研究成果

磁気スキルミオンの特性識別に成功  ―磁気スキルミオンを利用した大容量メモリ開発へ道筋―

 磁気スキルミオン[1]は、磁性薄膜材料に現れる磁気渦構造であり、キラルな構造をもつ特徴があります。そのサイズは数ナノメートルと小さく、磁性薄膜内での安定性が高く、また動作に必要な電力が小さいことから、省電力の性能をもつ次世代磁気メモリの情報キャリアとしての応用が期待されています。岐阜大学工学部の山田啓介 助教、電気通信大学大学院情報理工学研究科の仲谷栄伸 教授、英国ヨーク大学電子工学科の廣畑貴文 教授の研究グループは、電流による磁性薄膜中の磁化に働く力である「スピン軌道トルク」[2](以下SOTと略す)と「スピントランスファートルク」[3](以下STTと略す)の組み合わせによって、磁性薄膜上に存在する磁気スキルミオンの特性であるカイラリティを電気的方法で識別する手法を提案し、シミュレーションによってカイラリティの識別が可能であることを世界に先駆けて実証しました。この成果により、磁気スキルミオンのカイラリティを用いて情報を表すことが可能になるため、磁気スキルミオンを利用した磁気メモリの大容量化へ道筋を開きました。
 なお、この技術の詳細は2021年4月16日(金)10時(英国時間)にScientific Reports(Nature Publishing Group)に掲載されました。

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提案したデバイス概念図
トラックの左端にある磁気スキルミオンをSTTによりトラック分岐領域まで移動させます。分岐領域のSOTにより右巻きと左巻きのカイラリティをもつ磁気スキルミオンを識別できるデバイス構想です。

本研究成果のポイント

  • 磁気スキルミオンの特性を電気的方法により識別することに初めて成功した。
  • 分岐したトラックを利用することで容易に特性の識別が可能である。
  • 磁気スキルミオンを利用した大容量メモリ開発へ道筋を開いた。
  • [1] 磁気スキルミオン:英国人物理学者トニー・スキーム(Tony Skyrme)によって理論的に予測された準粒子のことを指します。磁気スキルミオンは渦状の磁化構造を有しており、そのサイズは数ナノメートル程度と非常に小さいです。磁気スキルミオンは、その渦構造の磁化の方向や巻き方によって様々なタイプに分類できます。
  • [2]スピン軌道トルク:電子の軌道角運動量と電子のスピンとの相互作用であるスピン軌道相互作用により誘起されたトルク(回転力)です。
  • [3]スピントランスファートルク:強磁性体に電流を流すと、電荷とともに電子のスピンが流れます。流れ込んだスピンから強磁性体のスピンへスピン角運動量が受け渡され、回転力(トルク)が生じることから、電流によって強磁性体の磁化を制御できる技術です。

詳しい研究内容について

磁気スキルミオンの特性識別に成功
 -磁気スキルミオンを利用した大容量メモリ開発へ道筋-

論文情報

  • 雑誌名:Scientific Reports
  • 論文名:Discrimination of skyrmion chirality via spin-orbit and -transfer torques for logic operation
  • 著 者:Yoshinobu Nakatani, Keisuke Yamada, and Atsufumi Hirohata
  • DOI番号:10.1038/s41598-021-87742-6

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2021.04.19

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