研究成果

根の葉緑体を作るのに窒素同化鍵酵素が重要であることを発見 ~イネグルタミン合成酵素アイソザイムの巧妙な使い分けを明らかに~

 岐阜大学応用生物科学部の山本義治教授,筑波大学,東北大学,国理化学研究所,国際林水産業研究センターらの研究グループは,イネの窒素同化に不可欠な細胞質局在型グルタミン合成酵素(OsGS1)のアイソザイムであるOsGS1;1が,光合成を行わない根の葉緑体形成に大きく関わることを明らかにしました。
 本研究成果は,2020年2月6日に「Plant Physiology」のオンライン版で公開されました。

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イネ生育初期段階のOsgs1;1
 およびOsgs1;2の形態観察結果


A, B, C:従属栄養期のOsgs1;1(NC,ND)およびOsgs1;2の形態的表現型
D, E, F, G:独立栄養期のそれぞれの変異体の形態的表現型
NCおよびNDは異なるOs1;1遺伝子領域に変異が挿入された株のことを指す。NBは、野生型を示す。


本研究成果のポイント

  • イネの窒素同化(注1)に欠かせない細胞質型グルタミン合成酵素(GS1)アイソザイム(注2)のうち、根で働く2種類の働き方の違いを明らかにしました。
  • 2種類のうちOsGS1;1は炭素・窒素代謝の恒常性制御を担っており、OsGS1;2はアミノ酸生合成に影響を与えていました。また、OsGS1;1の働きを抑制すると、光合成を行わない根に葉緑体が形成されることを世界で初めて明らかにしました。
  • 葉緑体形成に関係ないと考えられてきた窒素同化および炭素・窒素代謝を制御することで、根に光合成能力を付与できる可能性があることを示す研究成果です。

注1)窒素同化:硝酸イオンやアンモニウムイオンなどの無機窒素化合物を材料にアミノ酸等の有機窒素化合物を合成する反応のこと。
注2)アイソザイム:同一の生化学反応を触媒する複数の酵素群を指す。個々のアイソザイムが持つ分子構造や物理化学的性質は異なる。

詳しい研究内容について

根の葉緑体を作るのに窒素同化鍵酵素が重要であることを発見
  ~イネグルタミン合成酵素アイソザイムの巧妙な使い分けを明らかに~

論文情報

  • 雑誌名:Plant Physiology
  • 論文名:Cytosolic GLUTAMINE SYNTHETASE 1;1 modulates metabolism and chloroplast development in roots
    (イネ細胞質局在型グルタミン合成酵素1;1が根の代謝と葉緑体形成を調節する)
  • 著 者:
    Miyako Kusano, Atsushi Fukushima, Mayumi Tabuchi-Kobayashi, Kazuhiro Funayama, Soichi Kojima, Kyonoshin Maruyama, Yoshiharu Y Yamamoto, Tomoko Nishizawa, Makoto Kobayashi, Mayumi Wakazaki, Mayuko Sato, Kiminori Toyooka, Kumiko Osanai-Kondo, Yoshinori Utsumi, Motoaki Seki, Chihaya Fukai, Kazuki Saito, and Tomoyuki Yamaya
  • DOI:https://doi.org/10.1104/pp.19.01118

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2020.02.18

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