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世界初!石油を内包するシリカコンクリーションの成因を解明 ~シリカによる岩石空隙のシーリング・長期物質保存技術に応用可能~

 国立大学法人東海国立大学機構 名古屋大学博物館の吉田 英一 教授、門脇 誠二 講師、大学院環境学研究科の隈 隆成 博士後期課程学生、城野 信一 准教授、宇宙地球環境研究所の南 雅代 教授、理学部の高木 なつ子 技官、高知大学理工学部の長谷川 精 講師、岐阜大学教育学部の勝田 長貴 准教授、名古屋市科学館の西本 昌司 主任学芸員および英国地質調査所の研究グループは、石油(瀝青油)を閉じ込めたシリカ(シリカ(SiO₂)=ガラスの主成分)の球状コンクリーションを発見し、その形成プロセスと、形成速度が非常に速い(数年程度)ことを初めて明らかにしました。
 今回、米国・ユタ州から産出した石油を内包する球状シリカコンクリーション*1を詳しく調べ、腐食によって酸性となった魚の糞(有機物)のまわりで、地層中のアルカリ性の地下水が中和反応を起こすことにより、地下水に溶けていたシリカ(SiO₂)が短時間のうちに沈殿し、閉じ込められた糞(有機物)が、その後の地質学的熟成で石油に変化したことを、世界で初めて突き止めました。
 今回の成果は、Nature系電子版の「Scientific Reports」2021年2月19日付に掲載されました。

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石油を内包する球状シリカコンクリーション
堆積岩の中に埋もれている球状シリカコンクリーション(左)と,その断面(右)。中心の黒色部分が石油を含む有機質核。熱すると石油が浸みだしてくる(クリックすると拡大します)

本研究成果のポイント

  • 石油を含む球状シリカコンクリーションの成因を明らかにした。
  • シリカコンクリーションの成因(シリカ成分(SiO₂)の濃集)には、有機物(魚の糞など)の腐食に伴う中和反応が重要な役割を果たすことがわかった。
  • シリカコンクリーションの成因(シリカ成分(SiO₂)の濃集)は、これまで非常に遅い(数万年程度はかかる)と考えられていたが、数年程度と非常に速く形成されることを示した。
  • *1 球状コンクリーション:炭酸カルシウムや鉄酸化物を主成分とする地層中(堆積岩のみ)で見出すことのできる球状の岩塊

詳しい研究内容について

世界初!石油を内包するシリカコンクリーションの成因を解明
  ~シリカによる岩石空隙のシーリング・長期物質保存技術に応用可能~

論文情報

  • 雑誌名:Scientific Reports
  • 論文名:
    Syngenetic rapid growth of ellipsoidal silica concretions with bitumen cores
  • 著 者:
    H.Yoshida, R.Kuma, H.Hasegawa, N.Katsuta, S.Sirono, M.Minami, S.Nishimoto, N.Takagi, S.Kadowaki & R.Metcalfe
  • DOI番号:10.1038/s41598-021-83651-w

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2021.03.01

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