研究成果

病原細菌レジオネラが宿主小胞輸送を操作する新しい仕組みを発見

 ヒトを含め,真核生物の細胞は小胞輸送1)というシステムを使って生体分子の運搬を行っています。重篤な肺炎を引き起こす病原細菌であるレジオネラは宿主真核細胞に侵入して小胞輸送システムを「ハイジャック」し,自身の増殖の「場」である特殊な液胞を構築します。岐阜大学大学院医学系研究科の北尾公英助教,久堀智子准教授,永井宏樹教授らのグループは,結核研究所・生体防御部の瀬戸真太郎免疫科長および東京薬科大学・生命科学部の新崎恒平准教授と共同で,レジオネラがユビキチン化2)・脱ユビキチン化3)という翻訳後修飾を介して宿主細胞の小胞輸送システムや膜融合を操作し,感染を確立しているという新しいメカニズムを発見しました。
 本研究成果は,米国の科学誌「Cell Reports」(電子版)に2020年9月8日(火)午前 11 時 (日本時間 9 月 9 日(水)午前 0 時)付けで掲載されました。


本研究発表のポイント

  • 小胞輸送に必要な膜融合に関わるSNAREタンパク質4) Sec22bがレジオネラ感染初期にユビキチン化されることを見つけた。
  • これまで機能が未知であったレジオネラタンパク質 LotBが脱ユビキチン化酵素として働くことを示した。
  • レジオネラ感染初期にユビキチン化されたSec22bは感染後期にLotBによって脱ユビキチン化されることを見出した。
  • LotBによるSec22bの脱ユビキチン化により、感染初期にレジオネラ液胞上で結合した2種類のSNARE タンパク質Sec22b と syntaxin 3(Stx3)が解離することを示した。
  • 1)小胞輸送: 真核細胞において、小胞体などのオルガネラから生体分子を取り込んだ直径50~100ナノメートルほどの小さな膜小胞が出芽し、それが別のオルガネラへと移動し膜融合することによって小胞の中身や膜成分が輸送されるシステム。
  • 2)ユビキチン化: ユビキチン(76個のアミノ酸からなる小さなタンパク質)で標的タンパク質が修飾される反応。
  • 3)脱ユビキチン化: ユビキチンと標的タンパク質間、あるいはユビキチン間の結合を切る反応。
  • 4)SNARE タンパク質:小胞が標的の膜と融合する過程を媒介するタンパク質。

詳しい研究内容について

病原細菌レジオネラが宿主小胞輸送を 操作する新しい仕組みを発見

論文情報

  • 雑誌名:Cell Reports
  • 論文名:Legionella manipulates non-canonical SNARE pairing using a bacterial deubiquitinase.
  • 著 者:
    Tomoe Kitao, Kyoichiro Taguchi, Shintaro Seto, Kohei Arasaki, Hiroki Ando, Hiroki Nagai, Tomoko Kubori
  • DOI: 10.1016/j.celrep.2020.108107
  • 論文公開URL: https://doi.org/10.1016/j.celrep.2020.108107

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2020.09.09

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