上げられた組織です。寝たきり・要介護の入口となるフレイル、サルコペニア、認知症、生活習慣病の重症化を予防する対策として、老化の進行を遅らせる役割を果たす「食」に焦点を当て、「人類の食の未来ビジョン」として「ガストロノミーマニュフェスト(食革新)」を提案することを目標に掲げています。センターの名称にある「先制食」という言葉には、「食べ物で先に病気を制する」という意味が込められています。
 最近、「プレシジョンニュートリション(個別化栄養)」という考え方が注目されています。食物繊維をたくさん食べる人は大腸がんになりにくいという研究結果がありますが、一方で、大量に食物繊維を摂取すると下痢を引き起こす人がいます。一般的に良いとされていても、個人にとって最適な栄養素は異なります。そこで、個性を考慮したうえで、最適な栄養を考えようというのが「プレシジョンニュートリション」です。私たちもこの考え方を踏まえ、「より良い食事とは何なのか」を突き詰めたいと思っています。
 センターには大きく3つの部門があります。「地域コホート研究部門」では、高山市、飛騨市、下呂市の協力のもと、厚生労働省が実施する特定健診やレセプトデータを活用した研究を展開します。人工知能研究推進センターと協働でAIによる分析を行い、その地域の食生活と病気のかかりやすさを調べ、食べ物と病気の関係性を明らかにします。「食未来研究部門」では、食べ物と病気のつながりを明らかにしたうえで、「なぜ悪いのか」「どうすれば良くなるのか」について考え、文化面・精神面における有用性も加味しつつ、生活の質を高める食を考えていきます。さらに「先制食研究部門」では、実生活の中でどのように振る舞えばいいのかという解決策を、実際の食べ物の提案に至るまで、より踏み込んだ形で具体的に提示していきたいと思っています。
 健康のために食事を制限するのは、多くの人にとってストレスです。だからこそ私たちは、普段の生活の中で無理なく実践できる方法を提案したい。一つの解決策として検討しているのが「人工塩味料」の開発です。塩分を摂取せずに塩味を感じられる調味料ができれば、ストレスなく健康寿命を延ばせます。また、毎日の食べ物のデータをウェアラブル端末が自動で収集し、より良い買い物を提示してくれるといったシステムの開発も構想中です。一人ひとりの個性を考慮しながら、本人が意識しなくても食生活が改善され、健康寿命が延びる。まるで夢物語のようですが、センターの活動を通じてそんな未来を創り上げたいと思います。

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