セルロースの基本単位である二糖を使って、光で切断できるマイクロ繊維を開発
岐阜大学大学院 自然科学技術研究科 生命科学・化学専攻の奥村 美央瑠さん(令和5年度修了生)、大富 拓さん(令和3年度修了生)、工学部 化学・生命工学科の池田 将 教授らの研究グループと、岐阜大学 糖鎖生命コア研究所 (iGCORE) の山口 英利子 研究員、河村 奈緒子 助教、安藤 弘宗 教授らの研究グループは、マイクロ繊維注1を形成する二糖誘導体を分子設計・合成し、名古屋大学大学院 理学研究科の河野 慎一郎 講師、山形大学大学院 有機材料システム研究科の片桐 洋史 教授、株式会社リガクの佐藤 寛泰氏と共同で、マイクロ繊維を形成している二糖誘導体の分子集合様式を原子レベルで解明しました。さらに、得られたマイクロ繊維に光を照射することで切断できることを実証しました。
本研究成果は、学術雑誌「Communications Materials」に、日本時間2024年9月10日にオンライン版 (Open Access) で発表されました。
セルロース〔多糖〕の基本単位であるセロビオース〔二糖〕を誘導化したcellobiose(oNB)2-pNB分子は、水溶液中で自己集合しマイクロ繊維を形成します。本研究では、マイクロ繊維を形成しているcellobiose(oNB)2-pNB分子の集合様式を原子レベルで解明し、さらに得られたマイクロ繊維が光照射によって切断できることを実証しました。
発表のポイント
- 水中で自己集合しマイクロ繊維を形成する二糖誘導体を開発しました
- マイクロ繊維を形成している二糖誘導体の分子集合様式を原子レベルで解明しました
- 構築したマイクロ繊維は光照射によって切断できることを実証しました
詳しい研究内容について
セルロースの基本単位である二糖を使って、光で切断できるマイクロ繊維を開発
本研究の一部は、日本学術振興会 科学研究費補助金 (基盤研究(B) No. 23H01815)、iGCORE 共同研究促進支援、JSPS Core-to-Coreプログラム (JPJSCCA20200007)、JST CREST (JPMJCR18H2) の支援を受けて行われました。オープンアクセス化に関して、オープンアクセス加速化事業(文部科学省補助金)(東海国立大学機構 岐阜大学)の支援を受けました。
論文情報
- 雑誌名:Communications Materials
- 論文名:Photodegradable glyco-microfibers fabricated by the self-assembly of cellobiose derivatives bearing nitrobenzyl groups
- 著 者:Bioru Okumura, Eriko Yamaguchi, Naoko Komura*, Taku Ohtomi, Shin-ichiro Kawano, Hiroyasu Sato, Hiroshi Katagiri, Hiromune Ando*, Masato Ikeda*
- DOI: 10.1038/s43246-024-00622-0
用語解説
- 注1 マイクロ繊維:
幅 (直径) が数µm (10-6 m, マイクロメートル, ミクロン) の繊維。一般的な髪の毛の幅 (直径)は40 µmから100 µm。本研究で開発したマイクロ繊維は、髪の毛の10分の1程度の太さに相当する。