平成31年度岐阜大学大学院入学式 学長告辞
岐阜大学大学院へのご入学おめでとうございます。本日、603名の平成31年度大学院入学者を迎えることは、私どもにとってこれ以上ない喜びであり、岐阜大学教職員を代表して心から歓迎します。さらにこの場をお借りして、大学院進学に至るまで皆さんを支えて下さった方々、諸先輩にもお祝いとお礼を申し上げます。
私ども岐阜大学には4つの大学院前期課程、2つの大学院後期課程に加え、岐阜大学を基幹校とする2つの連合大学院、1つの共同大学院があります。連合大学院のうち本日は岐阜薬科大学と構成される連合創薬医療情報研究科入学の皆さんが、教職大学院入学の社会人の皆さんとともに出席されています。この為、稲垣隆司岐阜薬科大学長もご列席下さっています。
なお皆さんご存知の通り、近年わが国では大学院教育の機能強化が高く謳われています。実際岐阜大学においても大学院前期課程である自然科学技術研究科が一昨年創設され、工学、応用生物科学、再生医科学を融合し、とくにデザイン思考教育を付加価値とする課程であり、今後、岐阜大学の教育で中核を形成する一つです。また同じく一昨年拡大された教職大学院、今年開設される共同獣医学研究科、さらに来年開設の準備が整った連合教職大学院博士課程も合わせ、大学院教育の特徴ある強化が急速に進んでいる様子をご紹介しておきたいと思います。
また岐阜大学大学院卒業者の社会的な躍進も、教育界、民間企業、行政機関を問わず特に最近急であり、外国大学の学長も複数生まれたことをお伝えしたいと思います。
さて岐阜大学は「人が育つ場所」を謳っています。私どもの側から申し上げると人材を育成する場所です。ではどういう人材を大学院で育てたいのか? 「学び究め貢献する」ことができる人材です。とくに強調したいキーワードは貢献です。地域貢献という言葉がすぐ浮かぶかと思いますが、私ども岐阜大学の理念における「地域貢献」はたとえば県や市、中部地区にとどまるものではもちろんなく、全国、さらにはグローバルな貢献まで視野に入れたものです。また民間企業や自治体などから何らかの要請を受けて大学院に進学された方々は、特にそれぞれが所属される場における需要に対応した貢献ができる高度職業人として大学院を卒業されることが予め期待されています。大学院入学者には学部卒とは異なった高度機能が要求されているわけで、「学び究める」内容もおのずから到達目標が規定されるものと思います。
ただし、大学院に於ける勉強の成果が卒業時にすぐ発揮出来る場合は極めて少なく、社会貢献として還元できるまでには大学院卒業から就職を経て合計20年くらいはかかるということを十分覚悟しておいて下さい。さらにこの間を高度職業人として生き抜くうえで、大学院では何を身に着けておくかも、十分考えて下さい。私ども岐阜大学の教職員は何時でもそのような相談に応じるべく用意が出来ているつもりです。
一方で、博士前期課程修了後、コースによっては博士後期課程への進学も大変魅力的な進路です。これは特に研究職を志望する方々が対象になります。ノーベル賞級の研究成果が多くは30歳前後で出ていることは事実であり、研究者を駆り立てるのは、どのような分野であれ、若い時に抱く夢のような発想です。そのような夢が自然科学、人文科学、社会科学の様々な分野でブレークスルーを生んできました。先に申し上げたこととは相いれないと感じられる方もいらっしゃると思いますが、どのような勉強であれ持続こそが力です。持続をもたらすモチベーションを生む要因の一つが夢です。高度職業人として自分の将来をしっかりと見つめる、あるいは研究者を志向し、しっかりと夢を持ち続ける、そんな大学院生として岐阜大学を楽しみ、かつ利用して頂ければと思います。
今日から諸君と一緒に送る大学院生活を大いに楽しみにしていると申し上げ、学長告辞とします。
本日は誠におめでとうございました。
平成31年4月7日
岐阜大学 学長 森脇久隆