お知らせ

新型コロナウイルスワクチンや対面授業の実施について専門家と質疑応答を行いました

 本学では,令和3年度後学期の授業開始に向け,新型コロナウイルスワクチンや対面授業の実施について,副学長(企画・教育・評価・基金担当)と学内の感染症専門家との質疑応答を行いました。
 質疑応答の内容は学生や教職員,その他関係者の皆さんにも知っておいていただきたいものでしたので,ここに公表します。以下,質疑応答の内容です。

質問者
 福井 博一(岐阜大学副学長(企画・教育・評価・基金担当))

回答者
 馬場 尚志 教授(岐阜大学医学部附属病院生体支援センター長)
 山本 眞由美 教授(岐阜大学保健管理センター長)

ワクチン接種と濃厚接触者の抽出について

ワクチン接種者であっても濃厚接触者として抽出されることがあります。

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福井副学長:ワクチン接種者が感染者(PCR陽性又は抗原陽性)と接触機会を持った場合に,2週間の自宅待機など,これまでの濃厚接触者と同じ行動制約を受けるのでしょうか?

馬場教授:ワクチン接種者であっても完全には感染・発病を防止できませんので,現時点では,保健所を含め行政からは,ワクチン接種の有無にかかわらず濃厚接触者と認定された場合は14日間の自宅待機・健康観察を指示されます。

山本教授:"濃厚接触者"とは,ウイルスをもらったかもしれない人を指します。"感染者が十分量のウイルスをもっていた時期(通常は症状が出る2日前から発症10日後までですが,変異株によっては3日前から)にマスク無しで5~15分以上近くに居た人"は濃厚接触者に該当します。
 通常,同居家族や一緒に食事をした人は濃厚接触者に該当します。ワクチンを接種してもウイルスをもらう可能性はありますから,「病原体を持ち運ぶ可能性のある人」と判断されるためです。ウイルスに感染して発症しなかった場合でも,10~14日経つまでは鼻や喉にウイルスがいる可能性があるので,接触日から14日間の待機が指示されるのです。

福井副学長:例えば家族で感染者が発生した場合,ワクチンを接種した65歳以上の者でも濃厚接触者として認定されて自宅待機になるのでしょうか?

山本教授:はい。現在の新型コロナウイルス感染症対策の考え方では,ワクチン接種の有無や年齢に関係なく,ほかの人へ病原体を運ぶ可能性がある人は濃厚接触者とされ,PCR検査の実施や14日間の自宅待機が必要となります。PCR検査で陽性だった場合は,原則,施設待機か入院となります。これは単に感染拡大防止だけが目的ではなく,急な症状出現や症状悪化に対応するためでもあります。

ワクチン接種の効果について

ワクチンは重症化リスクを低減し発症防止効果もありますが,従来の感染防止策を継続する必要があります。

baba_1.jpg福井副学長:未接種者と異なる扱いをしないのであれば,ワクチン接種を勧奨している意味は何なのでしょうか?

馬場教授:ワクチン接種により,重症化リスクが下がることが挙げられます。また,発症防止効果も確認されており,高齢者はもちろん,若年者も含め,何らかの後遺症・生活の質低下が生じる例が多いこともわかっていますので,重症化しにくい世代についても発症が防止できることは大きなメリットです。
 また,感染防止については,従来株には90%以上の効果があるとするデータもありましたので,高齢者の感染者減少に大きく寄与した可能性があります。しかし,完全とは言えないことに加え,7月からの第5波の中心となったデルタ株に対する感染防止効果は60~80%程度との報告もあり,ワクチン接種者におけるクラスターも数多く報告されています。
 もちろん,変異株への効果が低下するといっても,一定の感染防止効果がありますので,従来の感染対策を継続した上でワクチンを接種すれば,本来なら流行を抑える方向に働きます。しかしながら,あくまで"従来の対策を継続した上"でのことであり,感染対策が疎かになれば感染者は増え,社会全体のコントロールとしてのワクチン接種の効果が損なわれることも懸念されます。

対面授業の実施の際の留意点について

対面授業においては,感染防止対策を遵守するメッセージを明確に伝えていく必要があります。

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福井副学長:ワクチン接種が進展している状況下で,対面授業はどのように実施すればよいでしょうか?

山本教授:学内のワクチン接種者が増えることにより,学内での重症者や大規模クラスターが発生することは防げると思います。しかし,ウイルスの伝播を完全に防ぐことはできません。
 今後も以下の5点に対応しながら,授業を行っていただきたいと思います。また,これらに関する本学の前向きな取り組みを発信してもよろしいかと思います。保健管理センターでも,保健管理センターニュースでメッセージを発信しています。

  1. ワクチンを接種する。
  2. 密集場所を避けて距離をとる。
  3. 密閉空間を避けて換気をする。
  4. 手指消毒や手洗いを習慣づける。
  5. マスクを着用する。

 コロナ禍の経験から,オンライン教材の整備や向上が進んできたと思います。これを生かして,今後は多彩な教育スタイルが発展することが副次的に期待でき,オンデマンド・サービスや遠隔学習支援が拡大できると考えます。

馬場教授:ある程度ワクチン接種が進んだとしても,少なくとも現時点では「2年前とは明らかに異なる状況である」との事実を,組織や社会全体が強く認識する必要があります。
 大学での対面授業についても,それをしっかり認識した上で,「教育上の必要性を吟味」し,「必要と判断したもの」については,「教員・学生とも十分な意識・配慮し,感染対策の基本を遵守することを条件に行う」ことを模索すべきと考えます。
 一方,伝え方を誤ると,上述した事実についての意識を持たず,制限が解除されただけと学生や教職員が誤って認識する恐れもあると考えます。

福井副学長:いただいたご回答を踏まえ,令和3年度後学期の教育活動に取り組んでいきます。どうもありがとうございました。

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2021.09.28

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