大学案内

違う研究室の仲間と取り組んだ課題で 新たな考え方や見方を学びました


これからのまちづくりを担う学生の力を育む創造の場として
毎年6月頃に行われる「土木計画学公共政策デザインコンペ」に
平成27年度は,工学部社会基盤工学科の3つの研究室からなる混合チームが参加。
構想力豊かな提案に贈られる「北村記念賞」を受賞した。


寝る間も惜しんで討論をしただけに,受賞の瞬間は感無量でした。

公共政策デザインコンペ
全国の学生を対象に,社会環境における問題を自分たちで見つけ,その改善策の提案を募る土木計画学研究委員会主催のコンペティション。平成27年度,岐阜大学のチームは,工学部社会基盤工学科の「地盤・地下水」,「交通システムデザイン」,「地域環境デザイン」の3つの研究室から有志が集まり,空き家が多い岐阜市中心部の活性化を課題に挙げ,「地下水でまちづくり」を提案。各研究室がかねてから「互いの研究を生かして何かできないか」と考えていたことが形になり,前年の夏頃から岐阜市金華地区の調査を開始。具体的な実現性が評価され,受賞に至った。過去5回の受賞歴を誇る岐阜大学が,構想の優れた提案に対して与えられる「北村記念賞」を受賞したのは今回が初めて。
「連続受賞のプレッシャーもありましたが無事に受賞できてよかっ
たです」と井戸さん。

金華地区特有の歴史と地下水を
活かした提案をしました。

 今回のコンペで提案したのは,金華山の麓に位置する金華地区における,地下水を使ったまちづくりです。岐阜公園や古い町並みなどの観光資源があるこのエリアでは,それらがうまく生かされておらず,空き家も増えています。一方でこの地区はかつて地下水を使った生業が盛んな地域でもありました。この場所の地下水は,長良川の左岸から半年かけて緩やかにたどり着いたものであるため,夏は冷たく冬は温かいという特性を持っています。これらの利点をもとに「清流長良川の水を活かした食産業を集積したまちづくり」とテーマを設定し,研究に取り組んだのです。

 提案内容で重要視したのは"実現性"。せっかく提案をしても,机上の空論で終わってしまっては意味がないと考えました。みんなで何度もミーティングを行った結果,長良川の水の性質を利用したうどんやドーナツなどの食品加工産業の集積に加えて,地下水を利用した空調設備の導入,ウォーキングコースによる観光動線の整備などを提案することにしたのです。また,実現化に向けて,岐阜市や地主,空き家を紹介する「岐阜市にぎわいまち公社」,出店者,それぞれにメリットがある運営方法の提案を盛り込みました。こうした具体性のある内容が,今回の受賞につながったのだと思います。

金華地区には何度も足を運び,現地の生業や地下水について
調査を行った。

自ら提案し,計画し,実行する。
この経験を将来に活かしたい。

 ミーティングでは毎回宿題を出し合い,個々に考えをまとめて再び討論する,ということを繰り返してアイデアを練り上げました。発足時は週に1回程度だったミーティングも終盤にかけては毎日行うようになり,話し合いも白熱。時には寝る間も惜しんで話し合うこともありましたが,そういう時こそいいアイデアが浮かびました。長良川の水温差を活用した,グルテンを使った食品づくりの案は,まさに激論の末に生まれたアイデアです。時には意見が食い違うこともありましたが,多方面から物事を考えることで,より内容が充実し,発表当日には達成感を味わうことができました。
 自ら提案し,計画し,実行することは社会に出た際に必ず直面する課題です。今回,みんなでひとつのことを成し遂げるという経験を積み,その土台を築けたことはとてもよかったと思っています。

指導教員の社会基盤工学科の出村嘉史准教授は「他分野を学
ぶ学生が集まったことで,多角的な視点で課題に取り組むこ
とができたようです。すべて学生たちが自ら議論,検証を幾
度となく行い,プレゼンまで一貫して行ったことが発表時の
自信につながったのだと実感しています」と話し,「他大学
の学生との交流や,専門家からの意見を聞けたことも学生の
学びになった」と評価している。

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