Glyco-core Symposium 2024を開催しました
2024年7月16日(火)、岐阜大学及び名古屋大学糖鎖生命コア研究所は、J-GlycoNet(共同利用・共同研究拠点糖鎖生命科学連携ネットワーク型拠点)、HGA(ヒューマングライコームプロジェクト)及びCIBoG(名古屋大学卓越大学院プログラム)と共催で、Glyco-core Symposium 2024を名古屋大学豊田講堂にて開催しました。
今回のシンポジウムは、大規模学術フロンティア促進事業としてヒューマングライコームプロジェクトが始動してから初めて開催する国際シンポジウムであり、当研究所の取り組みを国内外に発信するとともに、糖鎖と様々な分野の融合研究を促進することを目的として開催しました。
冒頭では、東海国立大学機構の松尾清一機構長、名古屋大学の杉山直総長及び岐阜大学の吉田和弘学長の挨拶がありました。さらに、文部科学省研究振興局大学研究基盤整備課の柳澤好治課長とライフサイエンス課の釜井宏之課長にもご挨拶いただきました。その後、糖鎖生命コア研究所の門松健治所長が挨拶と糖鎖研究の現状について説明しました。
セッションはそれぞれ基調講演及び招待講演で構成され、医療ビッグデータ研究、分子イメージング、ケミカルバイオロジー、病気と治療についての4つのテーマで講演が行われました。その中の一つ、糖鎖の可視化技術の開発についてマックス・プランク研究所 (ドイツ)のケルビン・アンガラ博士が行った講演「Analyzing Structures of Glycans and Glycoconjugates at Single Molecule Level by Direct Imaging on Surface」は先鋭的で、従来捉えることのできなかった複雑で柔軟なさまざまな糖鎖のかたちを、質量分析とトンネル型操作顕微鏡(STM)に関連する技術を組み合わせることで、たった一分子をも可視化できることを示しました(学術論文としては昨年Science誌に発表)。糖鎖の壁と言われてきた「可視化」を解決する技術の登場に、多くの聴衆が糖鎖新時代の到来を感じたことでしょう。セッションの最後には質疑応答により活発な議論が展開されました。
昼時には、フラッシュトークを含むランチョンポスターセッションが開催され、131件のポスター展示とともに和やかな雰囲気で発表と議論が行われました。
セッション終了後には、特別講演としてハーバード大学医学大学院のリチャード・カミングス教授が「Connecting Genetics, Glycomics and Biological Functions of Glycans」と題し、糖鎖アレイや抗糖鎖抗体を基盤ツールにした新たな糖鎖機能解析に向けた道筋を紹介しました。最後は、門松所長の挨拶によって閉会しました。
本シンポジウムには、国内外から411名の参加者があり、参加者からは、「糖鎖の最先端の話を聞けて大変刺激になった」「若い研究者が多くて活気を感じた」などのコメントが寄せられるなど好評を博し、盛会のうちに幕を閉じました。これほど多くの研究者が東海地区(名古屋)に集った意義は大きく、糖鎖を始めとする生命科学分野の先端研究成果に触れる機会となりました。また、ポスターセッションを通じて異分野融合の促進と若手研究者の国際学会への直接参加が大きく推進されました。
岐阜大学は、今後も国内外に糖鎖研究とその成果を発信してまいります。
【シンポジウムの様子】
2024.08.08
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