直接的アジドメチル化法を開発
反応剤リレーにより多様なアジド化合物の合成がより簡便かつ高効率に
岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科の澤畑凌雅大学院生と、工学部の喜多村徳昭准教授(同研究科、高等研究院 One Medicineトランスレーショナルリサーチセンター(COMIT)、人工知能研究推進センター兼任)による研究グループは、N-アジドメチルジスルホンイミドを用いたチオールの硫黄原子への直接的なアジドメチル化反応(S-アジドメチル化反応)の開発に成功しました。
当研究グループは、先行研究において、類例のない窒素原子上での直接的なアジドメチル化反応(N-アジドメチル化反応)を開発しました。本反応によりN-アジドメチルジスルホンイミド誘導体が効率的に得られることを見いだしています。
今回、4位にトリフルオロメチル基が置換したベンゼン環を有するN-アジドメチルジスルホンイミド誘導体を用いると、様々なチオールの硫黄原子上に直接的にアジドメチル基を導入できることを見いだしました。本反応は、アミノ基や水酸基などの極性官能基が共存する基質にも適用可能であり、メルカプト基選択的に反応が進行します。さらに、本反応で得られるS-アジドメチル化合物が、O-アジドメチル化剤としても機能することが明らかとなり、今後の有機合成や分子修飾への応用が期待されます。
本研究成果は、現地時間2025年9月11日にOrganic Letters誌のオンライン版で発表されました。

反応剤リレーによる多様なアジド化合物の効率的合成
本研究のポイント
- 先行研究で確立したN-アジドメチル化反応により得られるN-アジドメチルジスルホンイミド誘導体が、S-アジドメチル化剤として有効であることを発見しました。
- 本手法は基質適用範囲が広く、極性官能基が共存する基質にも適用可能です。
- 本反応で得られるS-アジドメチル化合物がO-アジドメチル化剤として機能することを明らかにし、反応剤リレーにより多様な基質への展開性を示しました。
詳しい研究内容について
直接的アジドメチル化法を開発
反応剤リレーにより多様なアジド化合物の合成がより簡便かつ高効率に
論文情報
- 雑誌名:Organic Letters
- 論文名:Direct S‑Azidomethylation of Thiols with N‑Azidomethyldisulfonimides
- 著 者:Ryoga Sawahata, Yoshiaki Kitamura*
- DOI:10.1021/acs.orglett.5c03688