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新規骨粗しょう症治療薬の候補を発見! -間葉系幹細胞を標的とした新たな治療戦略を確立-

 岐阜薬科大学・岐阜大学大学院連合創薬医療情報研究科の檜井栄一教授、岐阜薬科大学薬理学研究室の山田孝紀博士研究員、深澤和也助教らの研究グループは、京都薬品工業株式会社、東京医科歯科大学との共同研究により、CDK8(※1)阻害剤が新しい骨粗しょう症治療薬となる可能性を見出しました。
 本研究成果は、間葉系幹細胞(※2)を標的とした全く新しい骨粗しょう症治療戦略の確立に貢献することが期待されます。日本時間2022年7月1日午前0時に米国学術雑誌『Stem Cell Reports』にてオンライン版が発表されました。

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図. 椎骨の画像。KY-065 の投与により、骨粗しょう症による骨量の低下が抑制される。

発表のポイント

  • 骨粗しょう症に対する画期的な予防・治療法の確立は、超高齢社会を迎えた本邦における大きな課題です。
  • 間葉系幹細胞において、加齢とともにCDK8の発現が増加することを見出しました。
  • 間葉系幹細胞のCDK8の働きを抑えると、破骨細胞の機能が低下し、骨量が増加することを発見しました。
  • 研究グループが独自に開発した新規CDK8阻害剤KY-065を用いることで、骨粗しょう症による骨量の低下を抑制することができました。
  • 以上の研究成果は、骨粗しょう症をはじめとする様々な骨系統疾患の予防・治療法の確立に貢献することが期待されます。

詳しい研究内容について

新規骨粗しょう症治療薬の候補を発見!
  -間葉系幹細胞を標的とした新たな治療戦略を確立-

論文情報

  • 雑誌名:Stem Cell Reports
  • 論文名:The role of CDK8 in mesenchymal stem cells in controlling osteoclastogenesis and bone homeostasis
    (間葉系幹細胞のCDK8は、破骨細胞機能と骨恒常性の調節に重要な役割を果たす)
  • 著 者:Takanori Yamada, Kazuya Fukasawa, Tetsuhiro Horie, Takuya Kadota, Jiajun Lyu, Kazuya Tokumura, Shinsuke Ochiai, Sayuki Iwahashi, Akane Suzuki, Gyujin Park, Rie Ueda, Megumi Yamamoto, Tatsuya Kitao, Hiroaki Shirahase, Hiroki Ochi, Shingo Sato, Takashi Iezaki, and Eiichi Hinoi.
    山田孝紀深澤和也 (同等筆頭著者)、堀江哲寛、門田卓也、呂佳俊、徳村和也、落合信介、岩橋咲幸、鈴木紅音、朴奎珍、上田理江、山本恵、北尾達哉、白波瀬弘明、越智広樹、佐藤信吾、家崎高志、檜井栄一
本研究は、日本学術振興会科学研究費助成事業 基盤研究B(特設)「栄養環境センサーを分子基軸とした脊椎側弯症に対する発症・進行予測技術の開発」(研究代表者:檜井栄一)、新学術領域研究(研究領域提案型)「メカノセンサーとしての間葉系幹細胞」(研究代表者:檜井栄一)などの支援を受けて行ったものです。

用語解説

  • ※1 CDK8:
    CDKと呼ばれるリン酸化酵素の遺伝子グループの一つ。CDK遺伝子の8番目。近年、がん幹細胞やiPS細胞の幹細胞性を制御することが報告されている。
  • ※2 間葉系幹細胞:
    骨芽細胞、軟骨細胞、脂肪細胞などへと分化する能力を持つ幹細胞の一種。

2022.07.01

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