研究・採択情報

生体分子モーターによって駆動されるアクティブポリマーが作り出す自発的なスパイラル運動の仕組みを解明

 岐阜大学工学部の新田高洋教授、工学研究科のDouglas Kagoiya Ng'ang'aさんの研究グループは、コロンビア大学(アメリカ)のHenry Hess教授、デダン・キマティ工科大学(ケニア)のSamuel Macharia Kang'iri講師との共同研究で、生体分子モーターによって駆動されるアクティブポリマーが作り出す自発的なスパイラル運動の仕組みを解明しました。
 アクティブポリマーは、通常の高分子(ポリマー)には見られない生き物のような振る舞いを示します。特に、アクティブポリマーの先端をピン止めすると自ら回転運動する渦巻き状の構造(スパイラル)を形成します。本研究は、アクティブポリマーがスパイラル構造を形成する際に、生体分子モーターの弾性が重要な役割を果たしていることを示しました。これは、細胞内での構造形成や物質輸送の理解に新たな視点を与えるだけでなく、生体分子モーターを用いたナノ輸送デバイスやマイクロロボットの設計にも重要な知見です。
 本研究成果は、現地時間2025年7月1日にScientific Reports誌のオンライン版で発表されました。

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ピン止めされた点を中心にスパイラルを形成するアクティブポリマー

本研究のポイント

  • 生体分子モーターが駆動するアクティブポリマーのスパイラル運動の発生条件を明らかにしました。
  • アクティブポリマーのスパイラル形成メカニズムを解明しました。
  • スパイラル形成における生体分子モーターの力学的性質の重要性を明らかにしました。

詳しい研究内容について

生体分子モーターによって駆動されるアクティブポリマーが作り出す自発的なスパイラル運動の仕組みを解明

論文情報

  • 雑誌名:Scientific Reports
  • 論文名:Active spiralling of microtubules driven by kinesin motors
  • 著 者:Douglas Kagoiya Ng'ang'a, Samuel Macharia Kang'iri, Henry Hess & Takahiro Nitta
  • DOI:10.1038/s41598-025-03384-y