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遠征の資金集めや部員の獲得にも奔走。
様々な苦労の全てが僕の大きな財産です。

今から半世紀以上前に創部され,その後廃部した岐阜大学ボート部を復活させた折原薫也さん。
自らも全日本大学選手権大会出場を果たし,30名近くが所属する部活へと育て上げた。
孤軍奮闘しながら部を牽引し続けたその情熱は,主将を譲った今も後輩の胸にしっかりと刻まれている。
部の復活のため,共に奔走した千田隆夫教授も,折原さんのリーダーとしての統率力,調整力に一目置く。

岐阜大学ボート部 復活までの軌跡

昭和37年頃に創部されたが,19年ほど前に部員減少を受けて廃部。 平成25年に入学した折原さんの働きかけにより,医学 部ボート部として復活を遂げた。その後,全学の同好会を経て, 全学の岐阜大学ボート部に昇格。現在の部員は28名(平成29 年3月時点)。主な練習場所は岐阜県川辺漕艇場で,平日は大 学構内で専用器具によるトレーニングを実施。週末には1時 間かけて漕艇場に通い,練習に励んでいる。女子部員やマネー ジャーなども在籍。他大学と合同で年2回の合宿も行っている。 平成28年度は,西日本医学生総合体育大会ボート競技男子ダ ブルスカル,中部学生新人選手権大会男子ダブルスカルで優 勝するなど,着実に力を付けている。


かけがえのない仲間を得て毎年インカレに出場。
存続の危機を脱し,今では総勢30名近くに。

「ボートの魅力は,自分が風になったような爽快感」と
話す折原さん。「4人乗りや8人乗りの時は,みんなの
動きが合った瞬間の一体感も醍醐味の一つです」。

なんとか部を立ち上げるも,その後は苦労の連続でした。

 高校生の時,水上を駆ける爽快感に魅せられてボートを始めた僕は,部の主将を務め,愛知県選抜として国体にも出場しました。夢だった小児外科医を目指して入学した岐阜大学でも,競技を続けようと思いましたが,ボート部は20年近く前に廃部に。そこで,入学式後の説明会で,日本ボート協会の理事を務める千田隆夫先生に駆け寄り,「部を復活させたい」と想いをぶつけ,そこから全てが始まりました。

中部学生選手権でのダブルスカル(2人乗り競
技)優勝のほか,折原さんは数々の大会で優秀
な成績を収めている。

 その後は苦労の連続でした。部の復活には,人・物・場所が必要です。
 まずは川辺漕艇場の近くに住むボート部OBの横山厚志さんを訪ね,ボートや艇庫を貸してもらえるように懇願。その後,友人4人を誘ってなんとか医学部ボート部を立ち上げました。ただ,経験者は僕一人です。孤独な練習が続き,心が折れそうな時期もありました。

昨年はかつての部誌『一艇身』も復活。
数百部を印刷してOBや後援会の会員な
どに配布した。

 転機は2年目。
 ボート経験者が入学し,全学の同好会としても活動を開始したのです。
 ただ,試合に出るにはボートの購入費や遠征費などがかかります。千田先生からの援助では足りず,父兄の後援会を作って支援を募ったり,船を運搬するトレーラーを安く借り,自分で運転して全国を転戦したりしました。こうした苦労の甲斐もあり,後輩と2人でインカレに出場。
 これを機にOB会からもボートを寄贈してもらうなど,部としての手応えを徐々に感じられるようになりました。



部での貴重な体験を糧に
立派な小児外科医を目指したい。

主将を引き継いだ4年生の伊藤拓海さん(写真右)は,
「すべて一人でやってきた折原さんは本当にすごい」
と話す。2年生で若手のホープ、坂口敬大さん(写真
左)は「普段は後輩にもいじられるくらい陽気。でも,
ボートを漕ぐ時は別人です」と語ってくれた。

 大学では勉強も大切です。ボート一辺倒になってほしくないと思い,部では「ボートへの関わり方は人それぞれ」という方針を掲げています。漕手以外にも広報活動や,マネージャーとして頑張る人もいる。様々な関わり方を尊重できる部でありたいと思っています。
 去年の8月には後輩に主将を引き継ぎました。さみしい気持ちもあります。でも,いつかは退く時がきます。幸い幹部を中心にうまく運営してくれていて,少し肩の荷が降りました。今後は僕が苦労した分,後輩を影ながらサポートしていきたいですね。
 ボート部では交渉や企画を自ら進め,困難にくじけないタフさも身に付きました。僕が目指す小児外科医は大変な仕事ですが,部での貴重な経験を糧に医師として頑張っていきたいと思います。


部長を務める千田隆夫教授は,
「ボートへの思いが人一倍強く真摯な性格。キャプテンに相応しいですね」と折原さんを評価する。
「資金面の援助のほか,後援会の立ち上げなども助言しましたが,初志を貫き続ける彼の姿勢は 本当に立派です。部をまとめ上げるための調整能力は,医師としても大い に役立つと思いますね」と将来にも期待を寄せる。

岐阜大学大学院医学系研究科 解剖学分野
千田 隆夫 教授
国際ボート連盟(FISA)国際審判員
日本ボート協会(JARA)理事・国際委員長・公認審判員

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