深層学習(Deep Learning)を用いたカメラトラップ画像内の動物の検出、種判別および頭数推定に成功
応用生物科学部 安藤 正規 准教授らの研究グループは,深層学習(Deep Learning)の技術と10万枚を超えるカメラトラップ(自動撮影装置)画像を用いて,撮影された野生動物の在不在,種および頭数を判別することに成功しました。
本研究成果は,日本哺乳類学会の発行する学術誌「哺乳類科学」59号1巻(2019年7月末発行)に掲載されます。
本研究成果のポイント
- 近年,高性能化の進むカメラトラップから得られる大量の画像データについて,深層学習の技術を用いてこれを判別することを試みた。
- ResNetをベースとした,画像中の動物の在不在,動物種,頭数を同時に推定する深層畳み込みニューラルネットワーク(DCNN)モデルを構築した。
- 学習済みモデルの判別精度のうち,在不在については,検出精度99%を担保しつつ,過検出率(実際には動物が不在の場合に,在と判断された割合)を15.7%に抑えることができた。さらに,モデルで在と検出された画像のみを調査者が確認する場合,確認の必要な画像枚数は全体の43.3%まで削減できることが示された。
- 主要な被写体であったニホンジカ,イノシシ,カモシカおよびツキノワグマを正確に判別できる割合はおおよそ80%であった。
- また,上記4種における頭数は80〜90%で正しく検出していた。
- 以上の結果から,深層学習の技術は野生動物の調査・モニタリングにおいて調査者の労力を大きく削減する有用なツールとなりうることが示された。
詳しい研究内容について
深層学習(Deep Learning)を用いたカメラトラップ画像内の動物の検出,種判別および頭数推定に成功
論文情報
- 雑誌名:哺乳類科学59号1巻(2019年7月末予定)
- 論文名:深層学習(Deep Learning)によるカメラトラップ画像の判別
- 著 者:安藤正規1,中塚俊介5,相澤宏旭6,中森さつき4,池田敬2,森部絢嗣1,2,
寺田和憲3,加藤邦人3
(1:岐阜大学 応用生物科学部 生産環境科学課程,
2:岐阜大学 応用生物科学部 附属野生動物管理学研究センター,
3:岐阜大学 工学部 電気電子・情報工学科,
4:岐阜大学大学院 自然科学技術研究科 生物生産環境科学専攻,
5:岐阜大学大学院 自然科学技術研究科 知能理工学専攻,
6:岐阜大学大学院 工学研究科 電子情報システム工学専攻)