低分子コアセルベートの内部構造を分子レベルで解明
岐阜大学高等研究院 東 小百合特任助教、自然科学技術研究科修士課程2年生の藤本 竜太郎さん、工学部化学・生命工学科 池田 将教授らの研究グループは、低分子化合物からなる新たな刺激応答性コアセルベート注1を開発し、同大学糖鎖生命コア研究所 (iGCORE) の廣澤 幸一朗特任助教、鈴木 健一教授、名古屋大学大学院 情報学研究科 金丸 恒大博士、吉田 紀生教授と共同で、1分子イメージング技術および分子動力学シミュレーションを駆使し、コアセルベート形成分子の僅かな化学構造の違いが構造体表層と内部の不均一性を生むことを分子レベルで解明しました。
本成果は、低分子化合物を用いたコアセルベートの合理的分子設計を提案し、生体機能材料や高度なコアセルベート型人工細胞の構築に向けた基盤を提供するものです。
研究成果は、現地時間2026年2月1日に学術雑誌「JACS Au」のオンライン版 (Open Access) で発表されました。
本研究の概要図
本研究のポイント
- 液-液相分離注2により液体性の高い構造体「コアセルベート」を形成する新たな低分子化合物(コアセルベート形成分子)を開発しました。
- 還元刺激によって分解できるコアセルベートの開発に成功しました。
- コアセルベート形成分子の僅かな化学構造の違いが構造体表層と内部の不均一性を生むことを分子レベルで解明しました。
詳しい研究内容について
論文情報
- 雑誌名:JACS Au
- 論文名:Sticker-Spacer Molecular Design Controls Coacervate Formation and Internal Microenvironments in Low-Molecular Weight Compounds
- 著 者:Sayuri L. Higashi,* Koichiro M. Hirosawa, Ryutaro Fujimoto, Kodai Kanemaru, Norio Yoshida, Kenich G. N. Suzuki, Masato Ikeda*
- DOI:10.1021/jacsau.5c01238
用語解説
- 注1 コアセルベート
液-液相分離によって生じる、膜を持たない液体状の微小な区画 (液滴)。生体内小器官(ストレス顆粒など) にも見られ、分子濃縮や反応促進・抑制などの機能を持つ。 - 注2 液-液相分離 (Liquid-liquid phase separation)
均質な液体が条件に応じて成分濃度の異なる二つの液相に分かれて共存する現象である。液-液相分離は従来、材料科学や高分子化学分野で研究されてきたが、近年、生命科学分野においても重要な現象として注目されている。