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平成30年度岐阜大学入学式 学長告辞

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新入生の皆さん。入学おめでとうございます。
本日,1,347名の平成30年度入学者をキャンパスに迎えることは,私どもにとってこの上ない喜びであり,岐阜大学教職員を代表して心から歓迎します。入学の喜びと勉学の意欲に燃える皆さんのフレッシュさを私どもも頂戴し,一緒に新たな勉学の場につくことができるという嬉しい気持ちで一杯です。またこの場をお借りして,今日まで諸君を支えて下さった皆様方にも衷心よりお祝い申し上げたいと思います。

さて告辞を始めるに当たりまず,大学における学修とは何か,また大学生として心がけて頂きたいことは何かを幾つか申し上げます。

まず勉強の仕方がこれまでとは全く違うことをしっかり認識して下さい。高校までは学校でした。今日からは大学です。これまでは授業でした。今日からは講義です。諸君もこれまでは生徒でした。今日からは学生です。ではどこが違うのか。これから諸君が学ぶのは既存の学問体系に加え,教授陣が個別に血の出るような努力を重ね築いてきた,個性的な自然科学体系であり,人文科学体系であり,社会科学体系です。諸君はそれらを学んだ上で,自分自身の科学体系を,すなわち物事の考え方を独自に構築していく,これが大学での勉強になります。

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このことに関連して申し上げたいのは,とくに一年生での勉強が極めて重要であると言うことです。これまでとは異なった勉強の習慣と方法を身につけるのは一年生です。実際,卒業時の成績は一年前期・後期の成績と一番強く相関します。大学に入ったからと言って緩むこと無く,一年次導入教育から全力で励んで下さい。

また,そのような勉強を行う上では基礎的な素養が不可欠であり,それらを修めた上で大学における本来の高等教育,高度専門教育を受けるものとされます。この基礎的な素養がリベラルアーツであり,たとえば欧米の古い図書館などでホールの上空高く羽ばたく7体の女神像で現されます。極めて古典的な用語を用いれば修辞学,文法学,天文地理学,論理学,代数学,幾何学,芸術の7つと,全体を統括する哲学です。もちろん現在これらを直接標榜する科目は少ないでしょうが,高度専門教育と合わせ,リベラルアーツも修めるという目標を心がけて下さい。次に述べる社会人としての存在そのものの根幹になります。

すなわち,諸君はすでに選挙権を有する社会人であり,ladyあるいはgentlemanです。大学における勉学はそのような社会人として自分の責任においてなす行動です。大学の新入生としてキャンパスに入った段階で,私どもはもちろん社会も,諸君をladies and gentlemenとして見,また期待をします。大学とそのあとに続く社会で諸君はladyあるいはgentlemanであるべく,あらゆるチャンスをとらえ努力を積み重ねていってほしいと思います。

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次にテーマを変え,岐阜大学の歴史を紹介し,少し自慢させて頂いた上で,皆さんが卒業し,社会で中堅として活躍するに至る,ほぼ10年先までの大学の将来計画を申し上げます。岐阜大学の創立は受験資料などでは1949年になっています。しかしそれぞれの学部は古い由来を持ち,中でも教育学部の前身である岐阜師範学校は明治7年,1873年の創立で先年140周年の記念式典が行われました。ここまで遡ると我が国で4番目に古い大学として位置づけられています。さらに応用生物科学部も1923年(大正12年)創設と大変古い歴史を持っています。工学部,医学部はいずれも昭和10年代です。このような歴史を伝えるソフト,ハード両方のアーカイブが学内のみでなく市内にも残されていますので,何れ探訪して頂くことも楽しいかと思います。

