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平成28年度岐阜大学学位記授与式 学長告辞

 本日,ここに平成28(2016)年度,学位記授与式を迎える運びとなりました。

 学部卒業生,大学院修了生の皆さん,おめでとう御座います。また会場には今日まで学生生活を支援して下さった皆様や,ご指導頂いた諸先生方のお姿も大勢拝見できます。まことに卒業式にふさわしい光景で,お祝いを申し上げる気持ちが一層大きくなります。

学長告辞
学長告辞

 さて岐阜大学は1949年の創立であり,前身を遡ると最も古くは1874年の岐阜師範学校に至ります。実に140年を超える歴史を有するわけで,すでに多くの秀でた先輩を輩出して参りました。先輩の皆さんは日本をはじめ各国の教育機関,企業,行政機関など様々な分野で活躍をしていらっしゃいます。私ども岐阜大学の学部,大学院が日本国内でも国際的にも良い評価を受けているのは,諸先輩の活躍があってのことであり,本日学位を取得された諸君もその中にこれから参画していくわけです。ただし諸君に対する真の評価は,まさに諸君自身のこれからの活躍にかかっています。その際,特に心がけて頂きたいことを今日は申し上げたいと思います。国際的な視野と地域を見る目,さらに自分から様々な領域を切り開き前進する勇気を兼ね備えて頂きたいということです。

森脇学長から学位記を授与
森脇学長から学位記を授与

 まず,地球上のどのようなところに存在するのであれ,またどのような発展のステージにあるのであれ,国を支える根幹は,特に我が国のように資源に乏しいとされる国を支える根幹は,教育に他なりません。勿論,それぞれの学問領域における教育の切り口は時代とともに変化し,学問領域自体の比重が今後とも変遷していくであろうことは言うまでもありません。また教育のみでなく,各種の産業についても同じく,一地域,一国に閉じた状況ではなく,グローバルな視野から何を連携し,或いはどこをどう分担するかという見方が不可欠となりました。本日,卒業された皆さんには,自分の研究テーマや次の進路に限定されることなく,より広い視野からどのような社会貢献ができるのか,国際貢献ができるのかを是非とも考えながら進んでいただきたいと願います。

 一方日本国内に目を向けますと,少子高齢化と地域の連関が大きな課題となっています。これはいわゆる先進諸国が遅かれ早かれ直面する問題で,我が国はそのパイロット・モデルとして先頭を走っていることになります。その地域に生きることの幸せを何をもって評価するかについては,様々な見方があるでしょう。例えば我が国では、その地域に生まれ,育ち,家族とともに老いていくということも,一つのパターンとして望まれることがあります。そのためには地域に仕事があることは勿論,医療,福祉,そして何より地域における教育の充実が,その地域に定住することの必須条件かと思います。今後,皆さんがどのようなところで活躍されるのであっても,国際的な視野と地域を見る目の両方を兼ね備えて頂きたいと,改めて期待します。

 また,これから長い人生を歩んでいく上で,自分から様々な領域を切り開き前進する勇気を持ち続けて頂きたいと思います。失敗を恐れることなく,到達目標をしっかり見定め,前進して下さい。昭和の,ある偉大な企業経営者は「仮に失敗を経験したとしても,最終的に目標を達成出来れば,それは失敗ではない」と言っています。ただし,その際には,十分以上に周囲を観察し,考え抜くことが重要です。私自身が指導して頂いたイギリスの科学者は,研究を例にとって「thinking, thinking, thinking, and one experiment」と教えてくれました。失敗を恐れないファイトと,それに裏打ちされた熟慮を,皆さんには持ち続けて頂きたいと願います。

 今日卒業する皆さんは岐阜大学の各学部あるいは修士・博士課程で高度な基礎科学と応用科学の考え方を勉強されました。そこで習得された考え方は決して学部・課程自体の領域に留まるものではなく,広く人文,社会,自然科学領域全般に応用し,展開を図ることが可能です。皆さんには,岐阜大学で修得した叡智とともに,志を高く掲げ,開拓精神を持って,社会に対する貢献,国際貢献,広く人類に対する貢献をスタートさせて頂きたいと願います。近い将来,遠い将来を問わず,地球上の何処かで皆さんのご活躍ぶりを見聞できることを心より楽しみにしていると申し上げ,式辞と致します。

 本日は誠におめでとうございました。

平成29年3月25日

岐阜大学 学長 森脇久隆

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