研究・採択情報

ジペプチド(フェニルアラニン-プロリン:FP)にコレステロール代謝改善作用があることを世界で初めて発見

 岐阜大学応用生物科学部・食品分子機能学研究室の長岡利(シニア教授・教授)、自然科学技術研究科2年の坂野新太さん、研究室修了生のオウジラトさん、岡田健司さん、連合農学研究科1年のマヘムティ・ミジティーさん、応用生物科学部4年の森崚輔さんで構成される研究グループは、ジペプチド1)(フェニルアラニン-プロリン:FP)にコレステロール代謝改善作用があることを世界で初めて発見し、その作用機構を解明しました。これは400種類ある天然のジペプチドの中からFPをコレステロール代謝改善ジペプチドとして世界で初めて特定したことになります。
 本研究成果は、英国の国際誌「Scientific Reports」(電子版)2019年12月19日付(日本時間午後7時)に掲載されました。

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本研究成果のポイント

  • ジペプチド(フェニルアラニン-プロリン:FP)にコレステロール代謝改善作用があることを世界で初めて発見した。400種類ある天然のジペプチドの中から、FPをコレステロール代謝改善ジペプチドとして世界で初めて特定した。
  • FPは腸でのコレステロール吸収抑制作用により、コレステロール代謝改善作用を発揮することを解明した。
  • FPによるコレステロール代謝改善作用は腸のペプチド輸送担体(PepT1:腸でジペプチドやトリペプチドの吸収に関与)欠損マウスでは消失した。つまり、FPの作用には、PepT1が必須であることを初めて発見した。
  • コレステロール代謝改善作用を発揮するペプチドの探索評価において、腸のペプチド輸送担体(PepT1)が分子標的2)となることを発見した。
  • 腸のペプチド輸送担体(PepT1)は動脈硬化予防のための分子標的となることを発見した。

1)ジペプチド:
タンパク質を構成するアミノ酸は、主に20種類が知られている。アミノ酸とアミノ酸がペプチド結合することで、ジペプチド(2個のアミノ酸の結合物)になる。アミノ酸は主に20種類なので、400種類のジペプチドがある。
2)分子標的:
機能性食品や医薬品の有効成分(活性成分)は、ヒトや動物の体にある特定のタンパク質や酵素など(分子)に結合し、そのタンパク質の活動(活性)を調節(増やしたり減らしたり)することで、健康効果や医薬品の効果を発揮する。このような機能性食品や医薬品の有効成分(活性成分)の効果と深く関係する分子を分子標的と呼ぶ。従って、機能性食品や医薬品の効率的な発見のために、分子標的は極めて重要である。

詳しい研究内容について

ジペプチド(フェニルアラニン-プロリン:FP)にコレステロール代謝改善作用があることを
 世界で初めて発見
   FPのコレステロール代謝改善作用機構解明と動脈硬化予防分子標的の発見

論文情報

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2019.12.20

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