研究・採択情報

イヌの新たな遺伝病を発見:ヒトの家族性大腸腺腫症に類似したイヌの遺伝性腫瘍を発見

 岐阜大学応用生物科学部共同獣医学科の平田暁大助教,酒井洋樹教授,森崇教授,西飯直仁准教授,川部美史助教,連合獣医学研究科3年の吉嵜響子さんらのグループは,イヌの新たな遺伝病「遺伝性消化管ポリポーシス」を発見しました。
 本研究成果は,日本時間2020年5月23日に英国の国際誌Carcinogenesis誌のオンライン版で発表されました。また,論文発表に先行して,遺伝子診断法に関する国内特許を出願しており,共同出願した株式会社ケーナインラボにおいて遺伝子検査として事業化されています。

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消化管ポリープの内視鏡像と罹患犬に認められるAPC遺伝子変異

本研究発表のポイント

  • 新たなイヌの遺伝病「遺伝性消化管ポリポーシス」を発見した。
  • 本疾患は胃および大腸における腫瘍性ポリープ(腺腫・腺癌)の発生を特徴とする。
  • 本疾患はAPC遺伝子の生殖細胞系列変異を原因とする優性遺伝病*である。
  • 本疾患はヒトの家族性大腸腺腫症の類似疾患と考えられる。
  • 今後,遺伝子検査による確定診断や繁殖段階での発生制御が可能になる。

*優性遺伝病:単一遺伝子疾患の遺伝形式には、大きく分けて「優性(顕性)遺伝」と「劣性(潜性)遺伝」がある。両親から1つずつもらう遺伝子対の片方の遺伝子に異常があれば発症する場合を優性、両方の遺伝子対に異常がないと発症しない場合を劣性という。

詳しい研究内容について

イヌの新たな遺伝病を発見
 ヒトの家族性大腸腺腫症に類似したイヌの遺伝性腫瘍を発見

論文情報