研究成果

がんの親玉「がん幹細胞」の弱点を発見! -「がん根治」への道を拓く成果-

 岐阜薬科大学大学院薬科学専攻の深澤和也大学院生(日本学術振興会特別研究員)、堀江哲寛大学院生(日本学術振興会特別研究員)、岐阜薬科大学薬理学研究室・岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科の檜井栄一教授らの研究グループは、京都薬品工業株式会社、金沢大学、東京大学との共同研究により、脳腫瘍グリオブラストーマ治療における、「がんの根治」を指向した新規の創薬ターゲットを発見しました。
 グリオブラストーマは、脳組織に存在するグリア細胞という細胞が、がん化することで発症する疾患です。グリオブラストーマ治療における問題点の1つは、「がん幹細胞」の存在です。がん幹細胞は、がん細胞の親玉のような存在であり、治療抵抗性を持つことが大きな特徴です。
 研究グループは、がん幹細胞に発現するCyclin-dependent kinase 8 (CDK8)という因子ががん幹細胞の機能を制御していることを発見し、その詳細な分子メカニズムを明らかにするとともに、CDK8がグリオブラストーマ治療における有望な創薬ターゲットとなることを明らかにしました。本研究成果は、様々な難治性がんに対する、「がんの根治」を指向したがん幹細胞標的薬の創製に貢献できるものと期待されます。 本研究成果は,英国学術雑誌『Oncogene』に掲載されました。(オンライン版公開日:日本時間 2021年3月17日 午前2時)

Cyclin-dependent kinase 8 (CDK8): CDKと呼ばれるリン酸化酵素の遺伝子グループの1つ。CDK遺伝子の8番目。近年、白血病や大腸がんなど、様々ながんとの関連が報告されている。

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グリオブラストーマ治療において、がん幹細胞のCDK8は有望な創薬ターゲットである

本研究のポイント

  • 「がん幹細胞」は抗がん剤や放射線などの治療に対して抵抗性を持っており、「がん幹細胞」を制圧することで、がんの根治が期待できます。
  • グリオブラストーマ患者のがん組織において、CDK8が高発現していることを見出しました。
  • CDK8の働きを抑えると、「がん幹細胞」の機能が低下することを世界に先駆けて発見しました。
  • 独自に開発した新規CDK8阻害剤「KY-065」を用いることで、「がん幹細胞」の機能を低下させることができました。
  • 以上の成果は、「がん幹細胞」を標的とした難治性がんに対する革新的な抗がん剤の創製に繋がることが期待されます。

詳しい研究内容について

がんの親玉「がん幹細胞」の弱点を発見!
   -「がん根治」への道を拓く成果-

論文情報

  • 雑誌名:Oncogene
  • 論文名:
    CDK8 maintains stemness and tumorigenicity of glioma stem cells by regulating the c-MYC pathway(CDK8はc-MYC経路を介してグリオーマ幹細胞の幹細胞性や腫瘍形成能を制御する)
  • 著 者:
    Kazuya Fukasawa, Takuya Kadota, Tetsuhiro Horie, Kazuya Tokumura, Ryuichi Terada, Yuka Kitaguchi, Gyujin Park, Shinsuke Ochiai, Sayuki Iwahashi, Yasuka Okayama, Manami Hiraiwa, Takanori Yamada, Takashi Iezaki, Katsuyuki Kaneda, Megumi Yamamoto, Tatsuya Kitao, Hiroaki Shirahase, Masaharu Hazawa, Richard W Wong, Tomoki Todo, Atsushi Hirao and Eiichi Hinoi.

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2021.03.22

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