研究成果

男性に下痢、女性に便秘が多い原因・神経伝達物質の性差を発見

 岐阜大学 応用生物科学部 獣医生理学研究室 志水泰武教授らのグループは、ラットの大腸内に痛みの刺激を与えた場合、オスでは排便と関連する大腸の動きが誘発されるが、メスでは誘発されないことを確認しました。このメカニズムとして、脳から脊髄に下行性疼痛抑制経路を通じて供給される神経伝達物質の成分がオスとメスで異なり、そのため脊髄排便中枢による排便調整の働きがオスとメスで異なることを発見しました。本研究成果は、男性には下痢が多く、女性には便秘が多いという排便異常の性差の一端を明らかにするとともに、過敏性腸症候群などの病態解明に近づくものです。
 本研究成果は2020年12月21日付で"The Journal of Physiology"に掲載されました。

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脳から脊髄に放出される神経伝達物質と大腸運動作用の性差(クリックすると拡大します)

本研究成果のポイント

  • 志水教授らはこれまでの研究で、大腸内に痛みの刺激を与えると、脳から痛みを緩和するために発出される神経伝達物質が、大腸運動にも影響を与えることを明らかにしていた。
  • 今回の研究では、大腸内に痛みの刺激を与えた場合、オスのラットでは排便と関連する大腸の動きが誘発されるが、メスのラットでは誘発されないことを確認した。
  • このメカニズムを調べたところ、痛みに応答して脳から脊髄に下行性疼痛抑制経路を通して供給される神経伝達物質の成分がオスとメスで異なることが分かった。オスでは、ドパミンやセロトニンが働き、脊髄の排便中枢を活性化し、大腸の運動を促進することが確認された。メスでは、ドパミンは働かず、セロトニンとGABAが働くことが確認された。メスはGABAが脊髄排便中枢を抑制するため、セロトニンによる大腸運動促進効果を打ち消していると考えられる。
  • この成果によって、男性には下痢が多く、女性には便秘が多いという排便異常の性差の一端が解明できた。また過敏性腸症候群などの病態解明に近づくことができた。

詳しい研究内容について

排便調節の仕組み・神経伝達物質に性差、過敏性腸症候群の病態解明に近づく
 男性に下痢、女性に便秘が多い原因・神経伝達物質の性差を発見
 岐阜大学 応用生物科学部 志水泰武教授 "The Journal of Physiology"に論文掲載

論文情報

  • 雑誌名:The Journal of Physiology
  • 論文名:
    Sexually dimorphic response of colorectal motility to noxious stimuli in the colorectum in rats
     (ラットの結腸直腸における侵害刺激に対する大腸運動の性的二形性反応)
  • 著 者:堀井 和広, 江原 優花, 椎名 貴彦, 内藤 清惟, 中森 裕之, 堀井 有希, 島岡 弘樹, 齋藤 正一郎, 志水 泰武(責任著者)
  • DOI番号:https://doi.org/10.1113/JP279942

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2020.12.28

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