肝硬変患者における外的刺激に対する反応速度と正確性の低下を国際多機関共同観察研究により証明
肝硬変患者は交通事故や転倒あるいはそれに伴う骨折などの不慮の事故が多いことが知られています。岐阜大学大学院医学系研究科 消化器内科学分野 三輪貴生医師らのグループは、肝硬変患者では外的刺激に対して瞬時に正確に動作する神経機能が低下していることを明らかにしました。本研究成果は肝硬変患者における不慮の事故のリスク評価と健康寿命の延長に寄与することが期待されます。
本研究成果は、日本時間2023年11月17日にGeriatrics & Gerontology International誌で発表されました。

ReacStickによる短潜時神経機能の測定
本研究のポイント
- 不慮の事故を防ぐためには、事故の原因を認識してから、事故が起こるまでの短時間の間に、現在の動作を中断し、事故を回避するために動作する必要がある。
- 肝硬変患者は交通事故や転倒あるいはそれに伴う骨折などの不慮の事故が多いことが知られているが、外的刺激が発生してから短時間での神経機能に関しては十分に調査されていない。
- 本研究では、日本、米国、英国を含む多機関共同研究により、肝硬変患者では外的刺激から0.4秒以内の反応速度と反応の正確性が低下していることを明らかにした。
- 本研究により、肝硬変患者における不慮の事故に対するリスク評価が可能となり、肝硬変患者の不慮の事故の予防と健康寿命の伸長、より安全な社会の実現に寄与することが期待される。
詳しい研究内容について
肝硬変患者における外的刺激に対する反応速度と正確性の低下を国際多機関共同観察研究により証明
論文情報
- 雑誌名:Geriatrics & Gerontology International
- 論文名:Short-latency reaction time and accuracy are impaired in patients with cirrhosis: An international multicenter retrospective stud
- 著 者:Takao Miwa1,2, James K. Richardson3, Susan L. Murphy3, Toby J. Ellmers4, Yoshiyuki Miwa5, Teruo Maeda, Tatsunori Hanai2, and Masahito Shimizu2
- 所 属:
1)岐阜大学大学院医学系研究科内科学講座消化器内科学分野
2)岐阜大学保健管理センター
3)ミシガン大学医学部理学療法リハビリテーション分野
4)インペリアル・カレッジ・ロンドン医学部脳科学分野
5)MIWA内科胃腸CLINIC
6)西美濃厚生病院内科 - DOI番号:
10.1111/ggi.14742