大学案内

株式会社岡本 代表取締役 会長 岡本太右衛門 氏

地域の人たちと手を携えながら,
共に栄えていくような岐阜大学へ。

学長:まずは岡本会長に,岐阜大学の将来ビジョンに対するお考えをお聞かせいただければと思います。
岡本会長:私が岐阜大学に望む"あるべき姿"というのは,岐阜市民,あるいは岐阜県民が「我々の地域には岐阜大学がある」と誇れる大学であること,そして,地域の人たちが「岐阜大学と共に栄えていく」という意識を持てる大学であることです。もちろん現在でも,こうした意識は醸成されつつあると感じていますが,もっと強く意識できる存在になってほしい。岐阜市で暮らす私たち地域住民からすれば,「岐阜市には国立大学がなかったから,たまたまできた」といった感覚がまだ根強い気がします。だからこそ,今後は地域と一緒に発展し,より一層連携を深めていってもらえればと思います。
学長:私たちもそう感じているところです。例えば,卒業生の地元定着という点でも,まだまだ十分とは言えません。
岡本会長:ええ。岐阜大学を卒業した方々がこの地域で働き,大きな夢と責任感を持ってこの地域を発展させていく。そんな形が出来上がっていくことを願っています。
学長:ありがとうございます。今のお言葉はとても胸に刺さります。特に岐阜大学は,工学部や応用生物科学部の学生が多いのですが,これらの学部の卒業生の地域就職率は1~2割程度です。私たちも地元にもっと定着してほしいと考えていますが,そのためには,岐阜のいいところを教えないといけない。そして,これは今さらながら最近気づいたことなのですが,学生に伝える前に,先生方にも岐阜を知ってもらわないといけない。そうすることで,学生たちに魅力を伝えてもらうことが大事だと強く感じています。
岡本会長:確かにおっしゃるとおりです。
学長:現在,岐阜大学では2025(平成37)年に向けた将来ビジョンの取り組みとして,「教育」「研究」「社会貢献」「国際化」「大学病院」といった柱を設けていますが,その「教育」においては,「地域単位でのTeach for Communities」というキーワードを掲げています。岐阜大学では岐阜県のほか,県下10の市町村と、地域社会の発展と人材育成に寄与することを目的に包括的な連携協定を結んでいますが,こうした地域の方々のご協力を仰ぎながら,岐阜の魅力を知る機会をもっと提供していきたいです。
岡本会長:岐阜大学と地域との連携という意味では,私たちは今,岐阜城に向かうロープウェイを,城の近くにまで延伸する計画を進めています。ところが,国有林,文化財の両方を保護するという側面から建設には制約があり,プロジェクトがなかなか前に進んでいきません。岐阜市にとって観光は産業振興の大きな柱の一つですから,岐阜大学の建築や土木のエキスパートの方々のノウハウをお借りし,大切な観光資源である岐阜城の魅力を向上できればと思っているところです。

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「医・薬・獣」の3つを密に連携させ,
国際的な研究センターの設立を。

岡本会長:岐阜大学に長年抱き続けてきた私の強い願いは,岐阜大学と岐阜薬科大学という素晴らしい知識が結集している利点を活かし,お互いがより密にコミュニケーションを図ることで,生命科学,ライフサイエンスの拠点を作ることです。そうすれば,岐阜大学が世界でイニシアティブを取れるような大学へとステップアップできるのではと夢見ています。
学長:まさしく岐阜大学としても,岡本会長と同じビジョンを掲げています。将来ビジョンの中に「医・薬・獣」という言葉を入れていますが,岐阜大学には医学部があり,隣には岐阜薬科大学があり,さらには鳥取大学と設置した共同獣医学科がある。この3つが揃っている大学は東海地方で唯一ですし,全国を見渡してみても,北海道大学と東京大学の2校しかありません。しかも,しっかりとした連携関係を築くためには,コンパクトにまとまった岐阜大学に大きなアドバンテージがあります。これは大学における研究の大きなウリになるのではと考えています。
岡本会長:岐阜大学のキャッチフレーズの一つとして,とても魅力的だと私も思います。できれば,海外から著名な研究者を積極的に招聘し,国際的な研究センターのようなものを作っていただきたい。
学長:ぜひそうしたいです。実は,この「医・薬・獣」連携の先陣を切ることになりそうなのが,平成28年度に岐阜大学構内に建設を予定している獣医学関連の施設です。まずはこの施設を拠点として獣医学を強化し,将来的には医学部が持つ病院と,岐阜薬科大学とを結んだ,片道5分で往来できる研究拠点のトライアングルができればと構想しています。そして,岡本会長がおっしゃるように,そこに海外の優秀な人材が加わってくださればと大いに期待しています。

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国際化を推進するためにも,
経営マネジメント教育が必要。

岡本会長:岐阜大学の将来ビジョンを拝見すると,「国際化」を一つの柱に据えていらっしゃいますが,私は経済人ですから,一般的な国際交流のあり方にはどうしても物足りなさを感じてしまいます。国際交流というと,文化交流が中心になりがちですが,私の実体験から申し上げると,お金,ビジネスの要素がなければ,実のある交流は少なくなると感じています。例えば,岐阜市は以前からフィレンツェ市と姉妹都市提携を結んでいますが,提携から15年ほどは文化交流のみで,互いの小・中学校の教職員が行き来する程度でした。それが,現地のワインを購入し,岐阜市で販売するというビジネスのつながりが生まれると,より深い関係性が築けるようになったのです。つまり,国際交流の一つとして何かしらの経済的な交流があれば,今まで以上に密な交流ができていくのでは,と思うのです。
学長:そうですね。私たちもそれは痛感しています。特に岐阜大学には,東南アジア諸国から多くの留学生が来ていますが,今までは学術交流が中心でした。ところが近年,相手先の大学から「どのようにビジネスに役立つ教育をしていくのか」とよく尋ねられる。企業経営やビジネス全体のマネジメントなども含めた教育交流を図ってほしいと言われるのです。そこで最近,私が注目しているのは食品科学の分野です。東南アジアでは,食品の生産はすでに十分できる。ただ,加工や運搬,貯蔵,貿易などのノウハウが乏しいため,ビジネス全体をマネジメントするための知識を身に付ける教育が強く求められています。こうしたニーズに応えていくことも,大学教育の一つのあり方なのではと考えているところです。
岡本会長:岐阜大学には,岐阜の企業が海外とのビジネス交流という"枝"を伸ばしていく上で,それを支える"大きな幹"のような存在になってもらえればうれしいですし,そうすれば国際交流がもっとうまくいくと思います。
学長:おっしゃる通りですね。私たちが大学同士で国際交流を図ったとしても,大事なことは将来卒業する学生たちが,どのようなビジネスに就くかということ。そこまで考えていかないと真の意味での交流は実っていかない気がします。これからは学生に対して,将来のビジネスを意識してもらえるような教育をしていくことが大切かもしれないですね。

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