大学案内

令和3年度岐阜大学入学式 学長告辞

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 新入生の皆さん。入学お目出度とう御座います。今年度、学部1,323名、大学院624名の入学者を迎えることは、私どもにとってこの上ない喜びであり、岐阜大学教職員を代表して心から歓迎します。入学の喜びと勉学の意欲に燃える皆さんのフレッシュさを私どもも頂戴し、一緒に新たな勉学の場につくことができるという嬉しい気持ちで一杯です。またこの場をお借りして、今日まで諸君を支えて下さった保護者ほかの皆様方にも心からお祝い申し上げます。

 さて本年度はコロナウイルス感染症対応のため、入学式典は学部・大学院合同で縮小開催としました。講堂内の参加者も学生は各学部・研究科代表 計21名、教職員も学長、副学長、各学部長・研究科長、病院長のみとし、ご来賓の祝辞は原 英彰(はら ひであき)岐阜薬科大学長様、浅井彰子(あさい あきこ)岐阜大学同窓会連合会長様のビデオメッセージが岐阜大学のホームページにアップされています。なお今回オンサイトで出席できない学生諸君はもとより、関係の皆様方にも祝典の様子をご覧頂くため、Youtubeにより中継を行い、祝意を皆さんと分かち合いたいと思います。

 またご存じのとおり私ども岐阜大学は昨年4月1日をもって名古屋大学と法人部門を統合し、国立大学法人東海国立大学機構を形成しました。同法人の下に、教育・研究部門である名古屋大学と岐阜大学がぶら下がる形であり、さらに機構直轄組織として、主に共通教育を担当するアカデミック・セントラルと最先端研究開発/関連教育を行う糖鎖研究部門、航空宇宙研究部門など4拠点とが置かれました。このような構造をもって、東海国立大学機構は国際競争力の増進と地域創生への貢献を両輪として駆動しています。コロナ禍ではありましたが、オンラインでの活発な意見交換と調整がむしろ功を奏し、各事業の進捗度合いは私どもの当初予想をはるかに超えています。今年度の新入生はそのメリットを享受できるという点で、大変幸運であろうかと存じます。なお東海機構の目標は「勇気をもって未来をつくる」人材の育成であり、加えて岐阜大学は「学び、究め、貢献する」人材の育成を目指します。東海地域から共に世界へ飛躍しましょう。

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 では大学における学修とは何か、また大学生として心がけて頂きたいことは何かから、まず申し上げたいと思います。

 まず勉強の仕方がこれまでとは全く違うことをしっかり認識して下さい。高校までは学校でした。今日からは大学です。これまでは授業でした。今日からは講義です。諸君もこれまでは生徒でした。今日からは学生です。ではどこが違うのか。これから諸君が学ぶのは既存の学問体系に加え、教授陣が個別に血の出るような努力を重ね築いてきた、個性的な自然科学体系であり、人文科学体系であり、社会科学体系です。諸君はそれらを学んだ上で、自分自身の科学体系を、すなわち物事の考え方を独自に構築していく、これが大学での勉強になります。

 このことに関連して申し上げたいのは、とくに一年生での勉強が極めて重要であると言うことです。これまでとは異なった勉強の習慣と方法を身につけるのは一年生です。実際、卒業時の成績は一年前期・後期の成績と一番強く相関します。大学に入ったからと言って緩むこと無く、一年次の導入教育から全力で取り組んで下さい。

 さてコロナ禍が大学教育にもたらした大きな変革についてここで述べます。遠隔教育と対面教育のハイブリッド型です。まず新入生に対しては先に述べた大学教育の特徴から対面授業が優先されます。これは教授陣との交流のみでなく同級生との交流も含め、大学教育に習熟するために不可欠であり、後者は課外活動も含みます。一方、知識習得が極めて重要な課程では、オンデマンド教材を用いた反復学習が目的にそぐいます。実際には対面授業、遠隔授業、それらのハイブリッド型が混在し、現在、1年生は7割が対面、2年生以上はオンサイトの実験、実習を除く座学では対面、遠隔、ハイブリッドがおよそ3分の一ずつという状況です。ただしこれらの進め方には当然学部ごとの特徴がありますから、この後、各学部ごとに開催される履修指導をよく聞いて下さい。

 ところで、どのような大学教育を受けるにせよ、大学での勉強を行う上では基礎的な素養が不可欠であり、それらを修めた上で大学における本来の高等教育、高度専門教育を受けるものとされます。この基礎的な素養がリベラルアーツであり、たとえば欧米の古い図書館などでホールの上空高く羽ばたく7体の女神像で現されます。極めて古典的な用語を用いれば修辞学、文法学、天文地理学、論理学、代数学、幾何学、芸術の7つと、全体を統括する哲学です。もちろん現在これらを直接標榜する科目は少ないでしょうが、高度専門教育と合わせ、リベラルアーツも修めるという目標を心がけて下さい。これは卒業後も含め、皆さんが社会人として存在すること、そのものの根幹になります。

