大学案内

令和8年度岐阜大学入学式 学長告辞

20260407nyu001.png  新入生の皆さん。入学おめでとうございます。
 春爛漫の今日の良き日に、岐阜大学に入学された学部生1,356名、大学院700名の皆さんに心からお祝い申し上げます。新たに岐阜大学の仲間になられた新入生の皆さんを、全学を代表して、心より歓迎いたします。
 皆さんは今、新しい人生のスタートラインに立ち、これから始まる大学生活に、大きな期待と少しの不安を抱いていることと思います。本日、ここに至るまで、皆さんを支えてこられたご家族の皆様、高校の先生方をはじめとする関係者の皆様に対しましても、心からお祝いと感謝の意を表します。
 本年度も、入学式は大学院と学部の2部構成で実施するとともに、学部入学生の皆さんを対象としたウェルカムセレモニーを行います。ぜひ、この一日を、大学生活のよいスタートとしてほしいと思います。

 さて、皆さんがこれから学ぶことになる岐阜大学は、どんな大学でしょうか。
 岐阜大学は教育学部、地域科学部、医学部、工学部、応用生物科学部、そして社会システム経営学環から成る、中規模の総合大学です。創立年は、1949年としていますが、その前身をたどると、1873年に創立された岐阜師範学校に行きつきます。およそ150年にわたる長い歴史をもつ大学であり、日本でも非常に古い大学の一つです。
 中でも応用生物科学部は1923年に創設され、昨年度には、学部の改組が行われました。応用生命化学科、食農生命科学科、生物圏環境学科、そして共同獣医学科の4学科体制となり、食、生命、環境を幅広く学べる体制が整っています。
 また、工学部と医学部はいずれも1930年代に設立されました。特に医学部附属病院は、1875年に岐阜県が設立した公立病院と医学校を起源として、昨年度には、医学部創立80周年、附属病院創立150周年という大きな節目を迎えました。
 さらに、岐阜大学には、充実した大学院教育の体制も整っています。令和7年度には、社会システム経営学院を設置し、本学を基幹校とする2つの連合大学院、1つの共同大学院を含め、9つの研究科が設置されています。そのうち、修士課程である自然科学技術研究科では、工学と応用生物科学を融合した教育を行い、デザイン思考を取り入れた学びも特徴の一つです。今は学部生である皆さんにとっても、将来の進路として大学院が身近で魅力ある選択肢となる環境が整っています。

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 この数年間、社会はこれまでにない速さで大きく変わってきました。生成AIが急速に広がり、気候変動問題が深刻さを増し、国際情勢が不安定な状況が続いています。これらはいずれも、私たちの一人ひとりの暮らしや、皆さんの将来に深くかかわる課題です。
 岐阜大学は、東海国立大学機構が掲げる「Make New Standards for the Public」というミッションを共有し、「学び、究め、貢献する」という理念のもと、教育・研究・社会貢献に取り組んできました。地域とともに学び、特色ある研究を進め、新しい価値を生み出すことで、地域や社会の課題解決に貢献する――そのような大学でありたいと考え、着実に歩みを進めています。
 本学が目指しているのは、多様な人々が、学部や組織の枠を越えて協力し合い、新しい知識やアイデアを生み出し、それを社会に役立てていくことです。このような前向きな循環を生み出すことが、岐阜大学の大きな目標です。
 こうした取り組みの成果として、Times Higher Educationが実施する、「世界大学ランキング」において、岐阜大学は2019年以降、順位を大きく伸ばしてきました。また、教育や研究の成果に基づいて配分される運営費交付金においても、高い評価を受けています。これらは、岐阜大学の教育・研究の環境が、着実に充実し、発展していることを示すものです。

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 さて、これからは、皆さんがこれから送る大学生活の中での「学び」についてお話しします。岐阜大学には、さまざまな分野の学問がそろっており、それぞれの分野で経験豊かな教員が教育・研究にあたっています。皆さんは、自分が選んだ学部や学科で専門を学ぶことはもちろん、それにとどまらず、より幅広い学問に触れることができます。
 特に、全学共通教育では、学部の枠を越えて学ぶことができる科目が多く用意されています。自分の専門とは少し異なる分野に挑戦してみることで、新しい視点や考え方に出会えるはずです。
 また、東海国立大学機構の一員となったことで、名古屋大学と連携した教育プログラムも充実しています。全学共通教育科目の中では、数理・データサイエンス・AIに関する教育や英語教育を、名古屋大学と連携し、連携開設科目や単位互換制度として受講することができます。
 こうした機会をぜひ積極的に活用し、これからの社会で必要とされる力を、大学の学びの中で身につけてください。
 大学卒業後の進路は、就職や大学院進学など、人それぞれです。どの道を選ぶにしても、岐阜大学では、皆さん一人ひとりが自分らしい進路を見つけられるよう、きめ細かな支援を行っています。
 また、博士課程の学生を対象に、生活費・研究費の支援や授業料免除が始まったことも大きな成果です。今はまだ先の話に感じるかもしれませんが、皆さんの将来の選択肢として、大学院への進学も、十分に魅力ある道の一つです。
 さらに、岐阜大学では、学生自身が目標を立てたうえで、どこまで達成できているかを自ら確認できる「学生ステータスシステム」の運用を開始しています。このように、学びの成果を「見える化」しながら、自分の成長を実感できる仕組みも整えています。
 岐阜大学では、教育の内容をより良いものにするため、さまざまな改革を進めてきました。教育学部における教員養成のあり方の見直し、社会システム経営学院の新設、工学部での情報分野の人材育成の強化、応用生物科学部の改組など、これからの社会を支える人材を育てるための取り組みを進めています。

