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イノシシの行動圏や生息地利用を解明 -イノシシに装着したGPS首輪のデータから行動圏や日中と夜間の利用場所を特定-

 東海国立大学機構 岐阜大学応用生物科学部附属野生動物管理学研究センター 池田敬 特任准教授、東出大志 特任助教(現 石川県立大学 講師)、鈴木嵩彬研究員(現 同センター 特任助教)、同学部 淺野玄准教授らの研究グループは、環境研究総合推進費「イノシシの個体数密度およびCSF感染状況の簡易モニタリング手法の開発(JPMEERF20204G01)」ならびに岐阜県「清流の国ぎふ森林・環境税」を活用した「清流の国ぎふ森林・環境基金事業:野生動物総合対策推進事業」の一環として、イノシシの行動圏や日中と夜間における生息地利用を解明しました。
 日本において、イノシシの行動圏や生息地利用に関する事例は限られていましたが、本研究によりイノシシが比較的狭い範囲を利用し、人間活動に合わせて利用場所を変化させていることが明らかになりました。この成果を活用することによって、農作物被害や豚熱などにおいて捕獲や経口ワクチン散布などの対策を効果的に検討・実施していくことが可能になり、今後、イノシシ管理において大きく貢献していくことが期待されます。
 本研究成果は、日本哺乳類学会の発行する国際学術誌「Mammal Study」に2023年6月24日付で公開されました。

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図 岐阜県美濃加茂市でGPS首輪を装着した7頭のイノシシにおける行動圏。各色が各個体の行動圏、各色の内部にある白色が集中利用域を示す。

発表のポイント

  • GPS首輪をイノシシに装着することにより、イノシシが利用している範囲や、日中と夜間における利用場所を特定することに成功しました。
  • イノシシは比較的狭い範囲を利用し、人間活動が活発な時間帯では、人間の生活圏に近い環境や、人間が近付きやすい斜面を避けた一方で、人間活動の少ない時間帯では、耕作地周辺を選択的に利用していることが明らかになりました。
  • イノシシの利用場所およびその時間帯を把握することにより、対策の重点地域を特定し、農作物被害や豚熱における対策を効果的に検討していくことが可能となります。

詳しい研究内容について

イノシシの行動圏や生息地利用を解明
   イノシシに装着したGPS首輪のデータから行動圏や日中と夜間の利用場所を特定

論文情報

2023.06.26

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