研究・採択情報

ペア型エフェクターによる病原細菌のミトコンドリア機能制御

 岐阜大学大学院医学系研究科病原体制御学分野の永井宏樹教授、久堀智子准教授らのグループは、重篤な肺炎を引き起こす病原細菌レジオネラが宿主真核細胞のミトコンドリア機能を制御することを見つけました。この制御は、細胞内に輸送されペアとなって働く2つのレジオネラ酵素がミトコンドリア ADP/ATP交換輸送体 1)を可逆的に化学修飾するという機序に基づくことが示されました。さらに、韓国科学技術院(KAIST) Byung-Ha Oh 教授のグループとの共同研究により、脱修飾酵素の詳細な分子構造とその作用機構が示されました。
 本研究成果は、日本時間令和4年6月3日(金)に Proceedings of the National Academy of Science 誌のオンライン版で発表されました。

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発表のポイント

  • 病原細菌がミトコンドリア機能を操作する分子メカニズムのひとつが明らかにされた。
  • 細胞エネルギー産生の中枢システムが細菌酵素による化学修飾によって障害された。
  • 相反する活性を持つ2つの細菌酵素がミトコンドリア機能を可逆的に制御した。
  • 脱修飾酵素の結晶構造を解明し、この酵素が収斂進化 2)により獲得されたことを示した。

詳しい研究内容について

ペア型エフェクターによる病原細菌のミトコンドリア機能制御
 病原細菌レジオネラは宿主ミトコンドリア ADP/ATP 交換輸送体に可逆的な化学修飾を施す

論文情報

  • 雑誌名:Proceedings of the National Academy of Science (PNAS)
  • 論文名:Reversible modification of mitochondrial ADP/ATP translocases by paired Legionella effector proteins
  • 著 者:Tomoko Kubori1*, Junyup Lee1, Hyunmin Kim, Kohei Yamazaki, Masanari Nishikawa, Tomoe Kitao, Byung-Ha Oh*, and Hiroki Nagai*
    (1 Equally contributed authors, * Corresponding authors)
  • DOI番号:10.1073/pnas.2122872119
  • 論文公開URL:https://www.pnas.org/doi/10.1073/pnas.2122872119

用語解説

  • 1) ADP/ATP 交換輸送体 (ADP/ATP translocase):
    ミトコンドリア内膜に多量に存在し、ATP 合成の材料となるADP を細胞質からミトコンドリア内部に運び入れ、ミトコンドリアで合成された ATP を細胞質に運び出す作用をするタンパク質。
  • 2) 収斂進化 (convergent evolution):
    異なる系統の生物が、環境要因などで同様の選択圧を受けることで似通った形態へと進化を遂げる現象。タンパク質などの分子構造についても使われる。

2022.06.06

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