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平成31年度岐阜大学入学式 学長告辞

入学式の様子

新入生の皆さん。入学おめでとうございます。本日、1,343名の平成31年度入学者をキャンパスに迎えることは、私どもにとってこの上ない喜びであり、岐阜大学教職員を代表して心から歓迎します。入学の喜びと勉学の意欲に燃える皆さんのフレッシュさを私どもも頂戴し、一緒に新たな勉学の場につくことができるという嬉しい気持ちで一杯です。またこの場をお借りして、今日まで諸君を支えて下さった皆様方にも心からお祝い申し上げたいと思います。

さて告辞を始めるに当たりまず、大学における学修とは何か、また大学生として心がけて頂きたいことは何かを幾つか申し上げます。

まず勉強の仕方がこれまでとは全く違うことをしっかり認識して下さい。高校までは学校でした。今日からは大学です。これまでは授業でした。今日からは講義です。諸君もこれまでは生徒でした。今日からは学生です。ではどこが違うのか。これから諸君が学ぶのは既存の学問体系に加え、教授陣が個別に血の出るような努力を重ね築いてきた、個性的な自然科学体系であり、人文科学体系であり、社会科学体系です。諸君はそれらを学んだ上で、自分自身の科学体系を、すなわち物事の考え方を独自に構築していく、これが大学での勉強になります。

このことに関連して申し上げたいのは、とくに一年生での勉強が極めて重要であると言うことです。これまでとは異なった勉強の習慣と方法を身につけるのは一年生です。実際、卒業時の成績は一年前期・後期の成績と一番強く相関します。大学に入ったからと言って緩むこと無く、一年次の導入教育から全力で取り組んで下さい。

また、そのような勉強を行う上では基礎的な素養が不可欠であり、それらを修めた上で大学における本来の高等教育、高度専門教育を受けるものとされます。この基礎的な素養がリベラルアーツであり、たとえば欧米の古い図書館などでホールの上空高く羽ばたく7体の女神像で現されます。極めて古典的な用語を用いれば修辞学、文法学、天文地理学、論理学、代数学、幾何学、芸術の7つと、全体を統括する哲学です。もちろん現在これらを直接標榜する科目は少ないでしょうが、高度専門教育と合わせ、リベラルアーツも修めるという目標を心がけて下さい。次に述べる社会人としての存在そのものの根幹になります。

すなわち、諸君はすでに選挙権を有する社会人であり、ladyあるいはgentlemanです。大学における勉学はそのような社会人として自分の責任においてなす行動です。大学の新入生としてキャンパスに入った段階で、私どもはもちろん社会も、諸君をladies and gentlemenとして見、また期待をします。大学とそのあとに続く社会で諸君はladyあるいはgentlemanであるべく、あらゆるチャンスをとらえ努力を積み重ねていってほしいと思います。

宣誓する医学部看護学科 永田さん

では次に岐阜大学の歴史を紹介し、少し自慢をさせて頂いた上で、皆さんが卒業し、社会で中堅として活躍するに至る、ほぼ10年先までの大学の将来計画を申し上げます。岐阜大学の創立は受験資料などでは1949年になっています。しかしそれぞれの学部は古い由来を持ち、中でも教育学部の前身である岐阜師範学校は明治7年、1873年の創立で146年目を迎えます。ここまで遡ると我が国で4番目に古い大学として位置づけられています。さらに応用生物科学部も1923年(大正12年)創設と大変古い歴史を持っています。工学部、医学部はいずれも昭和10年代です。このような歴史を伝えるソフト、ハード両方のアーカイブが学内のみでなく市内外にも残されていますので、何れ探訪して頂くことも楽しいかと思います。

なお1949年の創立から数えて今年は岐阜大学70周年です。6月1日の記念式典をはじめ今年1年をかけて様々な行事が準備されています。とくに学問の府である大学には学術資産に加え芸術資産も豊富です。これらをアーカイブ化し、大学全体を博物館とするキャンパスミュージアム構想がほぼ完成しつつあります。図書館内の博物館とともに屋外の緑地も含めキャンパス全体がミュージアムの役割を果たします。6月前後にマップと索引がアップされる予定ですので、例えばタブレットにダウンロードし、キャンパス内を散策できるようになる見込みです。