次に2025年をターゲットとした岐阜大学の将来ビジョンが式次第に折り込んでありますのでご覧下さい。最も大事なストーリーをお話しします。まず岐阜大学は「地域活性化の中核拠点であると同時に,強み・特色を有する分野において全国的・国際的な教育・研究拠点の形成」を目指します。折り込みにある大きな5本の円柱がそのための基本戦略であり,それぞれの下に具体的な取り組みが記されています。自分が所属する学部の将来ビジョンを後ほど確認して下さい。まず地域活性化の中核拠点は全学を横断する組織である地域協学センターが担い,地域貢献という円柱の下に赤字で示したCOC事業とCOC+事業が柱です。COCはcenter of communityの頭文字ですが,文部科学省の評価で全国ベスト1です。また国際的・全国的な教育・研究拠点として,私どもは研究の円柱に赤字で強調した生命科学分野[生命の鎖]統合研究センター,環境エネルギー科学分野 次世代エネルギー研究センター,ものづくり分野 スマート金型・複合材料研究分野,さらに教育の円柱に属する医学教育開発センターが,いずれも国から大きな支援を得ている強力な拠点です。

では将来ビジョンに示す戦略と取り組みのうち,今日はとくに「地域活性化の中核拠点」と「国際貢献」という観点の連関についてお話しします。私ども岐阜大学が理念とする「地域」はたとえば県や市,中部地区にとどまるものではもちろんなく,全国さらにはグローバルな貢献の発射台となる広さという概念です。またグローバルという場合の対象も漠然と全世界を言うのではなく,例えば岐阜という一地域と海外の一地域との連携を具体的に想定したものであり,新しいタームである「グローカル」という用語を用いて表現するのが,最も相応しいと思います。またその活動も双方の地域における需要に対応したものでなければなりません。そのためには教職員,学生が一体となって日本の,世界の要望にそぐう課題探求と課題解決に邁進する必要があり,従って学外へ,さらに世界へ出て行くことが重要です。特に新入生諸君には,どのような分野,対象であれ「広く日本社会にも,国際社会にも貢献できる人材になる」という志を抱いて頂きたいと願います。

岐阜大学の海外協定大学は48に及び,年間600名を超える外国人学生あるいは研究者が滞在し,キャンパスにはいつも300~400名の外国人留学生がいます。皆さん英語は今日の新入生程度には話して下さいますし,日本語の上手な方も少なくありません。せっかくのチャンスですからどんどん国際的な交流に努めて下さい。また皆さん自身も出来るだけ早い機会に海外への飛躍にも挑戦して下さい。本学からは既に学部学生の段階で国際的な研究コンテストにチャレンジし,例えば宇宙工学,遺伝子生物学,建設工学などの分野で入賞する学生が輩出されつつあります。岐阜大学には,学生のこのような海外挑戦を支援する仕組みがかなり充実しています。

なお岐阜大学のホームページには昨年小生がノーベル物理学賞受賞者の益川敏英先生と対談させて頂いた折の,先生からのメッセージが掲載されており,後ほど配布されるガイダンス用資料にもハンドアウトが挟んであります。「若い人には,憧れとロマンを持ってほしい。それに近づく努力が成長への力になる」です。これから「広く日本社会にも,国際社会にも貢献できる人材になる」べく成長する諸君に,まさにお届けしたいメッセージです。

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また,東京オリンピックに向けてその重要性が高まっている大学スポーツについても,岐阜大学の現状をお話しします。ハンドボール,アメリカンフットボールなどは中部地区に於ける強豪ですが,とくに個人種目については最近2年間でも全国大学競技大会すなわちインカレで,優勝者,準優勝者が陸上競技の走り高跳び,ビームライフルで出ています。部活の施設も充実していますので,スポーツも,さらに落語や邦楽など古典芸能を含めた文化系の活動も楽しんで下さい。

最後に私ども教職員自身の覚悟を申し上げます。岐阜大学は先に述べた理念を実行出来る人材を育てる場です。教職員自身も常に自分がそうであるべく,新入生諸君とともに努力を重ねるのは当然です。ともによき大学人であるべく手を携えて進んでいきましょう。

以上,今日からのキャンパスライフを大いに充実したものとし,また楽しんで下さいと申し上げ,告辞を閉じます。
本日は,おめでとうございました。

平成30年4月7日

岐阜大学 学長 森脇久隆

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