複合国家イギリスの地域と紐帯
「イギリス」の正式な国名は「グレートブリテンおよび北アイルランド連合王国」といい、大きく4つの地域(イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド)から構成されています。かつてこの4つの地域はそれぞれ別々の国でしたが、およそ近世の300年間を通じてイングランドを中心に統合され、現在の連合王国が成立しました。近年のイギリス史研究においては、このようにイギリスが異なる地域・人々の複合体であることを重視してこれを「複合国家」と呼び、その実態を明らかにする取り組みが進んでいます。
本書もまた、この動向に掉さす共同研究により生まれたものです。16世紀から18世紀にかけて、上記4地域の間の関係性―とくにそれぞれをつなぐ「紐帯」―が各執筆者の研究テーマに引きつける形で検討されています。11の個別論文を通じて、現在のイギリス(の原型)がどのような過程をへて形成されていったのか、近世のブリテン諸島内部で生じたダイナミックな―凝集と分離のベクトルが複雑にせめぎあう―動きの中で理解してもらえたらと思います。

複合国家イギリスの地域と紐帯
【編】岩井 淳・道重一郎
【著】 辻本 諭(教育学部・准教授)
辻本准教授は以下の執筆を担当しています。
「第Ⅲ部 複合国家の紐帯/第一〇章 複合国家と軍隊」
※掲載内容(役職名,学年など)は発行時のものです。
- 出版社: 刀水書房
- 発行年月日: 2022年11月
- 価 格: 5,000円(税別)
- 版型等: A5/376ページ
- ISBN: 978-4-88708-476-6
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