外来種カマキリが在来種に与える「見えにくい影響」
捕食に加え、"誤った交尾"も生存を左右する
岐阜大学応用生物科学部の岡本朋子准教授と土田浩治教授らの研究グループは、外来種ムネアカハラビロカマキリと在来種ハラビロカマキリの相互作用について、幼虫期の相互捕食と成虫期の異種間交尾の2つの側面に注目して調べました。その結果、両種は互いを捕食するものの、幼虫期で体長に差がある場合は、ムネアカハラビロカマキリが優位になりやすいことが分かりました。また成虫期には、外来種オスと在来種メスの組み合わせで交尾がおこり、メスの損傷・死亡につながることが確認されました。逆の組み合わせでは交尾は見られず、外来種の影響が在来種側に偏って生じる可能性が示されました。
本研究成果は、2026年3月30日に昆虫学の国際誌であるEntomological Science誌のオンライン版で発表されました。
ハラビロとムネアカの交尾実験の結果。ハラビロのメスは交尾による交尾器の損傷が大きく、ハラビロのオスは食べられやすい。
本研究のポイント
- 日本に侵入した外来種のムネアカハラビロカマキリ(以下、ムネアカ)と、在来種のハラビロカマキリ(以下、ハラビロ)は、幼虫期には互いを捕食し合う関係にありますが、体のサイズが大きい段階ではムネアカが優位になりやすいことがわかりました。
- 成虫期ではムネアカのオスがハラビロのメスに交尾を試みる "種をまたいだ誤った交尾"が起こり、その結果、ハラビロのメスが傷ついて死亡する例が確認されました。
- 交尾の影響は同じ強さで双方向に起こるわけではなく、ムネアカのメスとハラビロのオスの組み合わせでは交尾は確認されませんでした。
- これらの結果から、外来種のムネアカと、在来種のハラビロでは、捕食と交尾の影響は双方向で同じではなく、在来種であるハラビロ側により強く及ぶ可能性が示されました。
詳しい研究内容について
外来種カマキリが在来種に与える「見えにくい影響」
-捕食に加え、"誤った交尾"も生存を左右する-
論文情報
- 雑誌名:Entomological Science
- 論文名:Negative interactions between Hierodula chinensis and the native mantis Hierodula patellifera (Mantodea: Mantidae) in Japan
- 著 者:竹中洋輔(岐阜大学卒業生)、土田浩治(岐阜大学教授)、岡本朋子(岐阜大学准教授)
- DOI:10.1111/ens.70010