車の製作やリーダーを務めて得た 技術や知識を将来の仕事に役立てていきたい。

学生が製作したレーシングカーの総合力を競う「全日本 学生フォーミュラ大会」に向けて,
日々,車両の製作に取り組む岐阜大学フォーミュラレーシング。
チームリーダーを務める薫田淳平さんは,工程管理をはじめ,スポンサー交渉など多くの仕事をこなす。
黙々と役割を果たす姿に感化されるチームメイトも多く,厚い信頼を得ている。
岐阜大学フォーミュラレーシング | 「全日本 学生フォーミュラ大会」 |
平成17年に発足した岐阜大学公認のサークル。毎年9月に行われる「全日本 学生フォーミュラ大会」に向け,レーシングカーを製作する。現在のメンバーは21人。車の骨格を手掛けるシャーシ班,エンジン回りを担当するパワトレ班のパートに分かれ,3次元設計ソフトや旋盤などの工作機械を駆使し,約9カ月をかけて車両を作り上げる。さらに,材料や部品,資金を支援してくれる企業へのスポンサー交渉も自らで行う。 | 「学生ものづくり教育の場」として㈳自動車技術会(JSAE)が主催する競技大会。チームを仮想の企業にみたて,商品としてフォーミュラスタイルの車体を製作することによって,ものづくりや商品開発の基本的な考え方を養うことを目的としている。学生がチームを組んで企画・設計・製作したフォーミュラカーを審査員が評価する。競技は車の走行性能だけでなく,その設計や製作,工程管理,プレゼンテーションなども含まれ,ものづくりの総合力を競う。 |
メンバー全員が納得する設計の車を作り,今年の大会では15位入賞を目指したいです。
自分たちの手で車を製作。
スポンサー交渉もします。

い方や,CADの知識も先輩に習いながら1年
生で習得する。
もともと車が好きで,岐阜大学工学部に入学しました。岐阜大学フォーミュラレーシングに入ったのは,入学後のサークル紹介がきっかけ。自分たちの手で車を作ることに興味を惹かれました。
チームは毎年9月に行われる「全日本 学生フォーミュラ大会」を目指して車の設計・製作を行ってます。活動を行う中で,カーボン繊維についてなど,より専門的な知識を身に付けることができました。何より少しずつ車が形になっていくのが嬉しいですね。ものづくりの魅力を肌で感じています。
また,車に必要な物品や資金のスポンサーとなる企業への依頼も私たちの大切な役割の一つ。インターネットで企業を探し,メールでアポイントを取った後,活動を直接説明しに行きます。最初は先輩に同行し,受け答えを学びました。現在は約50社から支援を受けています。設計や製作などの技術に加え,こうしたプレゼンテーション力やマネジメント力も,将来役に立つと感じています。
昨年まで私はシートや外装の設計や施工を担当していましたが,今年はリーダーとしてスムーズに製作が進むように,各パートのリーダーと連携しながら,全体の進捗を管理しています。チームをまとめるには色々な方法があると思いますが,私は個々の意思を尊重することを心がけています。それぞれが「やってみたい」と思うことは,どんどん挑戦してもらう。そうすることで,みんなのモチベーションも上がるのではないかと思っています。

昨年の反省を活かして,
今年の大会は結果を残したい。
大会には90以上のチームが参加しますが,昨年は40位の結果に終わりました。今年は15位以内に入ることをチームの目標に掲げています。昨年はエンジンレイアウトの変更により,ギアが破損するという問題を大会までに解決できず,マシンの熟成ができませんでした。今年は十分な走行を重ね,自信を持って本番に挑みたいです。速い車を作ることはもちろんですが,製作するメンバー全員が満足のいく設計でやり遂げたい。みんなの思いが一つになった車で結果を残したいですね。
各パートのリーダーを務める2年の牧田竜汰さん(写真左)と工藤雅彦さん(写真右)は薫田さんを「目標を決めたら突き進むタイプ。周囲にも目が行き届き,チームに欠かせないリーダー」と存在の大きさを実感。「これからも連携を取りながら目標に向けて一緒に頑張りたい」と話す。
顧問を務める菊地聡准教授は,
「薫田さんからは,車やものづくりに対する興味の深さを感じます。リーダーになってさらにしっかりしたと思います」と薫田さんを評価。
「チームの柱となり,岐阜大学フォーミュラレーシングで学んだ技術や知識を社会でも活かしてほしい」と大きく期待を寄せる。
岐阜大学工学部機械工学科
菊地 聡 准教授