大学案内

毎週火曜日は教室を出て、里山や川へ!
絶好の環境を利用して生物を体系的に理解。

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応用生物科学部「樹木・草本植物・鳥類・昆虫・水棲生物 識別実習」

樹木・草本植物・鳥類・昆虫・水棲生物 識別実習

【対象学生】 応用生物科学部 生産環境科学課程 環境生態科学コース3年生(必修)
【開講学期】 前・後学期

平成16年度,旧農学部から現学部への再編に伴い設置された科目。毎週火曜日に丸一日かけて行い,大学内外のフィールドでの観察や採集,教室内での標本作製や観察記録を通して,種の判別や把握を行います。樹木・草本植物・鳥類・昆虫・水棲生物の5分野すべての生物を観察・識別する能力に加え,野外調査技術および調査を安全に行うスキルなどの習得を目的としています。

 緑に囲まれ,近隣には伊自良川が流れる岐阜大学。福井県の夜叉ヶ池(やしゃがいけ)や飛騨の山岳,琵琶湖などへも車で2時間圏内という地の利を活かし,1年を通して毎週火曜日に丸一日かけて行うのが「識別実習」です。樹木・草本植物・鳥類・昆虫・水棲生物の5分野の識別方法を,それぞれの研究者である教員や学外の専門家から学びます。
 例えば昆虫分野の場合,岐阜市の名和昆虫博物館館長・名和哲夫氏の指導の下,大学周辺で昆虫を採集。その後,図鑑と見比べて種を特定し,標本作製まで行います。樹木分野では,主に大学周辺や金華山で観察を実施。そこに生える植物の種類を判別すると亜熱帯地域に分布する種類とのつながりがあることも見えてきます。この調査により,植生は気候だけでなく,土地の歴史によっても決まるといったことも発見できるようになります。そのほか,複数分野にまたがる「合同企画」も実施しています。毎年冬に行う通称"雪上実習"では,事前に教員が下見した安全なコースを歩き,動物の痕跡や植物を調査。必ず2人以上で行動するという鉄則や,交替で先頭を務め疲労を防ぐ歩行技術など,フィールドワークを快適かつ安全に行う装備や方法を習得できるのも授業の特長です。
 識別実習で重要なのは,知識を得るだけでなく,自ら観察や採集をした生物を図鑑で調べ,どの種なのか推測する力,つまり体系的に生物世界を理解する力の獲得です。また卒業後に環境アセスメント調査員や研究職などの進路に役立つ標本作製技術も習得できます。そして,何よりの意義は,「今の季節,あの場所にはこの植物があるだろう」などと考えられるようになること。予想した生物に現地で出会えるのはとても楽しい上,何気ない緑の風景が生き物の集合体として見えてきます。「この森にはこの虫が生息しているはず」「あの尖った木はモミの木かな」と想像できれば,生き物同士のつながり=生物間相互作用にも思いを巡らせることができます。どんな経済活動も環境への配慮なしには行えない現代の社会で,プロのナチュラリストを目指す人にとって,それはとても大切な視点なのです。

実習内容

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樹木・草本植物識別実習

  • 植物観察標本作製入門[大学周辺]
  • 常緑広葉樹林の植物誌[金華山]
  • 西濃の植物誌[養老公園]
  • 初秋の森林・地質と植生[神崎川]
  • 河畔植生の観察[根尾川]
  • 果実・種子の植物誌[大学周辺]
  • 落葉・樹形・冬芽の植物誌[大学周辺]



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鳥類識別実習

  • 春の野鳥観察[大学周辺]
  • 干潟に入って泥まみれ[藤前干潟]
  • アクア・トトぎふ訪問[河川環境楽園]
  • 冬の水鳥観察[琵琶湖]
  • 冬の野鳥観察[大学周辺]





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昆虫識別実習

  • 昆虫採集と種の同定・標本作製(初夏・秋)
       [大学周辺]

※野外での昆虫採集と、硬化した標本の軟化展翅方法・
 昆虫識別の基礎技術の習得。
 悪天候の場合は昆虫の分類体系の学習 
   [名和昆虫博物館]




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水棲生物識別実習

  • 川石の裏には虫がいっぱい[武儀川・長良川]
  • 干潟に入って泥まみれ[藤前干潟]
  • 低平地・水田の水棲生物[大学周辺]
  • 渓流の水棲生物[位山演習林]
  • 水棲生物の識別ポイント集中講座[大学周辺]
  • アクア・トトぎふ訪問[河川環境楽園]




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合同企画

  • 自然観察登山体験[夜叉ヶ池]
     夏季の緑深い山での植物・野鳥観察を中心とした総合
     的な自然観察

  • 森林動物痕跡探索[荘川など]
     冬の森林(雪山)内での動物の足跡・食痕・糞等の調査


学生インタビュー

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岐阜大学応用生物科学部
生産環境科学課程 環境生態科学コース
3年 信田 莉奈 さん

 識別実習では,野外で見つけた生物を,どの部分に注目すれば分類できるかを学び,名前を導き出す楽しさを味わうことができました。日常生活の中でも,興味のあった樹木だけでなく,水辺の生き物などにも目が向くように。
 雪上実習では,スキー場のゴンドラ頂上からスノーシューを履いて歩き,雪山でも半袖が快適なほど暑くなることを体感。個人ではなかなかできない経験を通じて,フィールドワーカーとして安全に行動するための装備や注意点を習得できました。


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岐阜大学応用生物科学部
生産環境科学課程 環境生態科学コース
3年 野澤 秀倫 さん

 生物の幅広い分野を,それぞれの専門家から深く学べることが,識別実習の大きな魅力です。幼い頃から昆虫採集が趣味だった私は,樹木の知識も学んだことで,昆虫と植物が与え合う影響など,生物間のつながりを考える視点が身に付きました。
 植物識別の際には,ルーペの位置を固定し対象物を動かして焦点を合わせ,体ごと向きを変え光に透かしながら,毛や葉脈を観察。知識として知っていた観察方法を,体験によって学び直し,自分のものにできました。

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