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「iGEM(アイジェム)の活動に取り組んだ1年間は 最もつらく,最も生き生きと輝いていました。」

メンバー全員の頑固なこだわりと努力が,「クール!」「面白い!」の評価につながった。

授業で学んだ実験が実際に役に立ち,感動しました。

世界大会に出場した,応用生物科学部の9人の学生たち。

 学生主体の世界的な合成生物学の大会「iGEM」に興味を持ったきっかけは,京都大学の幼なじみからその魅力を聞いたことです。合成生物学とは,人工の細胞を作り上げて生理現象を理解する学問。大会では本部から支給される遺伝子パーツを組み替えて,微生物に新しい機能を加える"発想"を競い合います。アイデア勝負なら世界の学生と対等に渡り合えると可能性を感じ,さっそく友人5人に声を掛けました。すると「やってみたい」とすぐに乗ってくれて。その後,アイデアや知識が偏らないように英語が得意だったり,成績優秀な同級生を誘って,9人で東海地方初のチーム「iGEM Gifu」を立ち上げました。

 研究テーマを決める会議は毎回食堂で行いました。ユニークなアイデアは雑談の中から生まれると思ったからです。お菓子を食べながら意見を出し合ううちに思いついたのが,「巨大なタンパク質の合成」。発想の原点は,岐阜の絹織物産業復興への思いでした。蚕の絹糸の主要成分である長いタンパク質に似た,巨大なタンパク質の作製を目指して実験を開始。授業で学んだ実験が実際に役立ったときには感動して,学習意欲が沸きました。

将来はアイデアを生かせる舞台で活躍したい。

 実験以外にもやることは山積みです。そこで効率を考え,メンバーの得意分野に合わせて分業制にしました。結果を掲載するWEBページ作製班はWEB構築を一から勉強して,わかりやすく楽しいページを作り上げ,ポスター作製班は見やすく人を惹きつけるデザインのものを完成させました。私の役割は口頭発表の原稿作りと,メンバー同士が情報共有できるように各班をつなぐことでした。

 みんなの頑固なまでのこだわりと努力が実を結び,大会で「クール!」「面白い!」と言われたときはうれしかったです。反省点は英語力不足で議論がうまくできなかったこと。この1年は辛くても,全員が生き生きと輝いていました。一つの目標に向かって必死に取り組めたことも良い経験でした。この活動を経て,将来は研究に限らず,チームワークのもとでアイデアを達成する舞台で活躍したいと考えています。

口頭発表では絹織物復興を題材にした寸劇を披露し,「笑いもとれました」と森山さん。

iGEM Gifu

「iGEM Gifu」をはじめ227チームが会場の
ハインズコンベンションセンターに集結。

「iGEM(The International Genetically Engineered Machine competition)」とは,マサチューセッツ工科大学生物工学分野の学部学生教育の一環として始められたもので,平成16年から世界の大学生が競う合成生物学の大会として開催されている。

「iGEM Gifu」は平成25年夏,応用生物科学部2年だった森山章弘さんを中心に,同学部の同級生9人で立ち上げた岐阜大学のチーム。平成26年の大会に東海地方の大学で初めて参加し,銀賞を受賞した。

世話人として大会にも同行した応用生物科学部の岩本悟志 
准教授は,「自分たちでテーマを見つけ,計画を立てて
実行し,成果を出して公表したという,生きた学問をして
くれました。彼らの熱意にうたれ,学長,学部長をはじめ
先生方みなさんが気持ちよくサポートをしてくれました」
と話す。







遺伝子を使うため,事前に遺伝子組み換えに関する法律などの講習を受け,大学の承認を得た上で実験を開始。タンパク質を合成するmRNA(メッセンジャーリボ核酸)は一本線で始まりと終わりがあるが,環状にすることで終わりをなくし,繰り返しタンパク質合成を行えるようにした。こうして巨大なタンパク質の作製に成功。この独創的なアイデアとともに,安全性や環境に対する影響など徹底した遺伝子情報の検証も評価された。

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