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医療現場における コミュニケーション力を養い 患者のニーズに応える 医師を養成する。

医学教育開発研究センター「医療面接実習」

医学部では3年次から5年次まで,岐阜大学医学教育開発研究センターのコミュニケーション・プロフェッショナリズム教育の一環として「医療面接実習」を実施。
模擬患者とさまざまな場面を想定した模擬面接を行い,
医師としてのコミュニケーション力のスキルアップを図ります。


 医療面接実習を含めた岐阜大学医学部の医療コミュニケーション教育は,全国に先駆けて始まり,充実化を進めています。まずは1年前期に介護施設などを訪問し,医療現場の全体を把握。後期は地域体験実習として6週間,高齢者や妊婦と1対1で接してコミュニケーション力を身につけます。医学部ではライフサイエンス,いわゆる"命"に関する科学は学びますが"生活や人生"はなかなか学ぶことができないのが現状です。また,少子化時代の今の学生たちは幅広い世代と接する機会が少なく,メールでは意思疎通が図れても会話は苦手という人が多い。そのためこうした実習を経験し,きちんと相手と向き合い,状況が異なる個々人に対応できるスキルを身につけていきます。

 模擬患者参加型の医療面接実習は,3年次〜4年次の秋までに2~3回ずつ,4年次の冬〜5年次に2回ずつ行っています。平易な説明や踏み込んだ情報収集などの初級編と,悪い知らせの伝達や怒っている患者への対応などの中・上級編を行います。初級編で面接を体験して感覚をつかみ,中・上級編で難しいテーマに取り組みます。昨今は医師に対する要求レベルも上がってきています。患者と同じ目線に立って喜び,悩み,悲しむパートナーシップを築くために,学生は課題を見つけ,解決し,成長していきます。また5年次の臨床実習に備えて,4年次には臨床能力試験「オスキー(※)」を受けます。あらゆる局面を体験する実習が試験への自信につながります。

 模擬患者の育成セミナーにも力を入れています。リアルな演技や教育的な意見は学生にとって学びや力になり,学生の成長は,模擬患者のやりがいにつながります。実際の医療現場でも,医療面接実習の経験を持つ医師へのクレームが減ってきているようです。

 こうしたコミュニケーション教育を推進している「岐阜大学医学教育開発研究センター」は,全国初の医学教育分野の共同利用施設として,平成13年に設立されました。日本に適した医学教育システムを構築・発信することや,教育の学識やスキルを高めることを主な任務としています。今後はそれらを全国に発信していくと同時に,地域医療にも貢献していきたいです。コミュニケーション力に優れ,多面的な見方や考え方ができる学生や教育者を育てて,患者の声を反映した医療づくりに取り組める人材育成を行っていきたいと考えています。

オスキー(OSCE)
Objective Structured ClinicalExamination の略。客観的臨床能力試験のことで,平成13年からトライアル開始,平成17年から正式実施。医療面接や診察,医療手技などの実技を行い,評価者がその場で評価をしていく試験。国内の医学部,歯学部,薬学部の学生は病院での臨床実習に出る前にオスキーに合格することが条件となる。

コミュニケーション・プロフェッショナリズム教育
医療面接実習
Technical Expression
対象学生:小児科臨床実習中の医学科3~5年生

患者との信頼関係を重視し,患者の気持ちに寄り添える医師を養成するために,コミュニケーション力を磨く実習「医療面接実習」。問診での挨拶,視線,共感の仕方,間の取り方などを実践から学びます。岐阜大学では全国に先駆けて平成9年から実施。授業ではシナリオに沿って学生1名が模擬患者と模擬診察のセッションを行います。実際の問診を再現するため,育成セミナーを受講した市民ボランティアが患者役を務めます。セッション終了後には指導教員や模擬患者からのフィードバックを全員で共有した後,学生は自身の応対を映像で確認し,スキルアップを図ります。

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模擬診察セッションの流れ

  模擬患者は病気や検査への不安を訴え,学生は病状や治療方法などを丁寧に説明。
  指導教員の藤崎教授とほかの模擬患者がその様子を見守り,セッション終了後に良かった点や改善点などを振り返った。

模擬患者インタビュー

実習で自分の感じたことが,学生の学びの役に立ち,喜びになっています。

模擬患者
石川 雅代 さん

知人に誘われて,約5年前から模擬患者をしています。岐阜大学医学部附属病院にはお世話になっているので,お役に立てることに喜びを感じます。実習で難しいと思うのは面接を受けた後に,その感想や意見を述べること。学生さんによって話す内容や様子,こちらの受け止め方も変わるので,同じシナリオでも感じることは毎回違います。それを一定の評価として伝えるのは大変ですが,自分の発言が役に立つと思うとやりがいを感じます。患者にとって"何でも話せる医師"になってほしいと願っています。

学生インタビュー

コミュニケーションスキルを身につけて,患者と一緒に頑張れる医師をめざします

岐阜大学医学部医学科5年
尾崎 眞人 さん

実習は毎回シチュエーションが違うので対応が難しく,患者さんの気持ちに対する声かけがうまくできないもどかしさも感じます。反対に模擬患者さんから褒めてもらうと自信につながります。また振り返りでの意見は教科書に載っていないことも多く,答えはひとつじゃないということを実感します。医学は技術と同様,コミュニケーション力も大切。もっとスキルを身につけて,ただ患者さんに寄り添うだけではなく,一緒に頑張っていける医師になりたいと思います。

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