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第67回岐阜大学学位記授与式及び平成30年度岐阜大学大学院学位記授与式 学長告辞

 本日、ここに第67回岐阜大学学位記授与式 及び 平成30年度岐阜大学大学院学位記授与式を迎える運びとなりました。1261名の学部卒業生、534名の大学院修了生、内には学部、大学院合わせて61名の留学生、42名の社会人学生が含まれています。皆さん、誠におめでとう御座います。さらに会場には今日まで学生生活を支援して下さった皆様や、ご指導頂いた諸先生方のお姿も大勢拝見できます。如何にも卒業式にふさわしい光景で、お祝いを申し上げる気持ちが一層大きくなります。

 なお近年の学位記授与式は特に保護者のご出席が多く、ホールに入場出来ない方々につきましては従来より会場外の市民ギャラリーでスクリーン投影を行って参りました。さらに今年からは新しい試みとしてYoutube上にライブ配信も開始しておりますことをご案内させて頂きます。
 さて岐阜大学は1949年の創立ですが、前身を遡ると最も古くは1873年の岐阜師範学校に至ります。実に140年を超える歴史を有するわけで、すでに多くの秀でた先輩を輩出して参りました。先輩の皆さんは日本国内のみでなく、諸外国の教育機関、企業、行政機関など様々な分野で活躍をしていらっしゃいます。最近では市長さんや外国の大学長に就任される方もいらっしゃるようになりました。私ども岐阜大学の学部、大学院が日本国内でも国際的にも良い評価を受けているのは、このような諸先輩の活躍があってのことであり、本日学位を取得された皆さんもその中にこれから参画していくわけです。ただし皆さんに対する真の評価は、まさに皆さん自身のこれからの活躍にかかっています。その際、特に心がけて頂きたいことについて今日は申し上げたいと思います。一つは国際的な視野と地域を見る目、さらに二つ目は自分から様々な領域を切り開き前進する勇気を兼ね備えて頂きたいということです。

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学長告辞

 まず一点目について、地球上のどのようなところに存在するのであれ、またどのような社会的発展のステージにあるのであれ、国を支える根幹は、特に我が国のように資源に乏しいとされる国を支える根幹は、教育に他なりません。勿論、それぞれの学問領域における教育の切り口は時代とともに変化し、学問領域自体の比重がこれまでと同様に今後とも変遷していくであろうことは言うまでもありません。また教育のみでなく、各種の産業についても同じく、一地域、一国に閉じた状況ではなく、グローバルな視野から何を得意分野として強調し、何を連携し、或いはどこをどう分担するかという見方が不可欠となりました。本日、卒業された皆さんには、自分の研究テーマや次の進路に限定されることなく、より広い視野からどのような社会貢献ができるのか、国際貢献ができるのかを是非とも考えながら進んでいただきたいと願います。

 一方日本国内に目を向けますと、少子高齢化と地域の連関が大きな課題となっています。これはいわゆる先進諸国が遅かれ早かれ直面する問題で、我が国はその先頭を走りながら、一つのモデルを提供していることになります。このモデルにおける取組みの成果が成功例と認識されるか、失敗と見做されるか、評価基準にはいくつかの観点があろうかと思います。言い換えれば、個々人がある地域に生きることの幸せを何をもって評価するかについて、様々な見方があるということです。例えば我が国では、その地域に生まれ、育ち、家族とともに老いていくということも、一つのパターンとして望まれることがあります。そのためには地域に仕事があることは勿論、そこに定住できるためのサービス、すなわち医療、福祉、そして何より地域における教育などが充実していることが必須条件かと思います。今後、皆さんがどのようなところで活躍されるのであっても、国際的な視野と、同時に地域を分析的に見る視野の両方を兼ね備えて頂きたいと、改めて期待します。

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森脇学長から学位記を授与

 次に二つ目ですが、これから長い人生を歩んでいく上で、自分から様々な領域を切り開き前進する勇気を持ち続けて頂きたいと思います。失敗を恐れることなく、到達目標をしっかり見定め、自信をもって前進して下さい。昭和の、ある偉大な企業経営者は「仮に失敗を経験したとしても、最終的に目標を達成出来れば、それは失敗ではない」と言っています。また私が好きなある小説の中で次のようなやり取りがあります。挫折を経験した人物に先輩が「それで君はどうするつもりかね」と問いかけます。その人物は「何度でも同じことをやるつもりです」と答えます。まさに先ほどの言葉を地で行く決意です。ただし何らかの取り組みを進める上では、各ステップごとに十分以上に周囲を観察し、手段を考え抜くことが重要です。私自身が指導を受けたイギリスの科学者は、研究を例にとって「thinking, thinking, thinking, and one experiment」と教えてくれました。失敗を恐れず目標に立ち向かう熱意と、その熱意と表裏一体の熟慮を、皆さんには期待します。そのための駆動力は夢を持ち続けることです。その点について、ノーベル物理学賞受賞者の益川敏秀先生と対談させて頂いた折、先生から頂戴したメッセージをご紹介します。「若い人には、憧れとロマンを持ってほしい。それに近づく努力が成長への力になる」です。まさにこの言葉に尽きるかと思います。

 さて今日卒業する皆さんは岐阜大学の各学部あるいは修士・博士課程で高度な基礎科学と応用科学の考え方を勉強されました。そこで習得された考え方は決して学部・課程自体の領域に留まるものではなく、広く人文科学、社会科学、自然科学の全般に応用し、展開を図ることが可能です。皆さんには、岐阜大学で修得した叡智とともに、志を高く掲げ、開拓精神を持って、社会に対する貢献、国際貢献、広く人類に対する貢献をスタートさせて頂きたいと願います。近い将来、遠い将来を問わず、地球上の何処かで皆さんのご活躍ぶりを見聞できることを心より楽しみにしていると申し上げ、告辞と致します。

 本日は誠におめでとうございました。

2019年3月25日

岐阜大学 学長 森脇久隆

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