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 研究の分野でも、岐阜大学は着実に成果を上げています。生命のしくみを解き明かす糖鎖生命科学の研究や、医学・薬学・獣医学が力を合わせて取り組む「One Medicine研究」、航空宇宙分野での企業との共同研究など、さまざまな分野で世界に向けた研究が進められています。さらに、水素エネルギーや二酸化炭素のリサイクルといった、環境やエネルギーに関わる国のプロジェクトにも採択され、地球規模の課題解決に貢献しています。
 地域とのつながりも、岐阜大学の大きな特長の一つです。地域連携を進めるための組織を設け、地元企業の方々とのネットワークづくりや、岐阜県との連携強化を進めてきました。大学と地域が協力しながら、共に未来をつくっていくための土台が整いつつあります。
 また、岐阜大学のキャンパスには、多くの外国人留学生や研究者が集い、国際色豊かな環境が広がっています。本学は、欧米、アジア、オセアニアなど、世界51の大学と学術交流協定を結んでおり、海外での研修や留学を支援する制度も整っています。
 さらに、インド工科大学グワハティ校(IITG)やマレーシア国民大学(UKM)と連携し、両大学で学ぶことができるジョイント・ディグリー・プログラムとして、4つの国際連携専攻も開設しています。
 これからの日本、そして皆さんの未来には、これまで以上に世界とつながる力が求められます。そのためには、一方的に学ぶだけでなく、互いに学び合う「双方向の交流」が大切です。
 ぜひ岐阜大学を出発点として、世界に目を向け、グローバルな経験を積んでほしいと思います。
 さらに、東海環状自動車道の岐阜インターチェンジが開通したことで、この地域の交通の便は大きく向上しました。これにより、岐阜大学のある黒野地区は、学術や研究の拠点としてだけでなく、ライフサイエンスやものづくりの分野においても、地域の発展を支える重要な場所になりつつあります。岐阜大学は、地域社会とともに成長し、その未来に貢献していく存在でありたいと考えています。
 現在、本学は、「共創型社会実装大学」という新しい大学のかたちに挑戦しています。これは、大学の中だけで学びや研究を行うのではなく、さまざまな分野の人々と力を合わせ、社会の課題を解決し、新しい価値を生み出していこうとする取り組みです。
 この大きな変化の時代に、皆さんは、岐阜大学の新しい歩みをともに進み、これからの大学の姿を一緒につくっていく、とても大切な存在です。

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 さて、皆さんは本日から大学生です。選挙権を持つ成人であり、社会の一員でもあります。大学での学びは、これまでのように「与えられるもの」ではなく、自らの責任において取り組むものです。大学生活での一つひとつの行動が、社会人としての第一歩であることを、ぜひ意識してください。
 大学での学びでは、正解を待つ受け身の姿勢ではなく、自分で考え、判断し、行動することが求められます。うまくいかないこともあるでしょう。しかし、その経験こそが、皆さんを大きく成長させてくれます。失敗を恐れず、一生懸命に挑戦する姿勢を、ぜひ身につけてほしいと思います。
 「学び続ける力」、「変化に柔軟に向き合う姿勢」、「多様な価値観を尊重する態度」。これらを岐阜大学での学びを通して培い、希望に満ちた未来へと歩みを進めていかれることを、私は確信しています。

 ここで、これから本学で学ぶ皆さんに、ぜひ心に留めていただきたい言葉があります。  それは、「Art, Science, Humanity」という言葉です。これは、私自身が40年余りにわたり、臨床医、そして外科医として歩んできた中で、大切にしてきた言葉でもあります。
 Art とは、技術や技能だけを指すものではありません。物事を多面的に捉え、創造し、新しい価値を生み出していく力のことです。
 その基盤となるのが、科学的に考え、真理を探究する Science です。
 そして、人として、また社会の一員として何より大切なのが、真の心をもって人を思いやり、多様な価値観を尊重し、社会と誠実に向き合う Humanity です。
 岐阜大学が長い歴史の中で大切にしてきたのは、専門分野を深く学ぶことと同時に、このような人間としての総合的な力を育てることです。皆さんの大学生活は、教室や実験室の中だけで終わるものではありません。学問に打ち込み、仲間と語り合い、地域や社会と関わり、時には迷い、失敗しながら、自分自身の軸を育てていく時間でもあります。その一つひとつの経験が、皆さん自身の Art, Science, Humanity を磨いていくことになるでしょう。

 私ども教職員一同も、皆さんの学びが実りあるものとなるよう、精一杯支援してまいります。
 それでは、本日から始まる皆さん一人ひとりのキャンパス生活が、希望に満ち、実り多いものとなりますよう心から祈念いたしまして、学長の告辞とさせていただきます。

 

令和8年4月7日
国立大学法人 東海国立大学機構
岐阜大学長 吉田和弘