 次に岐阜大学の歴史を紹介し、少し自慢をさせて頂いた上で、皆さんが卒業し、社会で中堅として活躍するに至る、ほぼ10年先までの大学の将来計画を申し上げます。岐阜大学の創立は受験資料などでは1949年になっています。しかしそれぞれの学部は古い由来を持ち、中でも教育学部の前身である岐阜師範学校は明治7年、1873年の創立で148年目を迎えます。ここまで遡ると我が国で4番目に古い大学として位置づけられています。さらに応用生物科学部も1923年(大正12年)創設と大変古い歴史を持っています。工学部、医学部はいずれも昭和10年代です。このような歴史を伝えるソフト、ハード両方のアーカイヴが学内のみでなく市内外にも残されていますので、何れ探訪して頂くことも楽しいかと思います。

 なお一昨年の創立70周年を記念し、岐阜大学の学術資産と芸術資産をアーカイヴ化し、大学全体を博物館とするキャンパスミュージアムの第1期が完成しました。図書館内の博物館とともに屋外の緑地も含めキャンパス全体がミュージアムの役割を果たしています。マップをご覧頂きながらキャンパス内を散策して下さい。

 次に2027年をターゲットとした東海国立大学機構と岐阜大学の将来ビジョンを申し上げます。東海国立大学機構では「地域は世界に通じ、世界は地域に通じる」をモットーに共通基礎教育から、特に実践的な英語教育や文系理系を問わない数理データサイエンス教育が売りですので、ぜひご期待頂きたいと思います。一方では機構直属の国際的な研究・教育拠点が急速な展開を見せていますが、これらの拠点は皆さんの大学院進学を待っています。

 加えて岐阜大学そのものについて最も大事なストーリーをお話しします。まず本学は「地域活性化の中核拠点であると同時に、強み・特色を有する分野において全国的・国際的な教育・研究拠点の形成」を目指します。まず地域活性化の中核拠点は全学を横断する組織である地域協学センターが担い、COC事業とCOC+事業が柱です。COCはcenter of communityの頭文字で2013年にスタートしました。このCOC, COC+事業は節目となる2016年、2019年、そして本年と3回、文部科学省の達成度評価があり、岐阜大学は三期続けてトップのS評価を受けたところです。このトリプルS は全国で岐阜大学のみであり、岐阜大学は正に地域活性化の全国代表であると自負しています。

 また研究分野では生命科学分野[生命の鎖]統合研究センター、環境エネルギー科学分野の次世代エネルギー研究センター、ものづくり分野のスマート金型・複合材料研究、さらに医学教育開発センターが、いずれも国から大きな支援を得ている強力な拠点です。さらに直近2年間で畜産学、食品科学、航空宇宙生産技術などの教育研究拠点が竣工し、あるいは建設中です。これらのうち生命の鎖と航空宇宙は東海機構直轄の拠点でもあり、本学は教育研究大学として一回り大きな存在となりました。

 また国際化について申し上げると岐阜大学の海外協定大学は47に及び、年間600名を超える外国人学生あるいは研究者が滞在し、キャンパスにはいつも300~400名の外国人留学生がいます。皆さん英語を話して下さいますし、日本語の上手な方も少なくありません。せっかくのチャンスですからどんどん国際的な交流に努めて下さい。またポストコロナに入れば皆さん自身も出来るだけ早い機会に海外への飛躍に挑戦して下さい。本学からは既に学部学生の段階で国際的な研究コンテストにチャレンジし入賞する学生が輩出されつつあります。岐阜大学には、学生のこのような海外挑戦を支援する仕組みがかなり充実しています。

 このように諸君は将来「広く日本社会にも、国際社会にも貢献できる人材になる」ことが期待される存在です。先年、ノーベル物理学賞受賞者の益川敏英先生と対談させて頂いた折、先生から頂戴したメッセージは「若い人には、憧れとロマンを持ってほしい。それに近づく努力が成長への力になる」です。今日この場で皆さんにお届けします。
 最後に私ども教職員自身の覚悟を申し上げます。大学は先に述べた理念を実行出来る人材を育てる場です。教職員自身も常に自分がそうであるべく、新入生諸君とともに努力を重ねるのは当然です。ともによき大学人であるべく手を携えて進んでいきましょう。

 以上、今日からのキャンパスライフを大いに充実したものとし、また楽しんで下さいと申し上げ、告辞を閉じます。

 本日はお目出度とう御座いました。

令和3年4月7日

国立大学法人東海国立大学機構
岐阜大学長
森 脇  久 隆

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