研究・採択情報

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地域新電力会社が提供する経済的・社会的価値を可視化 ~最大で約7.3億円の金額価値を算出~

 国立大学法人東海国立大学機構 岐阜大学と、日本ガイシ株式会社は、地域新電力会社の恵那電力株式会社(恵那市)が再生可能エネルギーや大型蓄電池により地域に提供する経済的・社会的価値を可視化する共同研究を行い、最大で約7.3億円の金額価値があることを算出しました。

 日本政府が掲げる2050年カーボンニュートラルの実現に向け、エネルギーの地産地消を促進し、地域の資金を地域内で循環できる取り組みとして、地方自治体では地域新電力事業への関心が高まっています。一方でこれまでは、事業の売上や利益以外で地域新電力の価値を示す指標がありませんでした。
 共同研究は2022年4月から2023年3月まで、岐阜大学の髙木朗義教授と日本ガイシで、日本ガイシなどが出資する恵那電力を対象に実施しました。恵那電力が設置した太陽光発電設備(PV)と電力貯蔵用NAS®電池を核とした電力システムについて、アンケート調査などを地域住民に実施し、恵那電力の地域新電力事業の環境貢献機能・災害時機能それぞれの側面の経済的・社会的価値についてコンジョイント分析(※1)により評価しました。
アンケート回答者 : 恵那市明智町住民・恵那市職員・恵那市内高校生 合計210人
 環境貢献機能と災害時機能を合わせた金額価値(便益)の合計は、恵那電力の想定事業期間の20年間で最大約7.3億円となりました。総金額価値を電力システムの構築などにかかる総費用で割った費用便益比(※2)は1.12~2.09で、投資に見合う効果が上げられるという結果となり、経済的・社会的効果の高さを示しました。
 本共同研究に基づく価値の可視化手法を地域ごとに活用することで、事業の売上や利益以外で価値を示す指標がなかった地域新電力の提供価値を明らかにすることが可能となります。岐阜大学と日本ガイシは、共同研究結果から確立された本手法を地域新電力会社の事業運営支援に生かし、2050年カーボンニュートラル実現への寄与を目指します。

20230605.png
恵那市内に設置されている太陽光発電設備の一つ

詳しい研究内容について

日本ガイシ、岐阜大学 共同研究により地域新電力会社が提供する経済的・社会的価値を可視化
   ~最大で約7.3億円の金額価値を算出~

用語解説

  • ※1) コンジョイント分析:
    アンケート調査等において回答者が何を好むかというデータを用いた評価手法の1つである。計量心理学や市場調査の分野で発展してきたもので,価格や性能といった複数の属性を持つものを評価する手法の総称である。(「公共政策評価のための政策評価手法」伊多波良雄編,第9章髙木朗義著による抜粋)
  • ※2) 費用便益比:
    事業の実施に要した費用の総計に対する、その事業の実施によって社会的に得られる効果(便益)の比率。通常、1以上であれば投資に見合う効果が得られると見なされる。

2023.06.05

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