新規重水素化触媒反応を開発 ―医薬品への直接重水素導入を達成―
岐阜大学工学部 宇田川太郎 助教、京都大学大学院薬学研究科 中寛史 准教授、糸賀萌子 同大学院修士課程学生、山西雅子 同大学院修士課程学生(研究当時)、竹本佳司 同教授、同志社女子大学薬学部 前川京子 教授、小林文音 同学部生らの共同研究グループは、医薬品などの複雑なアルコールに含まれる水素を重水素へと効率的に置き換える方法の開発に成功しました。
今回、医薬品を含めた複雑なアルコールの直接重水素化技術を確立したことで、様々なアルコールに直接重水素を導入することが可能になりました。これにより、医薬品を含めた機能性有機分子が示す本来の性質を損なうことなく、耐久性のみを上昇させる分子創出の可能性が大きく広がりました。
本成果は、2022年7月20日(現地時刻)に英国の国際学術誌「Chemical Science」にオンライン掲載されました。
図:本研究のイメージ
詳しい研究内容について
新規重水素化触媒反応を開発 ―医薬品への直接重水素導入を達成―
論文情報
- 雑誌名:Chemical Science
- 論文名:Iridium-Catalyzed α-Selective Deuteration of Alcohols.
(イリジウム触媒を用いたα位選択的なアルコールの重水素化反応) - 著 者:Moeko Itoga, Masako Yamanishi, Taro Udagawa, Ayane Kobayashi, Keiko Maekawa, Yoshiji Takemoto and Hiroshi Naka
- DOI番号:DOI:https://doi.org/10.1039/D2SC01805E
本研究は、科研費助成金学術変革領域研究(B)「重水素学」(20H05739, 宇田川太郎; 20H05740, 中寛史; 20H05741, 前川京子)、科研費助成金基盤研究 C(21K04991, 宇田川太郎)ならびにAMED-BINDS 「精密合成技術に基づくハイブリッド型ニューモダリティ創製の創薬支援」(竹本佳司)の支援によって実施されました。