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「ここでしかできない本物の金型を作る経験が,実践的な知識と広い視野を与えてくれました。」

国内外の大学・大学校が金型の技術を競い合う「第7回学生金型グランプリ」に出場した岐阜大学のチーム。
プレス金型部門で金賞,プラスチック射出成形金型部門で銀賞を受賞した。
各部門でプレゼンを務めた稲垣省吾さん,中村優太さんがその道程を振り返る。

学生金型グランプリ
 岐阜大学では,平成18年7月,文部科学省の科学技術振興調整費事業の採択を受け,「金型創成技術研究センター」を設立。金型技術の高度化・伝承を行い,創造的かつ意欲のある若手技術者を育成する知の拠点として,金型を用いるものづくり分野の優秀なプレーイング・マネージャーを輩出することを目的としている。同センターでは,工学部4年生の金型実習の一環として,「学生金型グランプリ」に第1回から参加。
 学生金型グランプリとは,一般社団法人日本金型工業会が主催する金型の技術コンテスト。国内外の大学・大学校が参加し,プレス金型部門,プラスチック射出成形金型部門の2部門に分かれて,課題を基に金型の設計・製造技術を競い合う。「出品される金型は,大学によって設計の仕方が異なるため,学生は自分とは違ったアプローチがあることに気付き,発見や刺激が得られます。この大会に参加する狙いの一つです。また,参加をきっかけに,工作機の扱い方や一連のものづくりの流れを体験してもらうことで,産業界が求める金型分野の質の高い技術者の育成につなげています」と金型創成技術研究センター長の山下実教授。

座学では得られない貴重な経験が,ものづくりの面白さを教えてくれました。

学生金型グランプリ
プレス金型部門 金賞
プレゼン担当
稲垣 省吾さん
工学研究科 博士前期課程
機械システム工学専攻1年

鋼板から鈴になるまでの工程を8つに分け,全部で10個の金型を使うことを決定。
メンバー10人で役割を分担し,それぞれが1個ずつ責任を持って作り上げることに。
製作過程において完成品の見た目や細部のデザインにまで徹底してこだわった結果,
成形の美しさが高く評価された。


 金型グランプリの授業を専攻したのは,ものづくりの全工程に自ら携わり,オンリーワンのものを自分で作り上げたいと思ったからです。大会に向けて,まず大まかな製品の図面が送られてくるのですが,今回のテーマは「鈴」でした。シンプルで身近なものですが,設計図だけを見ても作り方が想像できず,予想以上に難しいなと思いましたね。先生の助言を受けながら,解析ソフトを使ってどこに力が加わるか,割れたりしないかなどを検討し,試作に至るまでの金型の設計作業に多くの時間を割きました。特に加工が難しい金型は,みんなで情報を共有し,どうすればいいのかを話し合いましたが,その過程で議論を重ねる大切さを改めて実感しました。金型創成技術研究センターには,企業でも使われる加工機がたくさんありますが,こうした専用機に触れる機会は,他大学ではほとんどないと思います。実際の加工を経験する中で,製造現場ではどんな部分で問題が起こるのかなど,座学では学べない知識を得られたのが大きかったです。また,設計から製造までのすべてに携わることで,広い視野が身に付きました。
 今回の経験を生かし,将来的には自分の担当分野のみならず,各工程のつながりを大事にしたものづくりができる技術者になりたいと思います。

他大学の設計を見ることで,新たな発見も得られた大会でした。


学生金型グランプリ
プラスチック射出成型金型部門 銀賞
プレゼン担当
中村 優太さん
工学研究科 博士前期課程
機械システム工学専攻1 年

使い終わったティーバッグを置く「ティーバッグレスト」。6人のチーム全員が協力し,
2次元の設計図を基に3Dモデルを作成するところから開始した。何度も解析を繰り返し
て部品を加工し,金型を完成。当初から製品の販売を念頭に置いて製作を進めた結果
審査員からその完成度が高評価を受けた。

 プラスチック射出成形金型部門では,冷却すると収縮する樹脂の特性を踏まえ,設計を微調整するところに一番苦 労しました。2次元の設計図をそのまま3Dモデルにして金型を製造しても,違うサイズの成形品ができてしまう。そこで,コンピュータでの解析を駆使し,金型の大きさを微調整しますが,膨張する部分とそうでない部分との3Dモデルがうまく接合せず段差が生じるなど,本当に試行錯誤の連続でした。
 今回,実際の成形品を作るまでの一連の流れを経験できたことで,普段何気なく使っているプラスチック製品がどれだけ苦労して作られているのかを実感できました。また,当日の発表では,大学ごとに設計のアプローチの仕方にも違いがあり,とてもいい勉強になりました。私は,最終的に製品として売り出すことを意識し,いかに効率よく作れるかに重点を置いて金型を製作しました。惜しくも銀賞でしたが,見た目のきれいさや射出の効率の良さなどが高く評価され,「製品化に一番近い」とお褒めの言葉をいただけたのがうれしかったです。将来は自動車の内装品などの射出成形に関わる仕事がしたいと考えていますので,今後は企業目線に立ち,より高度で無駄のない金型設計技術について学びたいと思います。

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