地域資源を活かした観光振興策を立案。1年半の実習を通して、観光学での学びを深める。

【履修期間】: 2年次後期~3年次前期(全50回)
地域資源の活用や地域ブランドの構築、マーケティング手法など、2年次前期までに受講した観光学での学びを、実習を通してさらに深める。観光事業者と連携して対象地域を1年かけて視察し、バスツアーを企画提案。実際にツアーの販売や運営も学生が主体となり行う。

岐阜大学
社会システム経営学環
三井 栄 教授
観光による地域づくりには、地域主導で観光客が共感しうるような地域資源の活用が重要です。また、地域の住民や企業・自治体などと協働しながら、観光に関する課題を解決し、持続可能な地域社会の構築へとつながる仕組みづくりが求められます。
そこで、観光デザイン実習では、地域の観光事業者と連携してフィールドワークを行い、実際にターゲット層を想定した持続可能な観光振興策の提案を行います。
昨年は広域な高山市において、市街地以外に観光客を誘致し、滞在時間を延ばす仕掛けを目標に、1泊2日の観光バスツアーを企画・催行しました。また、「楽しく4時間過ごそう!クーポンでお得感満載!」と題して、「見る」「食べる」「買う」「イベント(体験)」×回遊性を盛り込んだ市街地内周遊ルートも提案し、参加者に実際に楽しんでいただきました。
実習は事前調査にはじまり、ツアーの企画・運営、チラシ作成、さらにクーポンを企業へ依頼したり、バスガイドの役割を担ったりと大変なこともたくさんありますが、そこで得られる学びや達成感はとても大きなもの。仲間と一緒にプロジェクトを遂
行することで、コミュニケーション能力やファシリテーション能力、柔軟な対応力、判断力、察する力や共感力などの向上を実感できたはずです。
1年半の実習では、学生たち自身が楽しさややりがいを感じられることはもちろん、実施にあたって協力いただいた事業者や地域の皆さまに成果をしっかりと還元することも大切にして取り組んでいます。
学生インタビュー
手応えと反省点が両方あった長期の実習。
この経験を卒業研究や卒業後につなげたい。

講義のゴールは、高山を周遊する1泊2日のバスツアーを実際に販売し、自分たちでプロモーションやガイドもすること。ツアーを販売してくれた岐阜バス(岐阜乗合自動車株式会社)さんからは「大学生ならではの新しい企画を考えてほしい」と要望がありました。
まずは8名のメンバー全員で1年かけて現地をリサーチ。数回に分けて、新穂高ロープウェイや平湯温泉などの観光地を巡り、観光地としての高山の可能性を探りました。調査を通して、年配の方や外国人観光客にはしっかり訴求できていて集客につながっている反面、私たちのような若年層には魅力が伝わり切っていない一面があることが分かりました。

オープンカレッジin高山
18名の高校生が参加し、高山地域の
観光や社会システム経営学環の学生と
のグループワークを楽しんだ
そこで、私たちが提案したのがターゲットを高校生に絞ったオープンカレッジ。乗鞍岳や高山の古い街並みなど、代表的な観光地を周遊するとともに、学生や教員とグループワークをするプランです。この企画は岐阜大学や社会システム経営学環に興味のある高校生にとって、一定のニーズがあると考えました。それからはグループや担当の教員と議論を重ね、岐阜バスさんからのフィードバックを受けて企画をブラッシュアップ。3年次の春休みにツアーをリリースしました。
ここで役に立ったのが、これまでに受講した「デザイン思考論」や「マネジメント活動実習」などの講義。デザインの考え方を学び、情報誌の制作をしていたため、チラシをつくる際にキャッチコピーや写真、文章をレイアウトするポイントが経験から理解できました。また、社会システム経営学環はディスカッションの機会が多く、自然とコミュニケーション能力を高められたことも大きいです。
ツアーの内容については、参加した高校生同士が楽しそうに交流してくれたり、グループワークの評判が良かったりと手応えがありました。参加者が目標人数に届かないなど宣伝活動のやり方も含めて課題が残った部分もありますが、ゼロから企画を考えて形にしたことは卒業研究や将来の仕事で生きてくると思います。