次に2025年をターゲットとした岐阜大学の将来ビジョンを申し上げます。まず名古屋大学との法人統合については現在 国立大学法人法の改正が国会で審議中ですので詳細は述べません。大学の名称は法律案の中に国立大学法人東海国立大学機構岐阜大学、と記載されています。

では岐阜大学そのものについて最も大事なストーリーをお話しします。まず本学は「地域活性化の中核拠点であると同時に、強み・特色を有する分野において全国的・国際的な教育・研究拠点の形成」を目指します。まず地域活性化の中核拠点は全学を横断する組織である地域協学センターが担い、COC事業とCOC+事業が柱です。COCはcenter of communityの頭文字ですが、COC, COC+とも文部科学省の評価で全国ベスト1です。また国際的・全国的な教育・研究拠点として、私どもは生命科学分野[生命の鎖]統合研究センター、環境エネルギー科学分野の次世代エネルギー研究センター、ものづくり分野のスマート金型・複合材料研究、さらに医学教育開発センターが、いずれも国から大きな支援を得ている強力な拠点です。さらに昨年から今年、来年にかけて畜産学、食品科学、航空宇宙生産技術などの教育研究拠点が建設されます。これらの機能強化によって本学は教育研究大学として一回り大きな存在となります。

ここでとくに「地域活性化の中核拠点」と「岐阜大学が行う国際貢献」との連関についてお話しします。私ども岐阜大学が理念とする「地域」はたとえば県や市、中部地区にとどまるものではもちろんなく、全国さらにはグローバルな貢献の発射台となる広さという概念です。またグローバルという場合の対象も漠然と全世界を言うのではなく、例えば岐阜という一地域と海外の一地域との連携を具体的に想定したものであり、新しいタームである「グローカル」という用語を用いて表現するのが、最も相応しいと思います。またその活動も双方の地域における需要に対応したものでなければなりません。そのためには教職員、学生が一体となって日本の、世界の要望にそぐう課題探求と課題解決に邁進する必要があり、従って学外へ、さらに世界へ出て行くことが重要です。特に新入生諸君には、どのような分野、対象であれ「広く日本社会にも、国際社会にも貢献できる人材になる」という志を抱いて頂きたいと願います。

岐阜大学の海外協定大学は50に及び、年間600名を超える外国人学生あるいは研究者が滞在し、キャンパスにはいつも300~400名の外国人留学生がいます。皆さん英語を話して下さいますし、日本語の上手な方も少なくありません。せっかくのチャンスですからどんどん国際的な交流に努めて下さい。また皆さん自身も出来るだけ早い機会に海外への飛躍にも挑戦して下さい。本学からは既に学部学生の段階で国際的な研究コンテストにチャレンジし、例えば宇宙工学、遺伝子生物学、建設工学などの分野で入賞する学生が輩出されつつあります。岐阜大学には、学生のこのような海外挑戦を支援する仕組みがかなり充実しています。

このように諸君は将来「広く日本社会にも、国際社会にも貢献できる人材になる」ことが期待される存在です。先年、ノーベル物理学賞受賞者の益川敏秀先生と対談させて頂いた折、先生から頂戴したメッセージは「若い人には、憧れとロマンを持ってほしい。それに近づく努力が成長への力になる」です。今日この場で皆さんにお届けします。

最後に私ども教職員自身の覚悟を申し上げます。岐阜大学は先に述べた理念を実行出来る人材を育てる場です。教職員自身も常に自分がそうであるべく、新入生諸君とともに努力を重ねるのは当然です。ともによき大学人であるべく手を携えて進んでいきましょう。

以上、今日からのキャンパスライフを大いに充実したものとし、また楽しんで下さいと申し上げ、告辞を閉じます。
本日は,おめでとうございました。

平成31年4月7日

岐阜大学 学長 森脇久隆

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