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地質図「ジオランドぎふ」を通して
自分たちの足元、"大地"の情報を伝えたい。

約40年かけた「濃飛流紋岩」の研究は,岐阜県全域の地質図作成へ発展。



 「ジオランドぎふ」の基となった地質図の原図。岐阜県内を歩き
 回って得た資料を含めて,全42枚もの原図を製作したという。

 地球の自然活動,とりわけダイナミックな活動を見せる火山に興味を惹かれ,大学時代から研究を続けてきました。
 火山といえば御嶽山や阿蘇山などが思い浮かびますが,私が研究するのは約7,000万年前ごろの火山活動によって形成された「濃飛流紋岩」という岩体です。濃飛流紋岩は岐阜県全土の約4分の1を占め,その分布面積・規模において同時期のものとしては日本でも第一級の岩体です。このとてつもなく巨大な岩体の研究に,約40年の歳月をかけてきました。

 これらの研究は机上ではなく,岐阜県内の山や沢をくまなく歩き回って調査。各所の岩石を持ち帰り,分析してデータ化し,どのような時代の岩石が県内に分布しているかを地質図に表しました。しかし研究はただ続ければいいというわけではなく,社会貢献につながらなくては意味がないと私は考えています。

「ジオランドぎふ」では,岐阜県内の岩石類や地層群の分
布をまとめた地質図をWEB上で閲覧できる。上の図はそれ
らを形成時期に沿って大まかに区分して色分けした
「岐阜県地質概要図」。
http://www.geo-gifu.org/geoland/









 そこで岐阜県の「大地=ジオ」に関わる情報を誰もが即座に入手でき,災害や環境保全,教育に役立ててもらえるようにと考え,WEB版岐阜県地質図「ジオランドぎふ」を構築・公開したのです。


自然災害に慌てる前に,まず自分が暮らす足元を知ることが大切です

 岐阜県は全国的に見て面積が広く,3000メートル以上の高低差の中にかなり古い時代のものから現在のものまで多種多様な地質が分布しています。このような地質を持つ県は他に類を見ません。「ジオランドぎふ」はこうした複雑な岐阜県の地質を図面に集約し,5万分の1の規模に縮尺して表した全国的にも珍しいものです。県全域の地質詳細図をはじめそれぞれの地質の解説,また活断層や鍾乳洞,景勝地などの地質現象に関連する事項について約370項目の解説を加えました。

 「ジオランドぎふ」作成の根底にあるのは,多くの人々に「自然はそんなに甘くない」ということを伝えたいという思いです。普段の暮らしではあまり意識していない大地ですが,もし崩壊すれば命の危険にさらされます。しかし地震も噴火も津波も,自然現象としては極めて当たり前のことです。自分が住んでいる場所の大地がどうなっているのかまずは知った上で,災害に対する備えを行ってほしい。教育の現場で「ジオランドぎふ」を素材として利用し,ぜひ"命を守る 教育"を行ってほしいと思います。これらの自然災害現象と同様に,温泉や景勝地などもただ単にすばらしいと思うだけではなく,「なぜそうなっているのか」と考えるきっかけにしてもらいたいと思います。

巨大な火山岩体である濃飛流紋岩の一部。岐阜県
南東端の恵那山付近から北西端の白川村付近まで
の広大な地域に分布する。

 さらにこうした活用方法を多くの人に知ってもらうために,蓄積したさまざまなデータを結びつけ,現場に足を運んでもらう見学ルート案内のひな形を作ることも検討しています。例えば,鉄道を利用しながら各所を巡り,地質の観察スポットを紹介する「ジオ鉄」など,WEB上で気軽に閲覧でき,活用できるものを作りたいと考えています。年代を問わず,誰もがまず自分が生きる足元を知ることが大切だということを伝えていきたいと思っています。

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